恋に落ちると人は一気に感情的になり、高揚感や多幸感に包まれる。心臓の鼓動は早くなり、ドキドキが止まらず、ハネムーン期にいる間はすべてが薔薇色のよう! でも数年も経てば、なにかが「変わった」と感じることはあるかもしれない。シングルでいたいと思ったり、他の人と付き合うことを妄想したりするかも。以前は愛おしかったパートナーの性格にもイライラして、自分の気持ちに疑問を抱き始め、Google検索した結果この記事に辿り着いたかもしれない。

実際に、人間関係は時間とともに変化するもの。そして、お互いがなにか“悪いこと”をしたわけでもないのに、お互いから離れていくこともある。愛情が冷めると、破局に向かうこともあれば、努力と時間をかけて愛を取り戻せることもある。

「パートナーに対する愛が冷めたと感じるのは、ときに普通のことです」と話すのは、『The Joy of Imperfect Love』を著書に持つ臨床心理学者のカーラ・マリー・マンリー博士。2人の関係性が明らかに変わったり、浮気などの裏切り行為によって感情が薄れることはあるけれど、ほとんどの場合は「恋をしている」状態から「恋をしていない」状態へゆっくりと移行しているようなもので、マンリー博士いわく、それは一つの問題ではなく、さまざまな要素が絡んで起きている。

「メンタルヘルスの問題だったり、新たな自分を発見すること、アイデンティティや個人的な価値観の変化は、パートナーに対する感情が変わる内的な理由です」と話すのは、テキサス州を拠点とする心理学者で性と自信を専門とするコーチのニッキー・コールマン博士。また、金銭的なストレスや子育て、長期間離れて過ごすなどの外的要因によっても、愛情が薄れることがある。

恋に落ちるのと同様に、恋が冷めることに対する見方も人それぞれ異なる。「ある人にとっては、2人の関係性に変化を感じて、以前のような関係には戻れないことを意味するかもしれません」と話すのは、結婚と家族の認定セラピストのカリー・ハートマン博士。パートナーに対する感情が変わっただけだと捉える人もいれば、それが交際や結婚の終わりと捉える人もいる。

「あなたにとってそれがどんな意味を成そうと、なにかが変わったと感じたときにはそれを認めることが大切です」とハートマン博士。そのうえで、次にすべきことを決めていく。まずは、あなたの気持ちが本当に冷めているかどうかを確認していこう。

あなたの気持ちが冷めている10のサイン

unhappy couple having conflict young caucasian man and caucasian woman turned away from each other
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1. 2人のことやその先の未来に対して関心がない

情熱に溢れていた付き合い始めの頃とは違い、愛が冷めると関心が無くなり曖昧な感情を抱くようになる。ハートマン博士はこれを「パートナーシップの疲れ」と呼んでいる。つまり、関係性に疲れて関係を維持するモチベーションが下がっている状態。「時間が経つにつれて関係性に圧倒され、これ以上自分のエネルギーを投資することに疲れたり、関心を持てなくなることがあります」とハートマン博士。

パートナーシップの疲れは、相手との関わりが希薄になり、興味を失い、将来に対して冷めた態度を示すことがある。大切な記念日を忘れたり、2人の時間を優先しなくなったり、努力をすることに義務感を感じてくることも。もし、これらのいずれかに当てはまるなら、パートナーに対するあなたの恋愛感情が薄れつつある兆候。

2.  以前ほどコミュニケーションを取っていない

相手と感情を伴う深い会話を(浅い会話でさえも)避けているなら、それは警告サインかも。「会話を避け、一緒に過ごす時間を作ろうとせず、自分の感情や思いを伝えることに難しさを感じていませんか?」とハートマン博士。自分の思いをはっきり伝えることを避けたり、本音を隠したり。これでは、時間が経つにつれ、心の距離(と憤り)を生み出す可能性がある。

3.  身体的な距離を作っている

「恋が冷めると、感情的に距離を置き、肉体的な関わりを避け、愛情表現をしなくなるなど、感情的なニーズに反応しなくなることがあります」と話すのは、チャタヌーガを拠点とするパートナーシップに特化した認定セラピストのブランドン・サンタン博士。

たまに一人の時間が欲しくなるのは普通のこと(ストレスを感じている時や仕事で疲れた後など)。でも、ほとんどの時間を一緒に過ごしたいと思わなくなったら、それは関係性が変わりつつある兆候。「時間や活動を共にしたり、将来について話し合う熱意や関心が明らかに減少しているのは、気持ちが冷めてきているのかもしれません」とサンタン博士。

