「いつも新鮮な野菜を買える余裕がありません。缶詰や冷凍の野菜は新鮮な野菜より栄養価が落ちますか?」

この気になる疑問に対して、栄養クリニック「エンボディ・ヘルス・ロンドン」の共同創設者であり、管理栄養士のアリアナ・ロドリゲスがイギリス版ウィメンズヘルスに答えてくれた内容をご紹介。

1日に食べるべき野菜や果物は5品目? それとも7品目? 栄養士は、食品摂取の多様性の向上を目的に、1週間に30品目の野菜や果物を食べるように推奨している。

このような目標が、私たちにモチベーションやなにかを与えてくれるのは間違いないけれど、食品の栄養プロファイルについて説明されたものではない。では、どうしたらいいの?

まず初めに、新鮮な野菜や果物を買うことだけが、お金を払うだけの栄養価値を得られると思っていない?

実際のところ、ほとんどの人が、冷凍野菜は新鮮な野菜よりも栄養価が低いと考えており、冷凍野菜に間違った認識や偏見を持っていることが研究で明らかになっている。

だけど、銀行口座とスケジュールの両方でメリットを得るという点では、いつもそう(新鮮な野菜を買うこと)とは限らない。

イギリスの国民保健サービス(NHS)は、1皿80gの野菜や果実を1日5品目以上摂取し、野菜や果実を毎日400g以上摂取することを奨励している。また、新鮮か冷凍か缶詰かを区別することはなく、いずれかの野菜と果物を1品目としてカウントするように助言している。

では、冷凍野菜を買う前に、なにか心に留めておくべきことはある? これに関して抑えておくべき判断材料をロドリゲスが解説していく。

新鮮な野菜より、冷凍野菜のほうがよい理由とは?

「一般的に信じられていることとは反対に、冷凍野菜や缶詰の野菜には、新鮮な野菜と同程度の、もしくはそれ以上の栄養素が含まれています」と、ロドリゲス。

これは、保存の仕方や収穫してからどれくらいの速さで保存されているかにかかっている。

「野菜を冷凍するときは、収穫してすぐに加工されるので、栄養素の損失を最小限に抑えられます」と、ロドリゲス。

冷凍野菜は、収穫後すぐにブランチング(短時間でサッと蒸したり茹でたりした後に、氷水で急速に冷却)を行ってから冷凍されているか、アスコルビン酸(ビタミンC)などの防腐剤を使用して直冷凍されているかのどちらかの傾向にある。

「この処理は、新鮮な野菜で販売されていた場合に失われていたはずの栄養素を保持するのに役立ちます。冷凍することで、栄養素が落ちるプロセスを遅らせることができるからです」と、ロドリゲス。

ある研究によると、状況によっては、冷凍野菜が新鮮な生野菜よりも栄養価が高いことがわかっている。

興味深いことに、食品を冷凍すると味もよくなるのだとか。ロドリゲスは、エンドウ豆を例に挙げた。

「エンドウ豆に含まれる糖分は、摘み取るとすぐにでんぷんに変わります。すぐに食べなければ、穀物のような味がし始め、甘味が失われてしまうのです」と、ロドリゲスは説明する。

こういうわけで、冷凍エンドウ豆は新鮮なエンドウ豆よりも優れているのだそう。

缶詰の野菜はどうなの?

果物や野菜を缶詰にする際には、加熱処理を施して細菌を死滅させ、冷やすと真空状態になり、缶が密閉される。この方法により、厄介なものが食品を腐敗するのを防いでくれる。

この一連の工程で食品の寿命を延ばすこともできるけれど、場合によっては、特に缶詰の果物には甘味料が加えられている。

これは、加熱処理とともに、食品の栄養素に影響を与える可能性があるとか。

「野菜を缶詰にすると、高い熱にさらされるので、冷凍よりも多くの栄養素が失われることがあります」と、ロドリゲス。

「ですが、ビタミンAとビタミンEに関しては、缶詰野菜のほうが多く含まれています」

また、ビタミンCは、もっとも不安定な栄養素の一つであり、加工中に失われる可能性がある。

この理由から、ビタミンCをしっかり摂取したい場合には、新鮮な生の状態のものを食べることが常にベスト。

それ以外では、新鮮、缶詰、冷凍のどれを選択したとしても、特に栄養面では細かいことまで気にする必要はない。

ほかに知っておくべきことは?

大切なのは、食材の栄養成分を全体としてみること。

栄養価に関しては、新鮮野菜、冷凍野菜、缶詰野菜の間であまり大差がない(ただし、塩や砂糖、シロップが加えられた缶詰食品は例外)。

さらに、これらの3つを組み合わせて活用することで、1日5品目、1週間に30品目の野菜と果物を食べるという目標達成に近づくことができるなら、それはかなりしめたもの。

栄養成分は別として、冷凍や缶詰の果物や野菜を食べることには、ほかにも数え切れないほどのメリットがある。

こう考えてみて。季節の食材を一年中楽しむことができ、毎週の食品ロスを減らし、お金を節約できる(缶詰や冷凍の果物や野菜は、デビットカードで簡単に購入できるから)

果物や野菜を購入する際の、新たな視点を得られたかな?

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ABBI HENDERSON Translation : Yukie Kawabata