ダイエットをしたいけれどなかなか思うように進まない寒い季節は、運動が億劫になる分、食事により一層気をつかってほしいと語るのは、パーソナルトレーナーの林健太さん。

「もちろん食べすぎは控えてほしいのですが、冬こそたくさん食べてほしい食材もあります。そういった食材を豊富に使った食事を習慣化していくことで、長期的に健康的なダイエットを続けていくきっかけにもなると思います」

何を食べて何を控えるか。

このポイントさえしっかり押さえることができれば、ダイエットが難しいと感じることも少なくなる。どの季節にも積極的に食べるべき食材がある中で、今回は冬のおすすめ食材を林さんにピックアップしてもらった。

一日一回の運動に対して、食事は三回。

それだけ重要な日常生活は少しの見直しが大きな変化に繋がる。各食材のメリットを確認して日々の食事にプラスしていこう。

①みかん

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ダイエット中や糖質を気にする人の中にはフルーツを控える人も多いが、林さんはできる限り積極的に食べてほしいと話す。

「フルーツ=高糖質、高カロリーなイメージですが、みかんの約90%は水分で残り10%程が炭水化物です。その炭水化物には食物繊維も含まれますので、想像している以上に低糖質でヘルシー食材とも言えるでしょう」

特に冬場は無意識に水分摂取量も減ってしまうので、食材からしっかりと水分を摂っておくことは重要。

その他にビタミンやミネラルも豊富に摂取できるので、過度に糖質を気にする必要はないと林さん。

「ビタミンAに変換されるプロビタミンAの一種であるβクリプトキサンチンは、発がん抑制作用で有名です。その他にも二型糖尿病や動脈硬化、肝機能障害の改善などにも有効なので、冬場のデザートや間食としてもみかんは最適です」

βクリプトキサンチンは長期間体内に蓄積されるので、冬場にたっぷりとみかんを食べておくことで、摂取量が少なくなる季節でも血中濃度を保っておくことができる。

また、これらの栄養素であるフィトケミカルは、果実だけでなく皮にも多く含まれる。皮まで余すことなく食べられるジャムなどを作るのもおすすめ。

②牡蠣

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岩牡蠣の旬は夏だが、真牡蠣の旬は冬。

岩牡蠣に比べるとサイズは小ぶりであるものの、市場流通が最も多い真牡蠣も栄養が豊富。

牡蠣には亜鉛や銅、ビタミンB12などの造血に重要なビタミンミネラルが豊富。他にも疲労回復に有効なタウリンやグリコーゲンなどが含まれているので、疲れやすい人は積極的に摂取すべき食材。

しかし、気になるのが食中毒。

冬の牡蠣にはノロウイルスも多く、牡蠣にあたった経験がある人も少なくないはず。体調や免疫の個人差によっても症状や発症率が変わるので、特に寒い時期は食べるタイミングにも気を遣ってほしいと林さん。

「生食用と加熱用の違いは鮮度ではなく菌の数です。100%安全な生食用はありませんが、菌が少ない海域で飼育され、できる限り残らないように洗浄されているので加熱用と比べるとやや栄養価は下がります」

もちろん生で食べることで、全ての栄養素を壊すことなく摂取できるメリットはある。

しかし、食中毒が心配な人や職業上食べることが禁止されている人は、加熱用の牡蠣を丸ごと利用できる炊き込みご飯やフライにして食べるようにしてみて。

③芽キャベツ

close up of brussels sprouts against white background
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日本ではまだまだ一般的ではない芽キャベツは、独特の苦みや臭みから好みが分かれるものの、海外ではお肉などの付け合わせにもよく用いられる野菜。

「野菜の新芽はスプラウトと呼ばれ、成長した野菜よりも栄養素が豊富です。別の野菜ではあるものの、芽キャベツはキャベツのスプラウトとも呼ばれ、ビタミンやミネラルは圧倒的に多く含まれています」

特にビタミンCはキャベツの約4倍含まれており、4~5個食べるだけで厚生労働省が定める一日に必要な量(100mg)が補えるほど。

他にも同量で葉酸やビタミンKは一日に必要な量の6割程度も摂取できる。

「芽キャベツもキャベツもアブラナ科の野菜で、アメリカ国立がん研究所が、がんを予防する可能性のある食材としてリスト化したデザイナーズフーズにも選ばれている健康食材です。同じアブラナ科のブロッコリーやカリフラワー、ケールと合わせて積極的に食べるようにしましょう」

④かぼちゃ

half cut kabocha squash isolated on white background
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「緑黄色野菜の中でも数少ない黄色の野菜で、フィトケミカルが豊富に含まれています。特に皮に含まれる栄養素の量が多いので、皮つきで調理することは必須です。できれば種も余すことなくローストして、ナッツ代わりのおつまみや間食にすると良いでしょう」

かぼちゃにも種類があり、西洋かぼちゃは日本かぼちゃと比べてβカロテンが5倍以上含まれる。また、ビタミンEも豊富なので抗酸化力の強い代表的な野菜。

野菜の中では炭水化物量が多いので、摂取量を気にする人も多いが、その量はせいぜい全体の10~20%程度。食べないデメリットのほうが遥かに大きいので、ダイエット中などでも気にせずしっかりと食べてほしいと林さん。

「各食材のメリットとデメリットとを天秤にかけて適切な摂取量を見極めることは大切です。しかしその境目もなく、少しでもデメリットがあると不要とされてしまうのが今のダイエットの流行かもしれません」

せっかくの健康食材も、目先のダイエットだけの理由で不要にされてしまうことは絶対に避けたい。この冬から食事を変えて健康的で良い新年のスタートダッシュを切っていこう。

⑤カニ

boiled snow crab
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冬の高級食材の代表であるカニには、強力な抗酸化作用を持つ栄養素が含まれている。

別名、海のカロテノイドとも呼ばれるアスタキサンチンは、植物由来のフィトケミカルの一種でもあり、人の体内では合成することができない赤色の天然色素の栄養。

「鮭やいくら、エビの赤色もアスタキサンチン由来です。数多くのフィトケミカルがある中でもアスタキサンチンの抗酸化力は群を抜いて高く、数多くの健康効果が期待されています」

中でもアスタキサンチンは脳関門を通過できる数少ない抗酸化物質。

それ故にアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経障害に対する効果が注目されている。

仕事やスポーツ中の集中力やパフォーマンスの維持にも役に立つので、仕事が忙しくなる時期は贅沢にカニ鍋でリフレッシュしてみては。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/