当たり前のように、食事は「野菜→肉→炭水化物」の順で食べる「ベジファースト」を実践している人も多いのでは? でもお話を伺ったダイエット外来ドクターである工藤孝文先生は、その常識は古いという。昨今は肉を先に食べ、そのあと野菜→炭水化物の順で食べる「ミートファースト」というダイエット法が注目されているそう。今回は、この「ミートファーストダイエット」の効果とやり方について徹底解説する。

目次

ミートファーストってなに? 

「ミートファースト」とは、肉を先に食べ、そのあと野菜→炭水化物の順で食べるダイエット法。

そもそもベジファーストは、糖や糖質の吸収を抑える食物繊維を先に食べて、脂肪蓄積・肥満の原因となる血糖値の急上昇を抑えるという理論。

一方ミートファーストは、タンパク質や脂質 によって分泌されるインクレチンという消化管ホルモンの働きで、食後血糖値の上昇を防ぐだけでなく、大幅な食欲抑制効果や満腹感も得ることができるという最新の研究をベースにした「食べる順番ダイエット新常識」である。

ベジファースト VS ミートファースト痩せたのは?

工藤先生の患者さん30名を対象に、15名ずつ2グループに分けて、それぞれ「ベジファースト」と「ミートファースト」のダイエット法を2週間実行してもらった結果がある。

どちらも体重の減少(ベジは平均-2.4kg、ミートは平均-3kg)と血糖値の低下が見られたが、総タンパクで言えば、前者は減少し、後者は増加。ミートファーストは、筋肉を落とさず、脂肪のみを落としたので代謝がアップして痩せたといえる。

ミートファーストの効果

ちょっと食べただけでおなかいっぱいに!
肉を食べた時の胃もたれする感じ......。それをダイエットに応用! 肉の脂には満腹感を早く感じさせる効果がある。ちなみに、お肉が苦手で胸焼けするという人は、よく噛んで食べるようにして。噛む回数が増えれば唾液が多く分泌され、消化酵素のアミラーゼの効果で胸焼けや胃もたれを防げる。ひと口の咀嚼の目安は30回。

胃が小さくなって少食に
痩せホルモンとも呼ばれている「インクレチン」という消化管ホルモンには、胃を休息状態にする作用があり、そのカギとなるのが肉の脂である。肉の脂によって分泌されるインクレチンの効果で、血糖値の乱高下がなくなって安定し、食欲がおさまるので、おなかも空きにくくなる。

筋肉量・代謝も向上
肉を食べて体のタンパク質量を増やすことで筋肉が増え、脂肪が燃えやすくなり、基礎代謝の高い「痩せ体質」が手に入る。

ミートファーストのやり方

ミートファーストは、シンプルなルールなので、すぐに実践できるはず。食事をするときはいつも「肉 → 野菜 → 炭水化物」の順番で食べるようにすること。このダイエットは、肉をたくさん食べればいいということではなく、大切なのはあくまで食べる順番。また、食事は15分以上かけてゆっくりと行い、よく噛むことも意識してみて。 

何肉が良い? おすすめ食材

「肉ならなんでもOKですが、L-カルニチンが多く含まれるお肉を選んだほうが、ダイエットとしては効果的です」と工藤先生。食卓には欠かせない肉、豚肉や鶏肉、牛肉に加えてほしいのが、ダイエットミートとして最も優秀な「ラム肉」。L-カルニチンの含有量が多いだけでなく、他の肉より低カロリー。そして、高たんぱくでミネラルも豊富である。特定のお肉ばかり食べていると栄養が偏ってしまうから注意して。

ミートファーストの注意点&気をつけるべきこと

肉は消化吸収に時間がかかるため、夜に食べる時は、就寝3時間前までに食べ終わるようにしよう。また、胃薬はできるだけ飲まないようにすること。ミートファーストで胃腸の動きをゆるやかにして食欲を抑制しても、胃薬を飲んでしまったら水の泡になってしまう。肉による胃もたれが気になる場合は、毎食後としっかり噛むことを心がけて。最後に、ミートファースト実践中は水分補給をしっかり行って

■お話をうかがったのは……

工藤孝文(くどう・たかふみ)先生

工藤


糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。NHK「ガッテン!」日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、アスコム「やせる出汁」は、15万部突破のベストセラー。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

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Headshot of Nana Fukasawa
Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。