食欲が増すのは暇疲れ、あるいは忙しすぎることによるストレスと思うかもしれないけれど、新たな研究によって、メンタル的に疲れた日は空腹感が増すことが分かった。その詳細をイギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。

生物学専門誌『Current Biology』に掲載された同研究結果は、メンタル的に疲れるタスクに集中すると、脳が疲れるだけでなく空腹になることを示している。

公認管理栄養士でコーチのヌナ・カムハウイによると、体内の細胞もエネルギーがないと働けない。これは、細胞から構成される臓器にもいえること。「私たちが完全にリラックスしているときも、消化器系や筋肉や脳はエネルギーを消費しています。その臓器たちが必死に働くとなれば、より多くのエネルギーが必要になって当然。これは運動中の筋肉だけでなく、じっくり集中しているときの脳にもいえることですよ」

この研究論文は、私たちがメンタル的に疲れるタスクに集中すると、脳の前頭前野に有毒な副産物が蓄積する可能性を指摘している。カムハウイによると、この副産物はグルタミン酸と呼ばれるもので、1日中ガッツリ仕事をしたあとに大きな疲労を感じるのも、このグルタミン酸のせいかもしれない。

それにしても、メンタル的に疲れると、つい間食をしてしまうのはナゼだろう? 「熟考には食べものからのエネルギーが必要です。だから、ストレスや不安を感じると、人によっては食欲が増すのです」とカムハウイ。

グルタミン酸の蓄積による影響は、食欲というよりも疲労として現れる。でも、疲労によってストレスホルモンが分泌されれば、やはり食欲が増進する。じゃあ、夜中まで締め切りと戦わなきゃいけないけれど、砂糖は極力摂りたくない。そんなときは、どうやって脳にエネルギーをあげればいいの?

「色とりどりで、風味と食感が幅広い食材を取り入れたバランスのよい食生活を送ることが大切です」とカムハウイ。「そうすれば、体に不可欠な主要栄養素と微量栄養素を摂りこぼすこともありません」。以下の3つの食品群は絶対にカバーして。

複合糖質

「脳の主要な燃料源はグルコースなので、食事には十分な糖質が含まれていなければなりません。単純糖質と単糖類がベースの甘いスナック、白米、精白パンは、全粒粉のパンやパスタ、玄米で置き替えましょう。そこに良質なタンパク源(肉、魚、豆類)と良質な脂質(オリーブオイルやアボカド)を添えるのも忘れないで下さいね」

オメガ3脂肪酸

「オメガ3脂肪酸は脳の主要な構成要素で、記憶力と認知機能を保持するうえで重要な役割を果たします。脂の多い魚(サーモン、サバ、新鮮なマグロなど)、クルミ、チアシード、サプリメントなどから1日に必要な量を摂取しましょう」

抗酸化物質

「抗酸化物質は、認知機能の低下を引き起こす酸化ストレスから脳を守ってくれます。オススメは鮮やかな色のフルーツと野菜。色が鮮やかであればあるほど、抗酸化物質の濃度は高くなります。ニンジンにはベータカロテン、トマトにはリコピン、ブルーベリーにはアントシアニンが豊富です」

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Sarah Finley Translation: Ai Igamoto