4.  喧嘩が増えた(和解することにも関心がない)

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恋愛に喧嘩や意見の不一致はつきものだけれど、摩擦があまりにも多いのなら愛情が冷めているのかも。「親密さより対立が多いときは、昔となにが変わったのか振り返り、なぜそうなったのかを探る必要があります」とコールマン博士。

愛情が冷めつつあるパートナーは、関係に距離を置く手段として喧嘩や対立を生み出すことがあるが、それ以上に明らかなのは、和解する意欲がまったくない場合。「恋愛関係において頻繁に対立することは決してよい兆候ではありませんが、根本的な問題を解決する意欲がないのは、愛情が薄れているか、永久的な愛を築く相手ではなかったことを示す場合がほとんどです」とマンリー博士。

5.  2人の時間を充実させることに興味がなくなった

交際当初は入念なデートプランや週末旅行のサプライズが当たり前だったとしても、最近は相手と質の高い時間を過ごすことに興味を失っているなら、それは危険信号かも。「前は一緒になにかをして楽しむ時間を過ごしていたかもしれませんが、今のあなたはそれを望まないかもしれません」

「とくに、平凡な日常を送っているときに、パートナーのことやパートナーに会うことに対して高揚感を感じなければ、以前のように愛情を感じていないのでしょう」とコールマン博士。

6.  セックスの頻度が減った、もしくはしていない

絆を深めるために、(プラトニックを含め)さまざまな種類の親密さがある。それが一切ないのなら、愛を経験するのは不可能に思えてくるもの。「スキンシップをとることや親密になることに好ましく思わず、セックスをする意欲もなければ、愛が冷めているのかもしれません」と説明するのは、カウンセリング施設「Revolutionary Reflections」の経営者で、結婚・家族の認定セラピストのスラブヒ・ジャグディッシュ。

あなた(とパートナー)の性欲が増減する理由は多くの要因からきており、セックスやスキンシップの頻度が減ったからといって愛情が冷めていることにはならない。でも、コミニュケーションすらなくなり、体以外での関わりにも興味がなくなっているなら、それは2人の関係性がうまくいっていないことを示すサイン。

「感情的なつながりが深いパートナーは、セックスの頻度の波も優雅に乗り越えられる傾向にあります」とマンリー博士。

7.  シングルでいることや他の人と付き合うことを夢想する

要するに、「シングルでいたいと口にしたり、他のパートナー候補を模索しているのであれば、あなたは今の関係の外にある人生を検討しているのです」とサンタン博士。例えば、独身生活を夢想したり、独身の友人に嫉妬したり、他の人と付き合うことを夢想するなど。

しばらくの間、たった一人の相手と恋愛関係にあった場合は、他の人に恋心を抱くこともある(誰しもが人間だから)。でも、頻繁にパートナーと別れることを考えていたり、パートナーがいないほうがよりよい人生を送れると考えているなら、それは愛が冷めているサイン。

8.  将来の計画を立てていない

交際当初は、パートナーがいない生活のほうが想像できない。でも愛が冷め始めると、将来を共にしたいのか疑問を抱くことがある。「愛が冷め始めると、先の計画を立てなくなる傾向がみられます。例えば、次の休暇や2人の未来のプランを立てることに興味を示さないようであれば、関係を終わらせようとしている可能性もあるでしょう」

9.  相手の気まぐれなところや欠点にイライラし始めた

angry couple standing back to back with arms crossed
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少しくらいイライラするのは至って普通。誰だって完璧じゃない。でも、常に不満を感じたり、パートナーの性格や行動、癖にいつも以上にフラストレーションを感じるようになったなら、それは愛がなくなっているのかも。

「恋愛において、無関心さや満たされない感覚が増幅すると、喧嘩が増え、細かいことを批判し、粗探しをするようになり、2人の関係がぎくしゃくして不満やストレスが多発しやすくなります」とサンタン博士。

10.  2人の人生の方向性が一致していない

マンリー博士いわく、パートナーが別の人生を歩み始めると、2人の距離を大きく感じて愛が自然と冷めることがある。

「愛のあるパートナーシップでは、コミュニケーション、時間や活動を共にすること、絆が深まるような行為が大事です。パートナーが別の道を選び、それによって寂しさや距離を感じ始めると、愛の絆が自然と薄れていくことはよくあります」とマンリー博士。「あるいは、どちらか一方か、もしくはお互いに『自分のことを見てくれていない』『愛されていない』と感じると愛が冷める可能性もあります」

