自分を表現するための「ラベル」が便利なときもあるけれど、セクシュアリティ(人間の性)のように繊細でパーソナルで形がないものを探ろうとしているときは、かえって混乱を招きやすいものでもある。バイセクシュアルであるということが、一部の人にとっては「私は双子座で髪の毛の色はブラウンである」ことと同じくらい明白なことかもしれないが、そうでない人ももちろんいる。なぜなら、惹かれ方や惹かれる相手は、時間とともに変わるものだから。

「セクシュアリティは一生のうちに変わることがあります」と話すのは、ジョージア州アトランタを拠点とする性教育者で研究者のウェンダシャ・ジェンキンス・ホール博士。「ストレートだと思っていた人が、他のジェンダーの人に性的魅力を感じていることに、40代で気付くこともあります」。同様に、ゲイやレズビアン、パンセクシュアルと自己認識していた人が、後になってバイセクシュアルというラベルが一番しっくりくることを発見することもある。

そもそも、バイセクシュアルという在り方に正解も不正解もなく、バイセクシュアルに対する感じ方や捉え方も人それぞれ違うもの。でも、もしあなたが、「自分はバイセクシュアルなのかな?」そんなふうに感じているなら、自分のセクシュアリティを探求していく際に考慮するといいことがある。アメリカ版ウィメンズへルスから詳しくみていこう。

バイセクシュアルとは?

バイセクシュアルとは、男性と女性の両方に魅力を感じるという一般的な誤解があるけれど、実際にはすべてのジェンダーアイデンティティを持つ人に恋愛的・性的魅力を感じる性の在り方。ポール博士は、「同性、または異なる性の人に性愛感情を抱くセクシュアリティ」だと定義している。

全米のLGBTQ+団体のリーダーたちが執筆して編集した『GLAADメディアリファレンスガイド』の最新版によれば、バイセクシュアルの“バイ”は「自分と同じ性と異なる性を指す」と記されている。また、バイセクシュアルの人が必ずしも“同時期に、同じように、同じ程度”に異なる性の人に惹かれる経験をするとは限らない。

「究極のところ、バイセクシュアルに対する認識や定義は人によってそれぞれ異なるのです」と話すのは、ニューヨーク市を拠点に活動するセックスセラピストのジェシー・カーン。もっとも重要なのは、そのラベルが自分にとってなにを意味するのか、そしてそのラベルが自分の性をもっとも正確に表現している理由についてあなたがしっかり理解すること。

あなたが「バイセクシュアル」かもしれない10のサイン

バイセクシュアルの“バイ”が意味するものは人によって異なるが、一番大切なのはあなた自身の自己定義。このことを踏まえたうえで、バイセクシュアルの一般的な10のサインをみていこう。

1. 複数の性別に惹かれる

「複数のジェンダーの人に惹かれる」「性的な妄想をする相手は性別に関係ない」「将来のパートナーを想像したとき、相手は特定の異性でない」。もし、これらのいずれかに該当するなら、カーンいわくあなたはバイセクシュアルかも。同性や他のジェンダーの人に対して性愛感情を抱くのなら、それはあなたが完全にストレートではないということを明確に示している証拠。

2.  過去に“親密さの強い友人関係”を持ったことがある

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Mariia Siurtukova//Getty Images

普遍的な体験ではないが、バイセクシュアルの人は成長していく過程で親密であり複雑な友情関係を経験することが多く、後で振り返ると、クィア(シスジェンダーでない人々を指す)の欲望が芽生え始めた兆候でもある。親友の体に触れたくなったり、親友に恋人ができると嫉妬心を感じたことは?

「異性愛が当たり前とされる社会で同性の友人に強い感情を抱くことは、その感情を説明する言葉や文言がないと理解するのが難しいでしょう」とカーン。親密でありすぎるために、その友情をどう捉えるといいのかわからないこともあるはず。でもそれは、あなたの想いが純粋に友情を超えているというサインかも。

「私はいつもガールフレンドたちと非常に親密でした。お互いに依存し合い、ロマンチックで曖昧で、性的な関係を持っていました。振り返ってみると、私は間違いなく彼女たちに恋していたんです」ー ブリタニー(33歳)

