2020年の抱負として砂糖の摂取量を減らすと誓った人は、ウエストラインや心臓の健康だけでなく、メンタルヘルスにもプラスの効果を既に得られているかもしれない。

学術誌『Medical Hypotheses』に掲載された最新レビューによると、精製された砂糖の摂り過ぎは、心血管疾患のリスク増加や腸内環境の悪化、全身性炎症の発症を引き起こすほか、インスリン抵抗性を促進してホルモン伝達(特にドーパミン)を妨害するなど、健康に悪影響をもたらすとのこと。

今回は、砂糖が心理的・生理的に与える影響について調査した数々の研究結果を分析。3年間に及び、約7万人の女性を対象に調査を実施した女性健康イニシアチブ観察的研究(Women’s Health Initiative Observational Study)など、大規模な研究も含まれている。

その結果、精製された砂糖を最も多く摂取している女性は、砂糖の摂取量が最も少ない女性に比べて、臨床的うつ病になるリスクが23%も高いことが明らかになっている。『Medical Hypotheses』誌のレビューに掲載された他の研究では、オーストラリア人、中国人、ラテンアメリカ人、イラン人の青年期・成人期にみられるうつ病の発症率は、ソーダなど、砂糖が大量に加えられたドリンクを定期的に飲んでいると報告した人のほうが高かった。

砂糖が身体的な健康に与える影響は大きいが、研究者は、特に大うつ病性障害のリスクを増加させる恐れを示唆している。精製された砂糖を含む食べ物を食べれば食べるほど、状態は悪化する。冬になると日照時間が短くなり、ビタミンDの摂取量が減りやすい寒い気候に住んでいる人は特に影響を受けやすい(とは言え、砂糖に関連するうつ病は季節を問わず発症する)。

この論文を共同執筆したカンザス大学心理学部のスティーヴン・イラルディ博士によれば、甘いものが食べたくなる現象は、冬季うつ病にみられる一般的な症状の一つであるため、うつ病になるとこのサイクルがさらに悪化してしまう。

だからと言って、誕生日のケーキを我慢したり、レストランでデザートを注文してはならないということではなく、イラルディ博士が言うように、砂糖を摂り過ぎないように日々心がけていくことが大切。

たとえ体に悪いタイプの砂糖でもたまに摂取する程度であれば、研究でみられたような気分への悪影響を受ける可能性は少ないとイラルディ博士は話す。しかしながら、慢性的で長期間にわたる砂糖の過剰摂取は、身体的かつ精神的な変化を引き起こす最悪の状況を生み出すことになる。

とは言うものの、砂糖を摂り過ぎると膵臓(すいぞう)からインスリンが大量に分泌され、そのリバウンド効果によって血糖値が急激に下がり、気分やエネルギーに大きな影響を与えるとイラルディ博士は補足した。これを「シュガー・ブルース」と呼ばれ、砂糖の摂取によって引き起こされるさまざまな精神的・身体的症状が現れる場合があるが、この症状を真の臨床的うつ病と混同するべきではない。

しかし、数カ月以上にわたり、毎日のように砂糖を摂り過ぎているのなら話が違う。だが、かなり一般的だとイラルディ博士は指摘した。

「平均的なアメリカ人は、1日小さじ22杯分の砂糖を摂取しているのが現状です」と、イラルディ博士。「このように、精製された砂糖を大量に摂取していると、臨床的なうつ病のリスクを増加させます。これが今回伝えたい最も重要なメッセージです」

よって、男性は1日小さじ9杯(36g)まで、女性は1日小さじ6杯(25g)までに砂糖の摂取を抑えるのがベスト。これ以上の量を定期的に摂取していると、冬は特に気分が沈みやすくなる。

うつ病のリスクが高い人や、継続してエネルギーが消耗していたり、悲しみや怒り、不安、不眠症のようなうつ病の症状が現れている場合は、すぐに医師の診察を受けること。

※この記事は当初、『ランナーズワールド』に掲載されました。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Elizabeth Millard Translation: Yukie Kawabata

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