腰のストレッチを適切に行えば、世界人口の70~85%を悩ませる腰痛が軽くなる。日常的な筋トレと組み合わせればケガの予防にもなるけれど、腰は非常にセンシティブな部位なので、正しい方法を習得しないと状態が悪化しかねない。

トレーナーのロージー・ストックリーと整骨医のアニーシャ・ジョシから、腰痛の原因(パンデミック含め)と腰のストレッチの方法を教わろう。今回は、この内容をイギリス版ウィメンズヘルスからご紹介。

腰痛の原因は?

腰痛の原因を1つに絞るのは難しい。パンデミックで座る時間が増えたのは間違いなく関係している(“腰のストレッチ”の検索件数は、2019年12月から2020年12月の1年で倍増した)。でも、ストックリーとジョシいわく要因は他にもある。例えば:

筋肉の不均衡
運動の負荷を急に高くした
神経痛
肉離れや筋違い
筋肉のコリ
姿勢が悪い

「もっとも一般的なのは、特定の動作をしたり、アライメントが崩れた状態で長時間過ごしたりしたせいで、筋肉や神経に痛みが生じるケースです」とストックリー。「重たすぎるウエイトを使ったり、エクササイズを急に変えたり、腰筋を潰す姿勢で座ったりしたときですね」

「筋肉の緊張から来る腰痛を防ぐ上で重要なのは姿勢です。座っているときは背筋を伸ばし、骨盤のアライメントを整えて、上背と肩を丸めないようにしてください」

産前・産後のスペシャリストでもあるストックリーいわく、妊娠中は腰が痛くなりがち。「胎児の重さで背骨と骨盤のアライメントが崩れ、腹壁が弱くなるからです」。腰痛予防には、後述のストレッチだけでなく、筋力トレーニング(特に体幹)や姿勢に対する正しい意識(尾てい骨をすくい入れる/たくしこむなど)も役に立つ。

ストックリーによると、骨格の問題で腰痛が生じていることもある。この場合は理学療法士や専門医に相談を。

ストレッチで腰痛は治る?

残念ながら、治る可能性は低い。ストレッチで痛みやコリが和らぐのは間違いないけれど、腰痛の改善には休養と筋力トレーニングも欠かせない。「ストレッチは筋肉や関節のモビリティを改善します」とジョシ。「定期的なストレッチは腰痛に良いですが、筋力トレーニングも大切です。一部の筋肉に負荷をかけすぎると、筋肉の不均衡が生じて腰が痛くなりますからね。筋力トレーニングは、その筋肉の不均衡を改善します」

痛いのは腰だけかもしれないけれど、他の部位をケアしてあげることも大切。「腹部、お尻、上背、胸のストレッチも重要です。筋組織は相互につながっているため、痛みが1カ所から来ていることはめったにありません」。ストレッチを腰だけに限定すると(その結果やりすぎると)腰痛は悪化する。激痛ではなく、ちょっと苦痛なくらいにとどめて、焦らずのんびりやっていこう。

腰のストレッチ6選

ストックリーのデモンストレーションに従って、腰の痛みとコリを和らげよう。でも、始める前に以下の点を要チェック。

・ストレッチは呼吸を使って深くする。体が伸びたら、その状態をしばらくキープ。
・体を柔らかくしようとしないこと。体を開き、痛いところに余裕を作ってあげるだけ。
・ストレッチ中は、凝っている部位の感覚に気を配る。反発してる? ほぐれてる? 気持ちよい? 余計痛い?
・勢いや反動をつけて同じ場所を何度も伸ばすバリスティックストレッチはNG。筋肉に余計な負担をかけてしまう。
・各ストレッチは無理のない範囲内で、最初のうちは30秒、慣れてきたら最長2分。同じポジションをキープしないダイナミックストレッチなら10回。

1.チャイルドポーズ

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1.ヒザを床について軽く開き、かかとの上に座る。体の前にヨガブロックかタオルを置く。
2.息を吐きながら上体をヒザの間に倒し、両腕を前に伸ばす。おでこは床に。

2.スレッド・ザ・ニードル

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1.四つんばいになり、ヒザを股関節の真下、手を肩の真下に置く。背中をフラットにして、ヒジを軽く曲げる。
2.右手を左腕の下に通し、右肩を床につける。
3.右腕を無理のない範囲で伸ばし、左腕を前に伸ばす。
4.右腕を引き戻し、上体を反転させて、右腕を天井に向かって伸ばす。
5.左右を入れ替えてリピート。

3.あおむけツイスト

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1.あおむけになり、両ヒザを胸の上で抱きかかえ、両腕を肩の横で左右に開く。両ヒザを腰の横で左右どちらかに倒す。
2.息を吸いながら両ヒザを持ち上げて、センターに持ってくる。息を吐きながら反対側にヒザを倒す。

4.片ヒザをついたソラシック・ローテーション

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1.左脚を前に出してランジのポジションを取る。ただし、骨盤を立て、身を前に乗り出さない。両手を前に持ってきてヒジを曲げ、左右の前腕を重ねる。
2.左脚の外側に向かって上体と腕をひねり、腕を目で追う。
3.ひねり切ったら左腕を後ろに伸ばす。上体のひねりをほどいて左腕を前に戻し、もう一度右腕と重ねる。
4.左右を入れ替えてリピート。

5.サークル・サイドストレッチ

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1.両ヒザを床につき、背中を伸ばす。体幹を締め、左脚を(前でも後ろでもなく)真横に伸ばす。
2.右ヒザの外側に右手をつく。上体を少しずつ曲げながら、左腕を頭上、続いて右に伸ばす。左右の腰が下を向かないように注意して、左腕を前から後ろにぐるりと回す。
3.左右を入れ替えてリピート。

6.スタンディング・バックストレッチ

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1.足を腰幅に開いて立ち、両腕を目の高さで前に伸ばす。
2.左右の手を組む。ヒザを軽く曲げて上背を丸め、腕と一緒に前に押し出す。
3.上背と腕を前に押し出したまま、上体を左右どちらかにひねる。
4.反対側でリピート。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Bridie Wilkins Translation: Ai Igamoto