3.  自分が魅力を感じる対象や欲求に戸惑っている

カーンいわく、バイセクシュアルの人は自分のセクシュアリティに戸惑いを感じることがある。なぜなら、自分のセクシュアリティが一部社会に受け入れられている一方で、そうでない部分もあるから。「表面的にはなにひとつ欠けていないようでも、自分のアイデンティティを体現できているのは一部だけ。これにより、内心の葛藤につながることがあります」とカーン。

4.  相手の性別に関係なく、褒められたりすると胸がドキドキする

褒められて嫌な人なんていないだろうけれど、優しくされたり甘い言葉をかけられたりすると、性別に関係なく赤面することはある? 「性別に関係なく誰かを意識することがあるのは、バイセクシュアルかもしれません」とカーン。

5.  同性と関係を持つことを想像できる

同性同士や異なるジェンダーアイデンティティーを持つ人同士のカップルを見ると、自分も同じようなパートナーシップを持つことが自然と想像できるとすれば、それはバイセクシュアル(少なくともストレートではない)であることを示す一つのサインだと説明するのは、家族・カップルセラピストのナターシャ・カミーユ。

カミーユのクライアントには、初めて異性と付き合う経験を通して、自分がバイセクシュアルであることに気付く人が多いという。パートナーシップを通じて、人は自分のことをもっと学び、パートナーを好きという感情を理解した後で、同性やノンバイナリーの人、または性別を持たない人に対しても同じような感情を抱く自分を発見し始める人は少なくない。

6.  カミングアウトした有名人の話に共感する

有名人や著名人など、尊敬する人が自分のセクシュアリティを開示することや、自分がクィアのコミュニティの一員であることをファンと共有したりするのを見ることは、カミーユいわく、計り知れないパワーがあるとのこと。「自分の感情を感じたいように感じていいんだと思えますし、自分のセクシュアリティについて深く考えられるようになります。一部の人にとっては、自分がストレートでないことに気付くきっかけにもなりますし、自分の性について積極的に探求することに対する抵抗が薄れるでしょう」

7.  自分は「人と違う」と常に感じながら生きてきた

ありきたりに聞こえるかもしれないが、これは本当。

カミーユいわく、自分はなにかが違うという内的感覚を持つことは、クィアやトランスジェンダーの人々によくあること。それはどうして? 「よくも悪くも、特定の性別に対し「こうであるべき」という在り方を教えられる社会で私たちは生きています。服装や話し方、人間関係もそうです」とカミーユ。成長していく過程で男性は女性と付き合い、女性は男性と付き合う、という支配的な思い込みにさらされ、自分には他の選択肢があるような気がしてならなくなる。「この段階にいる彼らは、自分が人と違うと感じながらも、自分のアイデンティティを説明する言葉をまだ知らないのです」

「学生時代、緊張して話せないくらい完璧な女の子に出会ったとき、私は自分がバイセクシュアルであることに気づくべきでした。振り返ってみると、彼女は私の初恋でした」ーハナ(34歳)

8.  今の関係では、自分の興味や欲求が完全に満たされないと感じている

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Tony Anderson//Getty Images

「多くの人は、体で体験する快楽と、探求してもよいと信じているものに不一致があるかもしれません」とカミーユ。なぜなら、個々のレベルで体験したいことよりも、社会が適切だとみなすものに重点を置くように私たちは教えられているからだという。

そのため、クィアの多くは、彼らが心から満たされる性的経験をしていないため、性的なバランスがとれていないように感じることがある。そのため、もし女性として認識している人が性的な自己を発見しようとしている場合は、異性と関わりながら同性に魅力を感じたり、他の女性やノンバイナリーの人と出会い親しくなる過程で、自分がどんな感情を抱くか観察したりするなど、パラレルな経験をすることがある。

9.  クィアの小説や物語に引き込まれる

映画、テレビ、本、ミュージックビデオ、ポルノなどに登場するクィアのキャラクターの経験に共感するのなら、そこには重要な意味が隠されているかも。「自分が引き込まれてしまう映画は、自分の経験を物語っている内容であることを示すいい指標です」と話すのは、バイセクシュアルのライターで「Bi Girls Club」の創設者でもあるガブリエル・アレクサ・ノエル。

「初めて『ヘラクレス』を観て、私は自分がバイだと気づきました。メガラという存在が、私にセクシュアリティの気付きをもたらしてくれたんです」ーサラ(26歳)

よく観てしまうポルノに関してもそう。それが必ずしもあなたが好きな(またはしたいと望む)セックスを反映しているわけではないが、自分のセクシュアリティや欲望を探求するのには結構便利。「ポルノこそ、私のセクシュアリティを理解するのに役に立ちました」とノエル。

