スパに、シートマスク、旅行……セルフケアには、しばしば抽象的で、もっと言えばドリーミーなイメージがつきまとう。しかし実際、セルフケアを実践することは、メンタル的、感情的、スピリチュアル的、そして肉体的な健康にとって大きな変化をもたらす。それを体現しているのが、ジェニファー・アニストンではないだろうか。今回は、2021年の米Vogue誌で明かされたジェニファーのセルフケアルーティンを、ここ数ヶ月、エイジングに悩みはじめたライターが1ヶ月間試してみた。その効果は……?

1.起床後1時間スマホは禁止

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Redlio Designs//Getty Images

ジェニファー・アニストンの起床時のセルフケアは、おそらく私に最も必要なものかも……

フレンズのスターは、少なくとも起床後1時間はスマートフォンを見ることはないそう。そして、彼女は言う。「これがもたらすメンタル的な違いは、1日全体に影響を与えるわ」と。

一方、私の1日は5時にはじまる。目覚めを知らせるアラームが鳴ってから、用を足して、顔を洗ってスキンケアをしたら、フェイスローラーまたはグアシャでマッサージ。その後、眠たい目をこすりながら白湯の準備。ここまでは、優等生寄りな朝のルーティンだけど、問題はこの後。白湯を入れている間に、インスタグラムをチェック。好きなセレブやインスタグラマーがポストやストーリーをアップしていたら、多少テンションは上がり「いい朝♡」なんて思ったりするけれど、もちろんそればかりではないし(むしろそればかりではないことの方が多い)、大体無意味にSNSを巡回するだけ。

その後、ヨガの練習(ポーズ)をするんだけど、その日の気分に合わせてBGMを決めるので、ここでもスマホをしばらくスクロールする。この時、おすすめの音楽とかポッドキャストに目移りしてしまうことが結構ある。体を動かして、頭が冴えてきたら、次はメディテーションの時間。ここでもスマホの登場。BGMを選んだり、ガイドメディテーションを選んだりするだけなら、まだいいんだけど、その間にちょこちょこ余計なこと(主にSNSをチェック)をしてしまうことも。

こうふり返ってみると、朝一番からいかに自分がスマホに依存して、スマホに操られているかがよく分かる……

ちなみに、ジェニファーはスマホを別の場所において、目覚まし時計や睡眠アプリにはiPodや古いiPhoneを使っているんだとか。確かにベットルームにスマホを持ち込むことはおすすめできないというのはよく聞く話だし、セレブもやっているんだから、真似しないわけにはいかない。

結果から言うと、これは本当にやって損はないはず。最初の3日間はちょっと落ち着かなかったり、不安さえ感じたけれど、4日目から「なんか、いいかも」と思うように。ヨガやメディテーションの練習にかなり集中できるようになったし、自分だけに集中できるている感じがかなり贅沢。今では、朝1番に他の人の生活や出来事をチェックしたり、情報をキャッチすることほど、無意味なことはないとまで思うようになった。別にそんなに生き急ぐ必要はないし、ちょっと出遅れたからといって、それこそ私の人生にはなんの支障ももたらさない。音楽やガイドメディテーションなしで無音のままヨガやメディテーションの練習をしたり、窓を開けて朝の鳥のさえずりを聴いたりして練習してみると、結構いい気分になれる。

2.コラーゲンパウダーをコーヒーにプラス

collagen powder over pastel blue background with copy space dietary nutritional supplement
Anna Blazhuk//Getty Images

朝のコーヒーは欠かせない。それはセレブだって同じ。

ただし、ジェニファーにとってコーヒーを飲む時間は、ただ頭をしゃっきりするだけのものではなく、美と健康のための時間になるようだ。

ジェニファーは、朝のコーヒーにバイタルプロテインズのコラーゲンをひとすくい、シナモンをひと振り、甘いものが好きなのでステビアを1包加えるんだとか。その間に、ミルクフォーマーでフォームミルクを作る。ちなみにジェニファーはアーモンドミルク派。時々、牛乳をチョイスすることもあるそう。またギルティープレジャー(恥ずかしくて他人に言いたくない、認めたくない趣味や楽しみ)として、Hazelnut Coffee Mateを楽しむこともあるんだって。

サプリメント大国のアメリカでは、2021年頃からコラーゲンパウダーが一大センセーションを巻き起こし、その熱は未だにおさまる気配なし。中でも、ジェニファーがアンバサダーを務め、愛飲しているバイタルプロテインズのコラーゲンパウダーはアメリカで人気ナンバーワン。ジェニファー以外にも多くのセレブリティーが愛飲していることで知られている。

ちなみ、コラーゲンがセレブの中で注目を集めているのはどうしてか、あなたは知っている? その理由を簡単に説明するとコラーゲンは、美容にも健康にも超大切だから。私たちの体の約20%はタンパク質でできているといわれていて、その内約30%がコラーゲンだという。お肌に潤いを与えたり、美しくしなやかな髪の毛を作ってくれたり、爪や骨を強くしてくれるのもコラーゲンのおかげ。けれど、残念なことにコラーゲンは加齢とともに減ってしまう上、紫外線やストレスの影響でも減少するという衝撃的事実。だから、サプリで補う必要があるというわけ。

