みんな、大きな筋肉(ハムストリングス、股関節、臀筋、大腿四頭筋)をストレッチするのは忘れない。でも、ふくらはぎだけは、なぜか忘れがち。

ふくらはぎは、痩せてもあまり変化が出にくい部位。「昔スポーツをしていたせい?」と悩んでいる人も多いようだけど、本当の原因は姿勢や歩き方にあるという。さらに、それが原因となりふくらはぎ以外にも脂肪がついてしまうというから、一刻も早い対策が必要。トレーニングと習慣の改善で、メリハリ美脚を目指そう。

ふくらはぎが太くなる原因は?

「ふくらはぎが太くなるのは、骨盤の前傾が原因」と話すのは、パーソナルトレーナーの渡辺広介さん。骨盤が前傾すると猫背になり、前傾した上半身を支えるために膝が曲がります。すると歩く時に足を引き上げられないので足首の関節が固定され、いわゆる摺り足やバタ足といわれるような歩き方になってしまいます。これは腰の曲がったおばあちゃんの歩き方を想像してもらうと分かりやすいですね。

腰、膝、足首といった関節が固定され、かかと着地・つま先蹴り出しでの正しい重心移動ができないとどうなるか。歩くたびに身体の体重がすべてふくらはぎにかかってしまうんです。だから筋肉が肥大し、太くなってしまう。脂肪の滞留と筋肉の肥大という違いはあるものの、原因は太ももやお尻と同じなんですよ」

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ふくらはぎをほぐすのが重要な理由

ふくらはぎが疲れているのは分かりにくい。「ふくらはぎが張ることは多いですが、それほど不快に感じないので、みんな注意を向けないのです」と話すのは、著者に『Muscles to the Masses』を持つマッサージセラピスト兼強化コーチのジュリー・リード。「でも、触診中に私が押すと痛みが走り、驚く人は多いですね」

この状態を放っておくと、体の他の部位に支障が出ることもある。ふくらはぎの張りはヒザや足首の痛み、シンスプリント、足底筋膜炎、アキレス腱炎、背中の故障につながりかねない。

なぜ? ふくらはぎを構成するのは、ヒザとかかとの底につながっている2つの筋肉。1つ目の腓腹筋はヒザの屈曲に不可欠で、2つ目のヒラメ筋は足底の屈曲(つま先を上げるなどの動き)に欠かせない。

リードによると、ふくらはぎの筋膜(筋肉同士を結び付ける薄い組織の層)は、足の裏から太ももの裏まで伸びている。そのため、ふくらはぎが張っていると、他の筋肉・腱・関節に過剰な負担がかかり、しゃがんだり、歩いたり、立ったりするのが困難になる。

でも、ここで紹介するマッサージとストレッチを定期的に行えば、ふくらはぎの張りがほぐれて、あっという間に痛みが和らぐはずだ。

まずはふくらはぎの筋肉について知ろう

・腓腹筋(ひふくきん)
腓腹筋は上腕二頭筋のように2つの盛り上がりがあり、膝の後ろから下腿(かたい)の後ろ半分くらいまで伸びて、かかとについているアキレス腱につながっている。ふくらはぎといえば、この筋肉を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

・ヒラメ筋
腓腹筋とアキレス腱の下には、ヒラメ筋というふくらはぎの第2の筋肉があり、膝の裏の外側からかかとに向かって伸びている。腓腹筋は、ふくらはぎを鍛えたときによく鍛えられる筋肉なので、知られているかもしれないが、ヒラメ筋も足首を安定させ、安全に保つ働きがある。だからどちらも大切な筋肉と言える。

効果的にふくらはぎをほぐし、よりバランスのとれた下半身を手に入れよう。

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ふくらはぎを整えるモビリティワークの組み立て方

ストレッチの前に、必ずふくらはぎのマッサージを。そうすれば、筋肉がリラックスして伸びやすくなる。ストレッチが終わったら、自重によるスクワットかランジで可動域を確かめて。

「マッサージとストレッチによって安全に動かせる幅が広がったことが分かると、脳は体に『もう大丈夫、新しい可動域を使っておいで』というメッセージを送ります」とリード。