10.  「自分はバイセクシュアルではないか」とよく考えることがある

「私ってもしかしてバイセクシュアル?」 そんなふうにGoogleで検索しているなら、その理由を自問してみるようにノエルは提案している。でも、恋愛や性的な関係を通して自分のセクシュアリティを、自分を含め誰かに証明する必要はないということを忘れないでいるべき。実際には、この10のサインになにも当てはまらなくても、バイセクシュアルである可能性はある。

「一人ひとりが異なります」と話すのは、ミシガン州ロイヤルオークにあるThe Center for Relationship and Sexual Health(CRSH)の臨床ディレクターであり、性のアイデンティティを専門とするセラピストのジョー・コート博士。「バイセクシュアリティが自分にとってどんな意味があるのか、ただ自問することです」

バイセクシュアルだと思うなら、これからどうするべき?

ここまで読んで、「私は確実にバイセクシュアルだ」と思った人もいるかもしれない。まずは、あなたがあなたのセクシュアリティの新しい側面を発見できたことを祝福しよう! バイセクシュアルであることを自分が受け入れ、心から祝福するにはどうすればいいのか、専門家がアドバイスをくれた。

1.  自分のセクシュアリティを認める

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D. Giraldez Alonso//Getty Images

「自分がバイセクシュアルであることに気付くことと、それを自分自身として受け入れることは別物です」とカミーユ。バイセクシュアルだと気付いた後にとるべき最初のステップは、それがわかったことで溢れてくる感情すべてに耳を傾けること。そうすることに対し、自分で自分に許可すること。ちょっと恥ずかしい気持ち? それとも興奮している? 「自分の新しいアイデンティティに気付いたときのあらゆる感情を感じるためのスペースを作ってください。バイセクシュアルについて、セラピーを受けながらさらに探求していくのもいいし、日記を書いたり、信頼できる人との会話の中でバイセクシュアルという言葉を用いることに自分で許可することが大切になります」とカミーユ。

2.  コミュニティで仲間とつながろう

「コミュニティで同じセクシュアリティの仲間とつながることも、バイセクシュアルであることを受け入れ、祝福するためにできる最善のことです」とカーン。対面やオンラインで彼らとつながることは、クィアに対するポジティブなメッセージであなたの人生を満たし、異性愛を中心とする社会からのメッセージを手放していくのに役に立つ。

「周縁化されたアイデンティティを持つ人々は、同じアイデンティティを持つ者同士でコミュニティを作ることが本当に重要だと私は強く信じています。それが、そのアイデンティティに対する恥じらいを払拭する唯一の方法だからです」とカミーユは付け加えた。

3.  クィアフレンドリーのコミュニティに参加する

志を同じくする仲間を見つける方法は、学校や職場、地域のクィアフレンドリースペースに参加すること。学生の場合はまず、学校にゲイ・ストレート同盟やジェンダー・セクシュアリティ同盟というコミュニティがあるか調べてみよう。これらは、LGBTQ+の学生とその仲間がつながり、すべての人にとって安全で歓迎される学校環境を作ることを目的とした、学生主導のクラブだという。。

あなたの学校にこのようなクラブがない場合は、学校以外の地域で、クィアやトランスジェンダーの若者を対象としたサービスを提供しているところがないかリサーチしてみて。

4.  オンラインを活用する

とくに保守的な地域では、LGBTQ+コミュニティが存在しなかったり、公にされていない可能性もあるため、代わりにオンライン上のコミュニティを活用するようにカミーユは提案している。

カミーユのオススメは、クィアのセックスセラピスト、ケイシー・タナーが運営するオンラインコミュニティ「Expansive Group」で、恋愛セラピーやコーチング、サポートグループ、メンターシップなどを提供している。InstagramやReddit、Discordなどのサイトでも、無料のオンラインリソースやコミュニティスペースを探すことができる。

バイセクシュアルの仲間たちがたくさん集まる(バーチャルな)環境に身を置くことで、カミーユいわく、「自尊心が高まり、自分のアイデンティティを自然と受け入れられるようになる」

5.  親しい人に打ち明けることを考えてみる

concerned young woman talks with friend in coffee shop
SDI Productions//Getty Images

