寒い季節になると、より美味しく感じる温かい食事。

コンビニのホットスナックは、常に温かい状態で提供される軽食の一つで人気が高い。から揚げやコロッケなど揚げ物の香りにつられて、ついつい買ってしまうという人も少なくはないはず。

「店内調理のできたてが多いので、お弁当やおにぎりよりも魅力的に感じてしまいます。また、必ずレジ横に見えるように配置されているので、会計のついでに何気なく買えてしまう手軽さもダイエットには大敵です」

ホットスナックと言えば各社人気のから揚げ。

ダイエットはもちろん、ボディメイクなどで揚げ物を控えるべきであることは誰もが承知の事実。しかし、ホットスナックの中にも良し悪しがあるというのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「揚げ物や加工肉は高脂質でダイエットには不向きですが、意外に低脂質なホットスナックもあります。もちろん加工品は控えるに越したことはありませんが、どうしても食事が疎かになってしまう時は利用するのもありでしょう」

今回はコンビニで手軽に買えるホットスナックのベスト3とワースト3を挙げてもらった。食べるタイミングなども注意しながら、選ぶ時の参考にしてみよう。

ワースト③高級肉まん
chinese steamed buns
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毎年、リニューアルや新商品が販売される肉まんの中でもひときわ目を引く高級シリーズ。他の商品より一回り大きく、贅沢な食材が使用されている。

「スーパーの精肉コーナーを見ても分かるように、基本的にお肉は高級になればなるほど脂の量が多くなります。また、皮も厚い商品が多いので、糖質、脂質共に過剰になります」

多くの商品は肉と小麦が主原料。さらに見た目以上のボリューム感やジューシーさは、肉に添加されたラードや植物性油脂のおかげと言っても過言ではない。

「脂っぽいものは依存性が高く、食べ過ぎれば食べ過ぎるほど、もっと食べたいという悪循環を招いてしまいます。ホットスナックのみならず、普段から脂っこいものを頻繁に食べないように注意しておきましょう」

第六の味覚とも言われる“脂肪味”。

この味覚への反応が鈍くなり、満足感が得にくい体になってしまうと、ダイエットどころか健康までも損なってしまう可能性があるので要注意。

ワースト②フランクフルト
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「WHO(世界保健機関)の研究機関である、IARC(国際がん研究機関)は、加工肉の摂取により大腸がんのリスクが増加するとし、加工肉を『グループ1(人に対して発がん性がある)』に分類しています」

加工肉といえばハムやソーセージなど、今や私たちの食卓には欠かせない存在。もちろんそれらを一切排除しなければいけないということではなく、健康的にダイエットを進めていく上では食べる頻度を注意していくべきだと林さん。

「多くの加工肉には様々な食品添加物が使われています。これらは腸内環境を乱し、ダイエットに水を差します。また、ジューシーさを出すために人工的に油脂が添加されているものも多く、高カロリーかつ通常のお肉では味わえない風味や満足感で感覚が麻痺してしまいます」

もちろん、これらの加工肉や使用されている食品添加物は、毎日食べ続けても健康上の問題は起こらないと言っていいくらいの安全性が確保されている。

しかし、昔よりも摂取量が多くなったことにより腸内環境がマイナス方向に変化していることには注意が必要だ。

ワースト①からあげ
コンビニのホットスナック、ダイエットにはどれがいい?
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各社売上No.1のから揚げが、林さんの選ぶワースト1位。もちろんダイエットに揚げ物を控えることは納得だが、それ以外にも注意すべき点があるという。

「人気があるということは、それだけ揚げ油の使用頻度や温度変化も多く、激しい劣化は否めません。もちろんから揚げだけでなく、同じ油を使って調理されるコロッケなどにも注意が必要です」