よって、この順番でエクササイズを行えば、体が温まり、しなやかになるだけでなく、長期にわたって広い可動域を維持することも可能になる。

ふくらはぎのマッサージのやり方

1.ラクロスボールを使ったふくらはぎマッサージ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ
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床に座って両脚を前に伸ばす。ラクロスボールかソフトボールをふくらはぎの付け根(足首の真上)に置く。右脚でボールを左右に動かしてから、ゆっくりとふくらはぎの上の方まで持ってくる。その途中で押すと痛い箇所が見つかったら、そこにボールを当てて足を時計回り・反時計回りに回し、10~15秒マッサージ。

もっと圧をかけたい場合は、右脚のスネの上で左脚をクロスさせる。また、ヨガボールの上にボールを置いて高さを出せば、圧が強くなると同時に、足首を動かすスペースが広くなる。右脚のふくらはぎが終わったら、左脚のふくらはぎにも同じだけ時間をかけて。

2.フォームローラーを使ったヒラメ筋マッサージ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ
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フォームローラーの上に座って両脚を前に伸ばす。お尻をゆっくり左右に動かし、押すと痛い箇所を探しながら、フォームローラーをふくらはぎまで持ってくる。その途中で痛い箇所が見つかったら、そこにフォームローラーを当てる。10~15秒深呼吸したら、またはトリガーポイントがほぐれたらリリース。ふくらはぎ、ハムストリングス、臀筋が全てカバーされるまで、このプロセスを繰り返す。

3.ふくらはぎのオイルマッサージ

ヴェレダ インストラクターである大石めぐ美さんが教えるふくらはぎのマッサージ法をご紹介。「脚はとてもむくみやすいので、少し圧をかけてマッサージすると気持ちがいいです。私も立ち仕事が多く、むくみやすいので、このマッサージを毎日取り入れています。むくみがいつもよりひどいな、と感じるときは、動画よりも回数を増やしてみて」と大石さん。

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ふくらはぎのストレッチのやり方

1.下向き犬のポーズ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ


このストレッチは、ふくらはぎだけでなく、ハムストリングスを伸ばし、肩を開き、足首を温めるのにも効果的。よつんばいになり、手首を肩の真下、ヒザを股関節の真下に置く。手で床を押しながら、頭をヒジの間に入れて、お尻を空中に押し上げる。かかとを床に押し付けるイメージで、30秒~1分ホールド。左右のヒザをときどき交互に曲げるといい。

2.かかと落としストレッチ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ
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ふくらはぎと一緒にアキレス腱も伸ばして強くしたいなら、このストレッチを試してみて。用意するのは、ヨガブロックと小さな台。台の上に立ち、右足は母指球だけ台に乗せ、かかとを台の外に出す。重心のほとんどを右足のかかとにかける。右足のかかとを床に向かって落としたら、30秒~1分ホールドし、左右の足を入れ替える。ふくらはぎを別の角度から伸ばしたいなら、軸足のヒザを軽く曲げてみて。

かかと落としストレッチは、ウォームアップの中で可動域をチェックしたいときにもオススメ。台の上に立つところまでは同じだけれど、この場合は両足のかかとを台の外に出す。かかとを床に向かって落としたら、母指球に力を入れてかかとを上げる。これを8~12回繰り返してみよう。

3.壁を使ったふくらはぎストレッチ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ
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壁から30~60cm離れて立つ。右足を前に出し、母指球を壁に押し付け、かかとを床にピッタリつける。壁に手をつくとバランスがとりやすい。腰を前に出しながら、左足を地面に押し付けると、ストレッチが深くなる。30秒~1分ホールドしたら、左右の足を入れ替える。

4.レジンスタンスバンドを使ったふくらはぎストレッチ

ふくらはぎ マッサージ ストレッチ
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レジスタンスバンド(ストラップ、タオル、ロープでも可)を持って座り、両脚を前に伸ばす。右足の母指球にバンドを引っかけ、つま先を自分の方に向けながらバンドを引っ張る。右足のかかとを押して遠ざけると、ストレッチが深くなる。30秒~1分ホールドしたら、左右の足を入れ替える。

※この記事は当初、アメリカ版『Prevention』に掲載されました。

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。

Text: Adele Jackson-Gibson Translation: Ai Igamoto