「私のクライアントの多くは、交際中に自分がバイセクシャルだと気付いています。そしてよく相談されるのが、自分がそれを受け入れていく必要があるのはわかるけれど、パートナーにはなにをどう伝えるべきで、私たちの関係はその後どうなるのかということです」とカミーユは言う。

最初は怖いかもしれないが、今あなたが同じ状況にいるなら、カミーユはパートナーとオープンに正直に話し合いをするように勧めている。もちろん相手がどう反応するかはわからない。でも、相手の前で自分らしくいられなかったり、自分の経験を話すことができないような関係を続けていくことの方が、あなたにとって有害になるかもしれない。

大切な人としっかり話し合うためにも、まずは時間をかけて、伝えたいことをメモにまとめてゆっくり心を整理してみて。

6.  心の準備ができていないなら、打ち明けることにプレッシャーを感じる必要はない

カミングアウトは非常にパーソナルなことで、カミングアウトするのには安全な環境ではないこともある。あなたが打ち明ける心の準備ができていないのなら、またはそれをすることによって自分の安全が脅かされるリスクを感じるなら、無理に「カミングアウトしなければ」と自分にプレッシャーをかけるようなことはしないで。結局のところ、バイセクシュアリティというあなたの一面は、あなたとあなた自身、そしてあなたと信頼できる少数の人との間だけにあるものだから。

7.  へテロノーマティヴィティ(異性愛規範)中心社会の偏見を手放す

カミーユいわく、バイセクシュアリティを完全に受け入れることの大部分は、社会がクィアなアイデンティティを持つ人を批判するような、異性愛中心の偏見や差別を手放すこと。こうした有害な信念から解放される方法の1つは、コミュニティを通じてだけでなく、クィアに肯定的なメディアに触れることでもある。

もちろん、差別や偏見を手放していくことは簡単なことではないし、時間がかかるものでもあるけれど、クィアの指導者が提供する有益で共感を生むメディアに積極的に関わっていくほど、あなたのアイデンティティにおける自信はどんどん高まっていく。

8.  自分とコミュニティを祝福する

社会で疎外されるアイデンティティを持って生きていくことは簡単なことではない。だからこそ、ありのままの自分で生きていくことは本当に祝福されるべきこと。そこで、「プライド月間(Pride Month)」と検索してみて。いつでも自分を祝えるけれど、毎年6月に世界各地で行われるプライド月間(LGBTQ+の権利について啓発を促すさまざまな取り組みが開催される)では、パーティーを開いたり、外に出て仲間と一緒に祝うのに絶好の時期。地元のパレードからコンサートまで、あなたの地域で開催されるプライド月間のイベントにも注目してみるといい。

バイセクシュアルについてよくある誤解

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Willie B. Thomas//Getty Images

あいにく、バイセクシュアリティに関する誤解は存在する。「事実、人々はこれらのセクシュアリティに対し、自分なりの解釈や想定をつけることになるでしょう。でもこれは、彼らがこうしたアイデンティティーを理解するために必要なことだからです」とカミーユ。「こうなるのは残念ですが、それは単に、社会が“標準”として投影していることの結果にすぎません」

第一に、誰かがあなたのセクシュアリティを誤解していたとしても、それはあなた個人の問題ではない。このことを踏まえたうえで、バイセクシュアリティに関する一般的な誤解から乗り越えることは、バイセクシュアルとしての自分の生き方にさらにパワフルな力が備わるかもしれない!

誤解1. 「バイセクシュアルはゲイへの足がかり」

セクシュアリティは時間とともに変化するため、初めはバイセクシャルだと思っていた人が、後でゲイやレズビアンというラベルのほうがしっくりくることに気付くこともある。だからといって、「バイセクシュアルはゲイへの足がかり」だと決めつけるのは、バイセクシュアルが正当なクィア・アイデンティティであることを否定しているだけ。

誤解2.  「バイセクシュアルとパンセクシュアルは同じだ」

バイセクシュアルとパンセクシュアルは非常に似ており、実際に両方のラベルを使うのを好む人もいるが、両者は同じではない。ホール博士は、「パンセクシュアルは相手のセクシュアリティに捉われずすべてのジェンダーを、バイセクシュアルは複数のジェンダーに(1つの性に限定しない)性的、恋愛的感情を抱く性の在り方」だと説明している。

両者の違いをさらに詳しく説明すると、カミーユいわく、パンセクシュアルの人は相手の性別に関係なく性愛感情を感じ、バイセクシュアルの人は複数の人に惹かれるが、相手のセクシュアリティを意識する。

「自分のセクシュアリティを探求している人は、パンセクシュアルというラベルを試しに使ってみて、違ったらバイセクシュアルに変えていいのです」とノエル。異なるラベルを使いながら、自分に一番しっくりくるラベルを見つけていくことは、とてもクールなこと!

