新たな研究の結果、平日の人付き合いを犠牲にせずとも、健康的でアクティブな生活を送ることは可能であることが分かった。肥満学専門誌『Obesity』に掲載された中国医学科学院・北京協和医学院の研究結果によると、“週末の戦士”として土日に1~2回運動するだけでも、頻繁に運動する人と同等の効果(脂肪燃焼効果など)が得られる。

とりわけ若い女性は週末に体を動かす意味がある。週末に運動する若い女性は、男性や年配の女性よりもBMIが圧倒的に低かった。ただし、週末に運動する人は、平日に運動する人よりも長くてハードなトレーニングをする傾向にあったことも言及に値する。

20~59歳の被験者9629名のうち、772名(8.2%)は“週末だけ運動をする”人で、3277名(36.9%)は“頻繁に運動をする”人だった。残りの5580名は運動をまったくしていなかった。 

現在の運動ガイドラインは?

英国民保健サービス(NHS)は成人に「毎日何らかの運動をする」よう勧めており、中強度の運動であれば少なくとも週に150分、高強度の運動であれば週に75分を目処にしている。

一般的に、中等度の運動とは会話ができる程度に心拍数が上がる運動で、高強度の運動とは呼吸が激しく/早くなる運動のことを言う。また、「運動は週4~5日、あるいは毎日均等に分散する」ことが勧められる。

しかし、今回の研究では、頻繁に運動をするグループだけでなく週末だけ運動をするグループも、まったく運動をしないグループに比べて下半身と腹部の脂肪が少なく、BMIが低く、下腹囲が小さいという結果になった。

young women weekend exercise
Betsie Van der Meer
週末だけ運動をする集団と頻繁に運動をする集団は、まったく運動をしない集団よりも下半身と腹部の脂肪が少なく、BMIが低く、下腹囲が小さかった。


研究チームは、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)を用いて、健康にもっとも悪いとされる腹部全体の脂肪も測定した。DEXAは脂肪組織と骨密度を考慮するため、BMIよりも洗練された測定法と言える。

この研究論文の著者の1人で、中国医学科学院・北京協和医学院の国立心血管病研究所に所属する健康科学者のリフア・チャン博士は、米CNNに対し、「現在のガイドラインが定める頻度で運動ができない人」には“週末の戦士”というライフスタイルが合うかもしれないと語っている。

週末の戦士たちの運動強度は?

週末の戦士たちは、運動強度がもっとも高く(60.3%)、1回あたりの運動時間がもっとも長く(147.6分)、合計の運動量がもっとも多かった(214.1分)。つまり、彼らは平日に運動する人たちよりも長くてハードなトレーニングをしているということだ。しかも、1週間に推奨される150分の運動を土日の2日間だけでほぼクリアしている。

「もっと調べてみないことには分かりませんが、これは今回の研究で先述のような結果が出た理由の1つかもしれません」とチャン博士。米国立ユダヤ医療研究センターの心血管疾患予防・健康部門ディレクター、アンドリュー・フリーマン博士がCNNに語ったところによると、運動を1度に2時間以上続けられる人は「運動生理学的にタイプが違う」可能性もある。

2時間もぶっ続けで運動できない? 運動は、ほんの少しでも意味があるから大丈夫。2023年の心臓学専門誌『European Heart Journal』に掲載された論文によると、「1日4~12分でも座る代わりに中~高強度の身体活動(MVPA)を行えば」、BMIや胴囲、コレステロール値が改善する。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Kate Cheng Translation: Ai Igamoto

Lettermark
Kate Cheng
Health and Fitness Writer


Kate puts together fitness content that covers functional and strength training, cardio, workout challenges, interviews and news. She's often doing gym laundry or listening to music.

Headshot of 伊賀本 藍

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。