ハチミツは万能な食品の1つ。食事にあまみをプラスしたり、ガサガサ肌に潤いを与えたり、体調が悪いときに喉の痛みを緩和してくれたりする。ただ、ハチミツの中でもより一層注目されているのが、マヌカハニー。マヌカハニーはニュージーランドとオーストラリアの一部を原産とし、その強力な治癒効果でウェルネス界で話題になってきた。

一部の有名人(コートニー・カーダシアンなど)が大ファンである一方、耳鼻咽喉科医や皮膚科医、栄養士などによっても研究されており、彼らの多くが(慎重ながらも)楽観的な見解をしている。今回はマヌカハニーについて知っておくべきすべてのこと、体にもたらす効果や入手法などをご紹介。

マヌカハニーって何?

honey bee on manuka flower
purefocus//Getty Images

マヌカはニュージーランドと東オーストラリアを原産とする、低木または小さな木であるマヌカの木に授粉するハチから採取される特別なハチミツの種類。マヌカの花は、抗菌作用で知られるメチルグリオキサールなどの、他のハチミツではあまり見られないような特有の成分を持つ花蜜を作りだす。

本物のマヌカハニー製品はすべて、独立した検査によってマヌカハニーの特徴的な特性の強さと品質をランク付けした商標、UMF(ユニーク・マヌカ・ファクター)がラベルにつけられている。マヌカハニーの健康効果に関連しているのは、これらのさまざまな化合物。

マヌカハニーの健康効果は?

小さな傷を癒す

マヌカハニーは傷の治療に確固たる評判を得てきた。『Foods』誌に2014年に掲載されたレビューによると、マヌカはその高い抗菌及び抗炎症効果で感染症や手術の傷、やけど、潰瘍の治癒に使用されているという。

とはいえ、『The Superfood Swap』の著者、ドーン・ジャクソン・ブラトナー管理栄養士は、“すべての”ハチミツには抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用があると指摘している。医療に関する国際的な非営利団体コクランによる2014年のレビューでは、ハチミツは特定のやけどの傷を従来の包帯などよりも4、5日早く治すことができ、手術後に細菌感染した傷の治癒においては消毒剤よりもより効果的である可能性があるとしている。「マヌカハニーを見つけられないなら、他のハチミツでも有効かもしれません」とブラトナー氏。

鼻づまりも解消

学術雑誌『American Family Physician』に2017年に掲載されたレポートによると、アメリカでは最大5%の人が慢性副鼻腔炎、つまり副鼻腔の炎症を患っているそう。でも、生理食塩水の点鼻薬だけが治療法ではないかもしれない。ワシントン大学の研究者たちが行った2017年の研究では、マヌカハニーは、慢性副鼻腔炎の症状緩和において、生理食塩水での鼻洗浄と同等の効果があることが判明。生理食塩水を試したグループとは異なり、ハチミツを使った人たちは実際にそれを楽しんでいた様子。

「みなさんハチミツを使い続けたいと思っていました」と話すのは、研究著者の1人グレッグ・デイビス医学博士。「彼らは粘液が薄くなり、濃い粘液を吹き出すのが楽になったと感じていました。食塩水での洗浄と比べて使い心地がよかったようです」デイビス医学博士が最初にマヌカハニーについて知ったのは2000年、外傷センターで研修医として勤務し、重度なやけどに対応する医師として従事していたときだったそう。

「マヌカハニーを試したいときは、まず医師あるいは薬剤師に相談してください。すべてのマヌカハニーが同じように加工されているわけではなく、酸性が強いものは使うとやけどすることもあります」とデイビス医学博士は注意喚起している。

ニキビに有効

アメリカ皮膚科学会によると、吹出ものの主な原因の1つは、アクネ桿菌(アクネかんきん)と呼ばれる皮膚の細菌の過剰な増殖とのこと。アクネ桿菌は、詰まった毛穴の中に入り込んで猛烈に増殖し、赤く腫れあがった嚢胞(のうほう)を引き起こすそう。

マヌカハニーには抗酸化物質と抗菌化合物(過酸化水素など)が含まれているので、肌に使うと「ニキビの元になる特定の細菌の繁殖を抑える1つの方法」となると、ニューヨーク市のシュバイガー・ダーマトロジー・グループで皮膚科医を務める、ナヴァ・フリーンフィールド医学博士は話している。

ただ、瓶から直接マヌカハニーを肌にたっぷり塗るのではなく、既にマヌカハニーが配合されている保湿剤やクリームなどの製品を購入する方がいい。マヌカハニーの濃さを考えるとかえって吹出ものを増やしてしまう可能性があると、グリーンフィールド医学博士は話す。

腸の健康を改善

「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。これは腸に生息する「善玉菌」で、健康的な消化機能を維持するのに役立つ。マヌカハニーはそれら善玉菌を増やす可能性があることがわかったそう。

学術誌『International Journal of Food Science and Technology』に掲載された2008年の臨床検査によると、マヌカハニーはその抗菌特性のおかげか、特定の体によい乳酸菌の成長を増やし、大腸菌などの病原菌の成長を減少させたとのこと。

抗酸化物質がたっぷりと含まれている

ハチミツは活性酸素(体内に侵入してきた細菌などを排除する作用をもつ)などに対抗する抗酸化物質が多く含まれていると知られている。2018年に行われた研究によると、オーストラリアの研究者たちが人気のある6種類のハチミツを分析したところ、マヌカハ二―が抗酸化活性において最高スコアを示したことが判明した。研究者たちは、一般的にハチミツの色が濃いほど、フラボノイドが多く含まれている可能性が高いと指摘している。

白砂糖よりもGI値が低い

2013年にニュージーランドで行われた研究では、マヌカハ二―はGI値が54~59の間だとランク付けされた。GI値は、糖質を含む食品が血糖値をどの程度上昇させるかを測定したもの。数値が高ければ高いほど、血糖値が上昇する可能性が高くなる。

ブラトナー氏いわく、他の純粋なハチミツのGI値もおよそ58程度で、GI値約65とされる白砂糖よりも優れているそう。しかし、マヌカハニーはブルーベリー(GI値約25)やリンゴ(GI値約38)などの他の「甘い」食品よりは値が高いと、ブラトナー氏は指摘する。「マヌカハ二―には潜在的な効果がありますが、あらゆる糖類同様、ほどほどに摂取しましょう」

マヌカハ二―はどこで手に入る?

普通の食料品店では見つけずらいかもしれないが、地元の健康食品ストアでは見つけられるかもしれない。大抵は通常のハチミツよりも高価格だが、価格が高いからといって、本物の製品を見つけたとは限らない。代わりに、UMFレートを見るようにしよう。一般的にUMFのスコアが高いほど(理想は10以上)、高品質ということになる。

※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。

Text: Maria Masters Translation: Asami Akiyama