アンチエイジングは30〜50代の約85%の女性が興味を抱く。しかし、願望とは裏腹に年齢には誰も逆らうことができないのが現実。

「加齢を防ぐことはできませんが、加齢と共に衰える様々な要素に歯止めをかけることは可能です。特に女性は男性と比べてホルモンバランスなどの影響も大きいので、間違ったダイエットは老化を促進させてしまいます」と語るのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

アンチエイジングと言われて一番に思い浮かぶのが肌のケア。

実際に40%以上の女性が肌に最も気をつかっており、今後新たに取り組むアンチエイジング対策としても注目度が高い。しかし、実際のアンチエイジングは表面的なもの以上に、体の内側に目を向けるべきだと林さんは続ける。

「見た目には敏感でも、中身の変化には気付きにくいものが多くあります。正しい運動と食事でアンチエイジングダイエットを行えば、自然と見た目にもアンチエイジングが現れてきます」

アンチエイジングダイエットを成功させるための5つのポイントを紹介。

【ポイント①】速筋

profile of proud young woman showing off her arm muscles
skynesher

白い筋肉(白筋)とも呼ばれる速筋早く強い力を出す筋肉

一般的には筋トレなど高負荷トレーニングで鍛えられる筋肉で、対極にあるのが有酸素運動で使われる遅筋(赤筋)。

加齢と共に衰えやすい前者の筋肉は、いざというアクシデントに見舞われた際、とっさに身を守るための大切な筋肉。

「日常生活で使う機会が少ないが故に衰えやすい筋肉ですが、つまずいて転倒しそうになったときに足を踏み出し、体を立て直すなど瞬発的な動きに必要です。ダイエットで有酸素運動をメインにしている方も、筋トレなど高負荷トレーニングを組み合わせることで、安全な日々を送りながらのアンチエイジングダイエットが可能です」

筋トレの中でもスロートレーニングではなく、瞬発力や最大筋力、パワーを鍛えるジャンプやスピード種目で速筋は鍛えられる。

速筋は糖質のエネルギーをたくさん使ってくれる筋肉でもあるので、筋トレと合わせて栄養の摂取も怠らないことがアンチエイジングダイエット最大のポイント。

【ポイント②】骨量

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Klaus Vedfelt

成人の骨の数は206個。

そう聞いたことがある人も多いだろうが、実は骨の数は加齢と共に減っていく。乳幼児期には300個以上ある骨同士が癒合し、ひとつの大きな骨になる。

これは体が強くなる一方で、柔軟性が失われていく原因の一つでもある。

加齢によって骨数だけでなく、骨形成と骨破壊のバランスが崩れ骨量も低下していきます。特に女性の骨量低下は著しく、閉経後にはさらに加速し、骨粗鬆症に悩む人も多くなります」

骨は人体を支持するだけでなく、ミネラルの貯蔵庫でもあり造血機能も有する最大の臓器。水分も15〜20%含んでいるので、まさに若さの指標になる。

運動により筋肉を動かすことでホルモンが分泌されるように、骨にも衝撃や負荷がかかり若返りホルモンとも呼ばれる様々な物質が分泌される

「カルシウムやビタミンDの摂取も大切ですが、それらはあくまで骨の材料にすぎません。運動により摂取した栄養を定着させ、新たな骨形成を促すことが体の芯からのアンチエイジングダイエットになります」

【ポイント③】関節可動域

happy young woman with raised arms dancing in nature
Westend61//Getty Images

「前述の通り、筋の弱化や骨の癒合などにより関節可動域は低下します。また、関節滑液減少により、ちょっとした動きで痛みが出るなどの不都合も生じてきますので、若々しい動きをキープするためには可動域の確保は重要です」

関節の動きが制限されると運動量の低下はもちろん、転倒などによる思わぬ怪我のリスクも高くなる。関節には十分に柔軟性があり、筋肉には強さがある体こそがアンチエイジングのバロメーターだと林さん。

筋トレなどの高負荷トレーニングで速筋を鍛えることが骨を強くすることにも繋がり、ひいては関節可動域の低下を防ぐことにもつながります

代謝を上げるなどの理由はもちろん、それ以外にも様々な角度から筋トレの重要性を理解しておくことが、将来的に正しいアンチエイジングダイエットを続けられる体を作ってくれます」

【ポイント④】水分量

close up of a glass of water shining in the sunlight on a bright blue background
Elizabeth Fernandez//Getty Images

加齢と共に水分量が減ってくることは周知の事実。

こまめな水分補給を心がけていても、実は加齢と共に喉の渇きも感じにくくなるので、特にダイエット中は食事量や運動量の変化も確認しながら、いつも以上の水分補給を心がけてほしいと林さんは語る。

「筋肉量や骨量、内臓機能の低下が水分不足に繋がります。特に筋肉は水分を溜める貯蔵庫でもあるので、運動不足は老化に直結します。

また、糖質も水分と結合して体に貯蔵されているので、過度な糖質制限ダイエットはアンチエイジングの観点からはおすすめできません」

体内の糖質エネルギーが減るということは、溜め込める水分量も減ってしまう。肌に潤いを感じなくなった人が必要なのは、実は美容液ではなく糖質エネルギーと水分かもしれない。

【ポイント➄】肺活量

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Deagreez//Getty Images

呼吸循環器系も加齢と共に衰える機能の一つ。

横隔膜や肋間筋の筋力低下と肺の弾性低下により、肺に残る気量が増える。吸うことばかりに意識をするのではなく、しっかりと吐き切ることが大切だと林さん。

「内臓も筋肉でできているので、骨格と同じく柔軟性は大切です。特に現代人が不足しがちなミネラルであるマグネシウムは、筋肉を弛緩させる役割もあるので欠かさないようにしましょう」

海藻類やナッツ類はマグネシウムが豊富なアンチエイジング食材。リラックスの副交感神経を活発にする働きや、睡眠ホルモンであるメラトニンを作る時の補酵素としても活躍する。肺機能低下は睡眠の質にも大きく影響するので、栄養も疎かにできない。

「臓器や組織は使えばその機能は発達しますが、使わないと低下します。筋トレだけでなく、心肺機能もしっかりと使う有酸素運動などを取り入れ、運動もバランスよく行うことがアンチエイジングダイエットでは大切です」

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/