コラーゲンを摂ると良いことがあるのは分かったけれど「飲み忘れてしまう」って人、結構多くない? コラーゲンにしろ、別のサプリにしろ、続けないと意味ないし、一度忘れてしまうと、その後再開しなかったり。だから、ジェニファーのように、毎日習慣的に口にしているものに加えればスキップを防ぐこともできる。私は今まで、お味噌汁にコラーゲンパウダーを加えていたけれど、お味噌汁を飲まない日には当たり前のようにコラーゲンパウダーもスキップしていたので、毎朝プロテインを飲む時に一緒に飲むようにしたら、忘れ防止になった。(コーヒーを飲む日もあれば、飲まない日もあるので)もちろん個人差はあるはずだけど、きちんと続ければそれなりの結果も出てくる。継続は力なり。

ちなみに、同インタビューでは、コラーゲンに加えて、ジェニファーは効果のある別のサプリメントで健康を補っていることも明かしている。

3.コーヒーの後にメディテーション+ジャーナリング

セレブリティーの多くがメディテーションをルーティンに入れていることはもはや当たり前。もちろん、ジェニファーだって例外ではない。フレンズスターは、コーヒーを少しだけ飲んだ後にメディテーションの練習とジャーナリングをしているという。

ジェニファーのメディテーション時間は20分間。

パンデミックの最中は、不安レベルを下げたり、豊かさと感謝を生み出す方法として、このメディテーションの練習が役立ったとジェニファーは話している。20分の瞑想をした後は、ジャーナリング。ある日は、10〜12分間無意識の流れに身を任せることもあるし、ある日は、感謝リストを作ることもあると言う。

メディテーションを習慣化している人も結構多くいるけれど、人によってはなかなか続かない、あるいは苦手なんて人もいたりする。そんな人は、ジェニファーも使っている「Insight Timer (インサイト・タイマー)」を利用してみて。無料で利用ができて、ガイドメディテーションから、レクチャー、音楽まで様々なコンテンツがあるので、お気に入りのものが見つかりやすいはず。

メディテーションの練習は、今ここにいることに集中するという時間で、精神安定や集中力アップにつながるので、私も過去5年ほど練習してきたけれど、特に、朝の練習は新たな気持ちで1日をスタートできる。また寝起きが悪かった日でも、朝のメディテーション後にはスッキリしていることが多いので不思議。集中することで得られるパワーは本当にすごい。この練習にジェニファーがやっているジャーナリングを加えたところ、かなり良かった。メディテーション中に雑念が浮かんできたりした時などは気持ちの消化に役立ったし、特に書きたいことがなかった時は、ジェニファーのように感謝リストを作ってみた。感謝リストを朝から作ると、自分がいかに恵まれているのか、幸せなのかということに気づくことができる。見落としがちな些細なことにも気づけて、本当にいい朝が過ごせるから、ぜひやってみて。

4. 情報の制限

social media communication
We Are//Getty Images

ぼーっとしていても、いくつもの情報が限りなく入ってくる時代。むしろ、無意識でいることで、大量の情報にやられてしまうなんてことだって珍しくない。特に、パンデミックの時には、日々の動きや専門家の発言に釘付けになっていたという人も多かったのでは?実は、ジェニファーもそうだったんだとか。今現在は、パンデミックの時に比べて感染症は落ち着いたけれど、それでも情報との付き合い方は、意識的に行わないとバテちゃうよね。

ジェニファーはニュースやソーシャルメディア、またネガティブなコンテンツを制限して、自分の境界線を守っているんだとか。

聴くポッドキャスト、一緒に時間を過ごす人々、ネットフリックスで夢中になって見る番組、インスタグラムでフォローするアカウント、そして自分自身への語りかけはすべて、私たちを養うものなのだ。

情報を制限するために、私がまずしたのは、自分のためにならないアカウントはフォローを外したり、ミュートしたりすること。また、ホラー映画よりも、ハッピーにしてくれるコメディをチョイスしたり、ニュースも絶対に知る必要のあるものに限定(芋づる式で読んでしまいがちなネットニュースは見ない)。また、見てはいけないもの、聴いてはいけないもの、読んではいけないものだけに焦点を当てるのではなく、見たいもの、聴きたいもの、読みたいものをもっと消費するよう意識してみると、制限されている感じがなくておすすめ。

健康について考える時って、食べ物や運動を通して体のことを考えることはもちろんだけど、それだけじゃなくて心と魂にとっても栄養満点なことをするのがベスト。焦りがある時は、特に無意味にネットやSNSを巡回して情報収集をすることが多かったけれど(それはそれで、いつか使えるライターとしての引き出しが増えるのでいいんだけど)、その分、休む贅沢を味わえたり、ずっと気になっていてやっていなかった部屋の隅っこの掃除ができたり、時間の余裕も心の余裕もできた。

