秋冬は、グルメな人の間でも市場のホワイトボードでも「旬の食材」という言葉が飛び交う季節。でも、旬の食材を取り入れると、何か体にいいことがあるのだろうか。 公認管理栄養士のローラ・ティルトが教えてくれた。イギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。

英国環境・食糧・農村地域省によると、“旬の食材”とは本来育つべき時期に屋外で育てられた食材のこと。ただし、“地元”の旬の食材は他の地域に輸送されず、その地域で食される。

旬の食材を使う最大のメリットは美味しいこと。採れたてのアスパラガスは、輸入過程でしなびてしまった時期外れのアスパラガスよりよっぽど美味しい。美味しければもっと食べるので、野菜1日5皿分という目標を達成するのも楽になる。

旬の食材はお財布にもやさしい。英国政府が支援している『Eat Seasonably/旬の野菜を食べよう』キャンペーンによると、野菜とフルーツを旬に合わせて購入すれば、そうでない時期に購入した場合に比べて3分の1ほど安くなる。

本来のタイミングで植物を育てれば、人工光や熱の使用量も少なくて済む。むしろ、季節外れの野菜を育てると、その野菜が旬の国から輸入されたとき以上に温室効果ガスの排出量が多くなる。

でも、旬の食材の使用が環境に与えるプラスの影響は、それほど大きくないかもしれない。スイスの研究で、1)旬の食材を買うこと、2)食品ロスを減らすこと、3)ベジタリアンになること、4)贅沢品の購入をやめることが環境に与える影響を比較したところ、その影響がもっとも小さいのは旬の食材を買うことだった。

それよりも環境のためになるのはおそらく、赤身肉の摂取や車の使用を控えること。イギリスのフードマイル(食料の輸送距離)の半分以上は、消費者がスーパーと家を車で往復することによるものだから。

健康面ではどうだろう? 野菜とフルーツの栄養価は貯蔵や輸送の過程で低下するため、地元の旬の食材を使ったほうが健康に良いと言える。でも、国によっては(イギリスが良い例)冬の間も地元産の農産物にこだわると、野菜とフルーツのオプションが少なくて、そもそもの摂取量が減ってしまう。

世界自然保護基金(WWF)が行った実験では、12月のイギリスで入手可能な農産物だけを食べた場合、栄養面のニーズを満たすことはできても、かなり味気ない食事になってしまうことが分かった。

国外から輸入したフルーツや国内で貯蔵されているフルーツ(例:洋ナシは適切な条件下で3カ月保存可能)を取り入れて缶詰を駆使すれば、少しは美味しくなるだろう。でも、冬のイギリスでレモンやイチジクは採れない。

よって、一番いいのは旬の食材を(お財布や味覚と相談しながら)最大限に活用し、冬の間は輸入品で食材の幅を広げること。

【冬のイギリスで旬な食材】
ブラックベリー:抗酸化物質の宝庫。フェタチーズをのせたサラダにピッタリ。
クレソン:抗がん作用のある成分グルコシノレートがたっぷり。松の実、レモンの皮、オリーブオイル、ニンニク、パルメザンチーズと一緒にバジルパスタに添えてみて。
バターナッツスクワッシュ:目の健康に良い色素のルテインが豊富。カレーのチキンの代わりに使える。 

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Nikki Osman Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。