誤解3.  「バイセクシュアルの人が惹かれるのはシスジェンダーの人だけ」

この誤解は、ジェンダー・バイナリ(性別二元制)といった神話を人々に信じ込ませる組織的で抑圧的で社会的偏見に直接起因しているとカミーユは説明する。性別は多様であり、シスジェンダー女性とシスジェンダー男性だけがこの世に存在することはない。“bi”という語源は「2つ」を意味し、バイセクシュアルの一部の人が性的魅力を感じるのはシスジェンダーの人に限定される場合もあるが、現代のバイセクシュアルの定義では2つ以上のジェンダーに性愛感情を抱くことを指し、これにはノンバイナリーやトランス、無性の人々も含まれている。「ジェンダーについて人々がより広範的に考えられるようになるにつれ、バイセクシュアリティに対する人々の理解も進化しているんですよ」とカミール。

誤解4.  「バイセクシュアルの人は、混乱しているだけだ」

お気づきだと思うが、これは真実ではない。バイセクシュアルの人は、自分のセクシュアリティについて混乱なんてしていません。

誤解5.  「バイセクシュアルの人は欲張り」

要するにこの誤解は、「バイセクシュアルの人は複数の性に惹かれるという事実を病的にみなしているだけです」とカミーユは言う。バイセクシュアルの人は複数の性に魅力を感じることができ、自分の愛する能力を1つの性に限定していないだけで、決して貪欲なわけではない。

誤解6.  「バイセクシュアルは存在しない」

します。

誤解7.  「シスジェンダーの男性はバイセクシュアルではない。もしそうなら、ただのゲイだ」

この誤解は、パートナーシップでは男性により権力と正当性が与えられるという家父長制的思考や同性愛嫌悪に根ざしている。バイセクシュアルの男性は実際に存在し、すべてのバイセクシュアルの男性がゲイであると決めつけるのは、彼らのバイセクシュアリティを無視するようなもの。

誤解8.  「バイセクシュアルの人は不誠実だ」

バイセクシュアルの人は、単に複数の性に惹かれるというだけで、パートナーとの合意や境界線を破る傾向にあると思われるのはよくある誤解だとカーンは言う。一夫一婦制のパートナーシップに忠実であれる能力は、セクシュアリティとなんの関係もないこと。誰かが関係を断ち切ったなら、それはその人がバイセクシュアルだからではなく、その関係に満たされなかったなど、別の理由があるはず。

誤解9.  「バイセクシュアルの人は誰にでも性愛感情を抱く」

この誤解は、「バイセクシュアルの人は貪欲」という誤解に関連している。彼らが誰にでも魅力を感じるというのは真実ではない。誰かに惹かれるというのはさまざまな要因が関係している。バイセクシュアルの人が自分と同じ性別の人を好きになれると知ったからといって、突然自分に興味を持ち始め、パートナー候補として求めてくるのを心配する必要はない。「複数のジェンダーに惹かれることと、誰にでも興味を持つことはイコールではありません」とカミーユ。

こうした世間の誤解に悩まされているのなら、どうかこのことを思い出して。「あなたのセクシュアリティを定義できるのはあなただけ。他の誰かができることではないんです」とカミーユ。重要なのは、自分のアイデンティティが自分にとってどんな意味を持つのかを、行動と実践を通じて自分のために自ら定義すること。

「このような誤解は、私たちの主流社会が異性愛規範と同性愛嫌悪の思考プロセスによって、クィアが自分のアイデンティティに根付くことを望んでいないために、あなたが生きる過程をより困難にするための雑音に過ぎません」とカミール。

こうした偏見は個人的な問題ではなく、社会全体の問題だということを心に留めておくことが、バイセクシュアルとしての自信や喜び、自由を見出す鍵になる。LGBTQ+コミュニティーで象徴的な存在のル・ポールの言葉を借りるなら、「自分が想像する自己像になることが、人生においてもっともパワフルな経験です」
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: GABRIELLE KASSEL, LYDIA WANG AND NAYDELINE MEJIA Translation : Yukie Kawabata