さらに調理後は保温機器で数時間保管され、その間に酸化がさらに進んでしまう。揚げ物はやはり家庭で新鮮な油を用いて調理するのがベストだという。

「油の質はダイエットを大きく左右します。ホルモンや細胞膜を構成する重要な栄養素ですので、良質なものをなるべく多く摂るように心掛けてください。もちろん、どんな食材も揚げるだけでワンランク質が落ちるということもお忘れなく」

ワーストにランキングされた3商品に共通する注意点は、控えるべき油脂。

これらを極端に好んでしまう味覚こそ、ダイエットを進めていく上では何より一番に矯正が必要だ。

ベスト③あんまん

肉まんがワーストホットスナックである一方、あんまんはトレーニング前後の栄養補給に最適だと林さん。

「ダイエット中の間食には和菓子が良いという話を聞いたことがあるかもしれませんが、あんまんも栄養バランスとしては和菓子の仲間と言えます。カロリーもおにぎり一個強で、粒あんであれば食物繊維はおにぎりよりも多くなります」

餡と皮では消化時間が異なるので、断続的に長時間エネルギー供給がされる。そのため、運動前の栄養補給や運動後すぐに食事が摂れない時の間食としては最適。

運動後は体重が減ったと喜びたいところだが、使ったエネルギーはしっかりと補給することで、次への回復とより良エネルギー循環に繋がる。

「あんまんなどで十分なエネルギー源を回復させた上で摂るプロテインは、今まで以上のパワーを発揮してくれます。ダイエット中でも、運動後はタンパク質+糖質補給を心がけておくことが回復力の要になります」

ベスト②焼き鳥
コンビニのホットスナック、ダイエットにはどれがいい?
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居酒屋でも人気な焼き鳥は、言わずとも知れた低脂質、高タンパク質なダイエット向き食品。食べるプロテインとも言えるホットスナックで、一本当たり約10~20gのタンパク質を含む。

市販のプロテインドリンクも同量程度のタンパク質を含むので、空腹感が強いときは焼き鳥から補うのも良いと林さん。

「ダイエッターに人気の胸肉を使った商品はあまり見かけませんが、もも肉の焼き鳥でも脂質は3g程度とかなり低脂質。しっかりと噛んで食べることでドリンクよりも満足感が高く、その後の食事の食べ過ぎも防いでくれます」

タンパク質の摂取源をプロテインに頼り過ぎたくない人や、夜遅い時間に運動を行い、就寝までの時間が短い人にもちょうど良い栄養源。

万が一、運動後に食事を準備する時間がない場合でも、お米などの炭水化物と組み合わせれば立派な食事に変身する。

ベスト①おでん
oden, japanese winter cuisine
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タンパク質が豊富な卵やちくわ、低カロリーの大根やこんにゃくなど、種類が豊富なおでんはダイエット中にとても活躍する食事の一つ。

組み合わせ次第で栄養バランスをコントロールすることもできるので、朝昼に食べすぎた日の夕食や、会食が続く日のランチなど、一日のカロリーを調整するには最適。

「具材の中でも、さつま揚げや厚揚げなど揚げ物のデメリットは考え出すとキリがないですが、それ以上に余計な塩分を摂らないよう、つゆの摂取量にも配慮が必要です」

和食最大の欠点とも言えるのが塩分の多さ。焼き魚やみそ汁、漬物といった健康によい食事を心がけている人こそ、より一層気を付けてほしいポイントだと林さん。

「家庭で作れば、コンビニのおでんつゆより30%程度減塩しても満足感に大きな影響を与えません。塩分過多が浮腫みの原因になることは百も承知かと思いますが、具材では特に練り物に多く含まれ、知らず知らずのうちに摂取していることも多いです」

慢性的な浮腫みに悩む人は、食事の改善だけで1~2kgの減量は容易に行える。PFCバランスばかりを気にしていた人は、明日から塩分量も調節して一日5g以下を目標にしてみよう。

出汁のうま味は塩分を控えるための重要な基本味の一つなので、ダイエット中に活用しない手はない。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/