愛が冷めていると認めたら、次にすべきこと

愛が冷めているにしても、それは一般的によくあることだと理解しておこう。あなただけの問題ではないし、あなたのせいでもない。「時間が経つにつれて、恋愛感情の深さが変わることは珍しくありません」 とサンタン博士。「それに、愛が冷めたからといって、必ずしも別れにつながるとは限りません。それが、自分自身の成長と2人の関係を深める機会になることもあるのです」

マンリー博士が言うには、大きな決断をする前に、問題の根本を理解することが重要になる。「パートナーの行動が問題というよりは、単にストレスや、解決されていない自分の内面的な問題だったり、自分自身の変化によるものかもしれません」とマンリー博士。「日記を書く、瞑想する、セラピーを受けるなどを含め、内省することは、パートナーシップの旅路において重要な一部です」

また、2人の全体的な相性や価値観、長期的な目標を見つめ直すようにサンタン博士は勧めている。「直面している問題が一時的なものか、それとも2人がそもそも合っていないのか、冷静に判断するようにしましょう。これによって関係を修復できるか、お互いにとって別れが健全な選択肢となるのかが明確に見えてきます」とサンタン博士。

自分の愛が冷めたことを認めることすら難しいのに、それをパートナーに伝えることはもっと難しいかもしれない。でも、サンタン博士に言わせれば、自分の気持ちについて誠実さと思いやりをもってパートナーに話すべき。「まずは、自分の考えや疑念を伝えるのに適した時間と場所を選ぶことです。自分の感情をはっきり伝えると同時に、相手の立場になって耳を傾けることはとても大切です。効果的なコミュニケーションは、お互いを理解し合い、潜在的な解決策を見つけるための鍵だということを忘れないでおきましょう」

例えば、こんなふうに話を切り出してみるといい。「ねえ、ずっと話したかったことがあるんだけど。私たち、前と変わったような気がする。〇〇も同じように感じることはある?」。緊張するだろうけれど、深呼吸して、正直に。もしかするとパートナーも同じように感じているかもしれないし、その会話がお互いにとっての「癒しの経験」になることだってある。

最終的には、関係を修復するか、終わらせるかを決断するかもしれないし、一度関係を見直すために一時的な休息をとったり、カップルセラピーを受けるかもしれない。「内省し、コミュニケーションをとり、専門的なアドバイスに基づいて2人の将来を決断する必要があります」とサンタン博士。「あなたの幸せとパートナーの幸せを慎重に考慮したうえで決断する必要があることを覚えておきましょう」

冷めた愛が復活することはありえるの?

couple's hands having broken heart with adhesive plaster
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もちろん。「パートナーと再び恋に落ちることはできますよ」とコールマン博士。「時間とともにあなたが変わって成長するように、2人の関係も同様に変化しなければなりません。ここでのゴールは、お互いのことを再発見し、何度も恋に落ちる経験を追求するための新しい方法を見つけることです」

内省し、コミュニケーションをとり、親密さを再燃させる努力をし、一緒に質の高い時間を過ごすことに進んで投資していけば、再び恋に落ちることができると多くの専門家たちは口を揃えている。「冷めた愛を復活させるには、双方の時間と努力が必要です。それは一夜にして実現できるものではありません。忍耐、理解、献身が鍵になります」とサンタン博士。「ですが、お互いが努力を惜しまずに成長することに前向きであれば、出会った頃のような愛と関係性を取り戻すことは十分可能なのです」

そのひとつの方法として、パートナーのことが大好きだった交際当初の頃のことを思い出すようにジャグディッシュは提案している。「時間をかけて自問してみるのです。私はなぜ相手に惹かれたのか。恋に落ちたきっかけは何だったのか。当時相手に伝えていたことで、もう随分と伝えていないことはなにか。当時はパートナーに言われて嬉しかったことで、もう随分と言われていないことはなにか。魅力的だったパートナーの側面に今も目を向けられているか。このようなことを特定できたら、それを2人の関係に再び取り入れてみてください」

愛が冷めることはとてもつらい。だけど、あなた自身にとってなにが最善かを知っているのはあなただけ。もし今つらい時期にいるのなら、自分にもパートナーにも厳しくしないでいること。あなたには幸せになる価値があり、持続的な愛がもたらす喜びを受け取るに値することを忘れないでいて。
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: TIANNA SOTO Translation : Yukie Kawabata

Headshot of 川畑 幸絵
川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。