白砂糖の代わりになる「甘味料」完全ガイド!健康を意識した砂糖代用品9選
管理栄養士と栄養のエキスパートが、それぞれの天然・人工甘味料を徹底解説!
ランナーの味方となる「単糖類」。炭水化物は体内に素早く吸収され、ワークアウトの最中に必要なエネルギーを筋肉に供給してくれる(激しい筋トレなど、すぐに燃料を補いたいときに役立つ糖質)。
しかし、果物や牛乳に自然と含まれている果糖や乳糖を除き、加工された糖質の摂り過ぎは、さまざまな健康問題に紐付いているため、砂糖の代用品に切り替えるのが賢明な策。
とは言え、砂糖の代用品は全て、平等に作られてはいない。カロリーゼロの甘味料は研究室で開発されたもの、その他の甘味料も、果糖や乳糖ほど天然な糖質ではないけれど、自然食品の甘味料は賢く利用すべきだという。
代表的な甘味料とその使い方をランナーズワールドからご紹介。自分に最適な糖質を選ぶ基準として参考にしてみて!
ハチミツ
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー64kacl、炭水化物17g。炭水化物は砂糖よりも若干多め(砂糖の炭水化物は12〜13g)。
ミツバチが蜜を処理する際に作り出されるハチミツは、自然食品かつ糖質の一種。「2、3種類の単糖が組み合わさった糖質なので、砂糖(ショ糖)ほど純粋ではありません」と話すのは、栄養クラブ「Rise Up Nutrition」のオーナーであり、管理栄養士のリンジー・プファウ。自然食品であるため、地元産の蜂蜜を購入すれば、地元のアレルギー誘発物質から身を守ることができるなど、さまざまな健康効果も得られる。
ハチミツに抗酸化作用があることを多くの研究が実証しているが、抗酸化作用の効果を得ようと思うなら、野菜や果物を食べるべき。しかし、果糖・ブドウ糖・ショ糖で構成されるハチミツは、プファウいわく、ランニング中の燃料補給に有効とのこと。異なる種類の糖を燃料として一緒に摂取すると、吸収が良くなるという。
ベストな利用法:オートミールにかける。砂糖より甘みが強いので、少量で十分。1回分に小分けされたハチミツは、ランニング中の燃料源としても人気!
メープルシロップ
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー52kcal、炭水化物13g。
ハチミツと同様、メープルシロップは自然食品であり、メープルの木の樹液を濃縮したもの。購入するなら、100%純粋なメープルシロップを選んで。
「メープルシロップの製造には、膨大な労力と樹液が必要であるため、多くのメーカーが、メープルシロップにコーンシロップ(異性化糖)やサトウキビ液糖、人工香味料を加えて製造しています」と、プファウ。
「メープルシロップは、砂糖に比べると甘さは控えめですが、コクがあり、カロリーはほぼ同等です」
ベストな利用法:プファウいわく、メープルシロップのとろみを利用して、プレーンのアイスティーに入れるか、マリネに使用するといい。一部のアスリート選手は、耐久レースの際にメープルシロップを燃料源として活用しているよう。
アガベシロップ
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー63kcal・炭水化物15g。
アガベシロップはあくまでも砂糖であり、白砂糖よりヘルシーなわけではない。しかし、アガベシロップは自然食品かつ天然の甘味料。プファウいわく、砂糖より甘みが強いので、少量で十分とのこと。注意点は、「アガベシロップ」や「アガベネクター」「アガベジュース」など、商品によって異なる記載がしてあること。しかし、製造側には商品名を定める基準がないため、アガベシロップを購入するときは、必ず原材料名を確認すること。
ベストな利用法:スムージーやカクテル、アイスティーの甘味料に最適。グラニュー糖よりもサッと溶けてくれる。
ココナッツシュガー
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー48kcal、炭水化物12g。
ココヤシの樹液から作られるココナッツシュガーは、現在人気上昇中! 他の甘味料に比べ、大さじ1杯あたりの炭水化物の量がやや少ない。ココナッツシュガーには、ココヤシに含まれる鉄や亜鉛、カルシウム、カリウムなどの栄養素が含まれている。しかし、ハチミツと同様に、これらの栄養素を摂取しようと思うなら、野菜や果物など自然食品から摂るべきである。
ココナッツシュガーは、ブドウ糖や果糖も含まれてはいるが、主にショ糖(砂糖)で構成されている。また、食物繊維を含有するため、他の甘味料とは違い、低GI食品に該当する。
ベストな利用法:ココナッツシュガーを使って焼き菓子を焼いたり、コーヒーや紅茶に入れてもOK。特に焼き菓子には、他の甘味料より最適。また、砂糖に比べ、精製度やGI(食後血糖値の上昇を示す指標)がわずかに低い。
ステビア
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー0kcal・炭水化物1.5g。
植物が原料であるステビア葉抽出物は、カロリーゼロの甘味料。砂糖の200〜300倍の強い甘みを持つため、わずかな量で十分な甘さを加えられる。ただし、他の甘味料とは異なる味がする。