5. 年の重ね方について考える

assorted glass bottles with cosmetic liquids, serum or gel vibrant trendy background of cosmetic products, flat lay style
Olena Malik//Getty Images

30代も後半にさしかかった今、エイジングについて考える機会が増えてきた。シートパックは、レチノールやヒアルロン酸が配合されているものが鉄板になってきたし、シミ取り美容や、ハイフにも興味がある(ちょうど1年前までは運動で顔も持ち上がると思っていたけれど、やっぱりそれだけじゃだめなのかしら……)

そんな話はさておき、"優雅に年を重ねる "というバズフレーズを考えるとき、全てのセレブの中でジェニファー・アニストンが真っ先に頭に浮かぶことは、多くの人が同意できることではないだろうか?

彼女はどの年齢においても、驚異的に見えるだけでなく、年を取ることに抵抗していないようにも見える。つまり、人生の各段階に合わせて髪型、美容、日常生活、人間関係を少しずつ調整して、それを楽しんでいるように見えるのだ。

そんなジェニファーの美容、そしてエイジングの土台になっているのが、彼女のママなんだとか。

ジェニファーのママは、よく ”これは長寿の話よ。歳をとるのは特権だけど、病気になる必要はない” と話していたそう。

このシンプルな哲学こそが、彼女の人生のテーマに。ジェニファーは、今の年齢を楽しみ、老いを否定的にとらえるのではなく、老いという特権を享受しようとしている。そう、人は誰でも年をとるのだ。

ジェニファー・アニストンの加齢に対する考え方から得た最大の教訓は、年を重ねることができることは幸せだということ。そして、もっと若くありたいと願うのではなく、人生のすべての年齢を楽しむということが大切だということ。そのために、自分にとってどんな食べ物や運動が必要なのか、またきちんと睡眠をとること、今の自分を大切にすることは未来への投資につながると信じて。

6.自分自身を学び、教育し続ける

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LAW Ho Ming//Getty Images

ある夏、映画の撮影が終わったばかりだった頃、ジェニファーはこう思ったそう。「もっと自分を教育したい」と。

そこで、ジェニファーは毎週日曜日に様々な分野の専門家を招いてサロンを開いたそう。例えば、ジェシカ・イェリンとは政治について、ジェイ・シェッティとはアーシングについて、デビッド・シンクレアとは科学と生命力溢れる人生、そして老いについて。

一つの分野について深く学ぶことはもちろん素晴らしいし、熟達する。けど、その学びが一つの方面からで、しかもそれに固執してしまうと、どうしても偏りが生じてしまうことも。アンバランスな考え方になることほど、自分を苦しめる生き方ってないんじゃないかなって思ったりもする。

ウェルネスのゴールは、ただ健康で美しくなることだけじゃなくて、成長すること。だから、学ぶということは、セルフケアの一部なのだということが、ジェニファーが学びをセルフケアと呼ぶ理由ではないだろうか。健康の成長、自己愛の成長、知識の成長。常に学んでいるとき、私たちは常に成長する。

ライターという職業柄、レクチャーに参加したり、ポッドキャストを聞いたり、本を読んだりして、健康や美に関する知識を増やす努力をしていたけれど、ジェニファーのセルフケアルーティンとしての学びについて知って大きく変わったのは、そうした努力をどう捉えるかということ。これまでは、教育とは自分のキャリアの延長線上にあるものだと考えていた。(もちろん、それは今も変わっていたいけれど)しかし、それだけではなく、自分をケアするための方法としてとらえることで、そこから得られるものが大きく変わった。教育とは、たとえキャリアという名目であっても、単なる肩書きとしてではなく、人間として成長するためのものなの。もはや、それはシートマスクやマッサージ以上に自分を大切にすることなのかもしれない。

ジェニファーになりきってみて……

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ジェニファー・アニストンになりきって1ヶ月を過ごして得た最大の収穫は、マインドセットが彼女の秘訣だということ。もちろん、彼女には最高のビューティ・グルやウェルネス・エキスパートのチームがスピードダイヤルにいるはず。もちろん、お金(と名声)でしか買えない最高の製品を持っていることも確かだろう。だけど、彼女の実際のルーティンはいたってシンプル。2時間のワークアウトも、厳しいダイエットも、朝4時のモーニングコールも、ジェニファーの内側から輝くような輝きを手に入れるためには必要ない。

ジェニファーはセルフケアの儀式を、「理想的な体重」を達成するための仮面や、永遠に若さを保つための仮面として使っているのではない。彼女が健康に気を配っているのは、可能な限り長く、幸せな人生を送りたいからなのかもしれない。

大スターのセルフケアのルーティンに従うことは、驚くほど実行可能。あなたも、トライしてみてはいかが。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk