緑茶、生姜茶、ペパーミントティーであろうと、自分が好きなお茶を飲んで風邪の症状を和らげよう。
喉に痛みやイガイガ感があるとき、咳き込みそうなときは、温かい飲み物が飲みたくなる。
実は、この直感は正解! 「温かいお茶は、炎症を和らげるだけでなく、鼻通りがスッキリしたり、喉の調子を悪化させる鼻水の量を抑えてくれることもあるんです」と話すのは、アメリカの保険会社「カイザーパーマネンテ」に所属する感染性疾患の専門家、ステファン・パロディ医学博士。「お茶の種類によって、局所的に痛みを緩和するものや、鼻水の産生を促すものもあります」
しかしながら、パロディ医学博士が言うように、どの種類のお茶が、一般的な風邪やインフルエンザに効果的なのかを特定するような研究はなされていない。「治療に最も有効な種類のお茶や、茶葉の組み合わせを特定する研究が過去に一つもないのは、それぞれのお茶の効き目に必ず個人差があるからです」
ミシガン州アナーバーにあるお茶の専門店「TeaHaus」の所有者で、ティーソムリエの資格を持つリサ・マクドナルドは、お茶の成分や分子構造、特定の効能を発揮するブレンドティーに精通している。
「白茶、緑茶、烏龍茶、黄茶、紅茶は、全て同じ植物(「アメリアシネンシス」というツバキ科の植物)の葉から作られており、全てのお茶に健康効果があることをみんなが理解してくれることが、私にとって大切なことです」と、マクドナルド。「水分補給とお茶の効能を得るためには、飲む量が重要ですので、お気に入りのお茶を飲むことを強く勧めています」
例えば、大好きな紅茶は何杯でも飲めるけど、緑茶のほうがヘルシーだから、苦手だけど我慢して1杯だけを飲み切る。このような飲み方は、風邪やインフルエンザに有効なせっかくのお茶の効能が、十分に得られないという。今回『Prevention』から紹介する8種類のお茶は、どれも喉の痛みを和らげる効果があるものばかり。この中から自分が一番好きなお茶を見つけて飲んでみよう。
ほんのり甘いリコリスの根は、スペインカンゾウ(マメ科・カンゾウ属)と呼ばれる多年草の植物であり、漢方薬の主原料。リコリスといえば、胸焼けなど胃の不調を緩和する効果で知られているが、2015年に中国医学科学院が発表した論文では、喉の痛みを伴う細菌やウイルスと戦う、リコリスの抗菌作用や抗ウイルス作用が取り上げられている。
マーシュマロウの根として知られるハーブ(学名は薄紅立葵:ウスベニタチアオイ)が分泌するネバネバしたジェルのような粘液に、喉を保護して痛みを和らげる効果があるという。2014年に実施された小規模な実験では、炎症からくる痛み(喉の痛みなど)を軽減するマーシュマロウの根の効果が証明されたている。マーシュマロウと聞くと、お菓子のマシュマロの味を連想するかもしれないけど、味はマイルドで、緑茶に似たようなお茶。
マクドナルドは、リコリスルートとマーシュマロウルートをブレンドしたハーブティーも勧めている。「天然の甘味がしっかりしていて、なめらかな口当たりが喉を守ってくれますよ」と、マクドナルド。
「美味しいハーブティーが飲みたいときは、カモミールティーに蜂蜜を入れることをお勧めします」と、マクドナルド。「カモミールには精神を落ち着かせる作用があり、蜂蜜には自然な甘味を加えるだけでなく、喉を保護する働きもあるんです」。さらにカモミールティーには、優れた抗酸化作用があることも科学的に証明されており、喉を潤し、かすれ声や痛みを快方に導いてくれるよう。
生姜とガランガル(ショウガ科の植物の地下茎)は、抗炎症効果が高いことで有名。喉の痛みを伴う感染症や炎症を対処するのに最適だが、シナモンを加えると効果が倍増するとマクドナルドは言う。風味が増すだけでなく、抗菌作用も一緒に摂れるからだそう。
ショウガ科のターメリックは、感染症と戦ってくれる殺菌・抗菌剤として、長年南アジアで使用されている。カレーや炒め物、スープの香辛料というイメージのほうが強いかもしれないが、お茶として飲むことで、抗炎症効果や抗菌効果が得られることも証明されている。ほかには、胃の不調を和らげる効能があることでよく知られているよう。
冷却効果が欲しいときは、ペパーミントの出番。メントールが大量に含まれているペパーミントは、涼感をもたらしてくれる。また、ペパーミントとメントールには抗菌作用があるため、レンサ球菌など細菌の感染症が引き起こす喉の痛みには効き目があるそう。
アカニレ茶とは、北アメリカのスリッパリーエルム(アカニレ)の木、またはニレの木の樹皮粉末で淹れるハーブティーのこと。マーシュマロウの根と同様に、スリッパリーエルムの内樹皮には粘性があるため、喉を保護して痛みを和らげる効果がある。米国立衛生研究所によれば、喉の痛みを軽減する薬用のど飴にも使用されているそう。
緑茶には、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどさまざまま栄養素が含まれているが、特に抗酸化物質の含有量は、茶葉の30%を占めるほど抜群に多いとのこと。
緑茶が、病気予防や心臓の健康を改善することと結びつけられているのはこのため。緑茶には、抗炎症作用や抗菌作用、抗ウイルス作用があるため、特に体調が優れないときにオススメ。
※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。
Text: Anisa Arsenault Translation : Yukie Kawabata
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