砂糖の代わりにステビアを使用するのは、比較的新しい考えであるため、砂糖の代用品としてのステビアに関する研究が不足している。米国非営利団体の公益科学センターでは、既存の研究に基づき、ステビアを“安全”として分類しているが、公益科学センターに勤務する主任研究官のリサ・レファーツ博士は、さらなる研究が必要だと主張した。
ベストな利用法:砂糖の摂取量を抑えるならステビアを活用し、砂糖が添加されたグミやフレーバーウォーターは避けて。
スクラロース
栄養成分:大さじ1あたり、エネルギー0kcal。
※アメリカでは「スプレンダ」という商標で販売されており、1袋あたりエネルギー4kcal、炭水化物1g。米国食品医薬品局の「ノンカロリー食品の基準(1食あたりカロリーが5g未満)」を満たしているため、「ノンカロリー」と宣伝されている。
スクラロースは砂糖の分子に由来し、人工的に作られたもの。甘さは砂糖の600倍もあり、カロリーも栄養素も含有していない。
米国食品医薬品局いわく、スクラロースは一般に安全と認められ、GRAS(食品添加物に与えられる安全基準合格証)の承認を受けているが、動物実験では、スクラロースとがんを結びつけている。これにより、公益科学センターは、スクラロースを“安全でないもの”として分類し、代わりにステビアか糖アルコールの使用を推奨している。
とは言え、プファウいわく、2~3週間おきにスクラロースが加えられたダイエット飲料を飲んでも、健康に害を及ぼすわけではない。カロリーゼロの人工甘味料は、体重、あるいは砂糖の摂取量を減らそうとしている人のための、一時的な解決策にも利用される。
ベストな利用法:カロリーは抑えたいけどソーダが飲みたくなったときは、スクラロースが使用されたダイエット飲料を飲んでも構わない。重要なのは、摂取量を制限し、ソーダを断つための手段として利用すること。
アスパルテーム
栄養成分:砂糖と同様、1gあたり4kcal。砂糖より甘みが強いので、少量で十分な甘さを加えられる。
アスパルテームはスクラロースと同様に、カロリーも栄養素も含まれず、一般的にダイエット飲料に使用されている。
動物実験によると、アスパルテームは発がん性があると示唆されたため、公益科学センターは、アスパルテームを“安全でないもの”として分類している。2012年のハーバード大学の研究によると、アスパルテームは、女性ではなく、男性のがんのリスクを増加させることがわかっている。
しかし研究者は、男性と女性への影響に一貫性がみられず、定期的にソーダを飲む人には、がんのリスク増加が明らかであるため、アスパルテームが実際に発がん性物質かどうかを証明できなかったと話している。
ベストな利用法:スクラロースと同様、アスパルテームが使用されたダイエット飲料を”たまに”飲むくらいであれば問題ないよう。しかし、清涼飲料水を飲むなら、最良の選択肢は炭酸水やレモンウォーター。
サッカリン
栄養成分:1gあたり4kcal。
サッカリンは、人工的に作られた甘味料で、砂糖の350倍も甘い。
1970年、動物実験によりサッカリンとがんに関連性がみられたため、米国食品医薬品局が使用禁止を提案したが、合意に達しなかった。サッカリンが、人間の膀胱がんリスクの増加につながることを示唆した一つの研究を除いては、多くの研究が発がん性でないことを証明している。
ベストな利用法:サッカリンに関するほとんどの研究は、動物を対象に実施されており、スクラロースやアスパルテームにほぼ匹敵する。 米国食品医薬品局は、後者の2つの使用を禁止していない。
糖アルコール
栄養成分:1gあたり、1.5〜3kcal。
キシリトールやエリスリトールという甘味料は、ノンシュガーガムによく使われている。これらは糖アルコールで、砂糖でもなく炭水化物でもないとプファウは説明する。
プファウいわく、果物や野菜に天然に存在する一部の糖アルコールを除き、大半の糖アルコールは砂糖の分子から作られ、主に“ダイエット食品”に使用されている。口内の細菌は糖アルコールを消化できないため、虫歯になることはなく、通常の砂糖とは消化のプロセスが異なる。
公益科学センターのレファーツ博士は、エリスリトールを低カロリーな砂糖の代用品として勧めているが、ソルビトールを一度に30g以上摂取すると、胃腸トラブルを引き起こす恐れがあるため、糖アルコールの過度な摂取は推奨されていない。プファウが言うには、たった5g(栄養バー1本あたりに含まれる量)でも消化のトラブルを起こす可能性があるとのこと。
「私なら、ランナーに対し、ハイプロテイン・バー(低炭水化物・低カロリー・高タンパク質)はお勧めしません」と、プファウ。「そうでなくても、ランナーは多くの胃腸トラブルを抱えやすいのです。糖アルコール入りのプロテイン・バーではなく、ライスケーキやリンゴ、アーモンドをスナックに食べることをお勧めします」
ベストな利用法:ノンシュガーガムには、甘味料として糖アルコールが使用されている。メリットは、虫歯にならないこと。
Text: HEATHER MAYER IRVINE Translation : Yukie Kawabata