最近SNSでよく見かけることが多い“甘酒”。「美容や健康にいい」「ファスティング中に飲むのがおすすめ」と色々な噂が飛び交っているけれど、実際のところはどうなの? 今回は、管理栄養士の藤原朋未さんに甘酒の効果効能、おすすめの飲み方、作り方を聞いた。(以下「」内・藤原朋未さん)


目次

甘酒とは?

「日本の伝統的な甘味飲料として楽しまれている甘酒。甘酒には“酒粕甘酒”と“糀甘酒”の2種類があり、それぞれ原料や製造方法が異なります。

酒粕甘酒は酒粕(日本酒を製造する過程で発生する白い固形物)を水で溶かし、砂糖を加えて甘みを足したもの。微量ですがアルコールが含まれ、ほのかに酒の香りがあります。一方で糀甘酒は“酒”の名が付くもののアルコールは含まれません。米糀に炊いた米と水を加えて発酵させたもので、発酵の過程で旨味や甘味が増して、砂糖を加えずとも自然の甘さを感じられるのが特徴です。さらに、糀甘酒には濃縮タイプやストレートタイプ、また米を使わずに米糀だけで作る“早作り”と呼ばれるタイプに分けられます。今回は、“糀甘酒”についてご紹介していきますね」

甘酒の栄養素は?

糀甘酒の主な栄養価は下記の通り。

甘酒 市販品ストレートタイプ(100ml)あたり
エネルギー:79㎉
たんぱく質:1.8g
脂質:0.1g
炭水化物:19.0g
食塩相当量:0.2g
食物繊維:0.4g

参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)文部科学省 16050甘酒<100ml:104g>

「甘酒に含まれる栄養素は原材料である『米』や『米麹』由来と考えられます。その他のミネラル類やビタミン類はこれらの配合や米の精米度(玄米・分づき米など)によって大きく影響を受けます」

甘酒の健康効果は?

消化によい

「ごはんの糖質はほとんどがでんぷんという多糖類である一方、糀甘酒にはぶどう糖(単糖類)やオリゴ糖(少糖類)などが含まれています。これは麹菌がつくった酵素により、ごはんのでんぷんが分解されているということ。甘酒の自然な甘みはこれらの成分によるもので、体内で素早く消化・吸収が行われます。そのため、胃腸が弱っているときや、食欲がわかないときにも、体に負担をかけることがありません。そのため“飲む点滴”などと呼ばれています」

免疫力UP(腸内環境改善)

「糀甘酒に含まれるオリゴ糖は、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌のエサとなり、それらを増やす効果があります。そのため腸内環境改善、免疫力を高める効果が期待できます」

代謝UP

「米由来のビタミンB群(ビタミンB12を除く)が糀菌によって生産・増強することが分かっています。ビタミンB群は体内の代謝に必要な酵素の働きを補うため、代謝アップには欠かせない栄養素といえるでしょう。水溶性ビタミンなので、一度に大量に摂取しても、尿中に排泄されてしまいます。こまめな摂取が必要な栄養素のひとつです 」

健康効果を高める甘酒の飲み方は?

「特に時間帯によって健康効果が変わるものではありません。また、いくら体によいからといって飲みすぎも禁物です。ストレートタイプの糀甘酒は100mlあたり約80㎉ありますので、その他の食事とのバランスを考えて1日コップ1杯程度を目安に飲むのがよいでしょう。小腹が空いた際の間食代わりとしてもいいですね。

濃縮タイプのものは、甘みを活かして砂糖代わりに料理やスイーツに使えて便利です。水やお湯を加えればそのまま飲むことが出来るので、アレンジの幅は広がるでしょう。きなこをプラスすると手軽に食物繊維やたんぱく質が補えるのでおすすめです」

自宅でできる! 甘酒の作り方

homemade amazake, japanese traditional sweet drink made from rice koji
bonchan//Getty Images

炊飯器で作る甘酒(濃縮タイプ)

(調理時間:360分)

【材料】
・乾燥米糀:150g
・ぬるま湯:150cc
・米:1.5合

【手順】

1.お米を炊飯器に入れて、2合分の水を加えて柔らかめに炊く。炊き上がったら70℃程度まで冷ます。
2.米麹とぬるま湯を、1に加えてしっかりと混ぜ合わせる。
3.「保温」の状態にして、温度が55~60℃になるようにキープする。
30分~1時間おきにかき混ぜて4~5時間保温する。とろみがついたら出来上がり。

ポイント
・温度を55~60℃に保ったまま、定期的によく混ぜること。
・温度計を使ってきちんと測るのがベスト。ヨーグルトメーカーを使えば温度設定が簡単にできる。

参考:すべて2022年3月10日参照
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 文部科学省
・麹甘酒に含まれる成分について 
・e-ヘルスネット オリゴ糖
・【濃厚】食べる甘酒 柴田真希

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藤原朋未
管理栄養士 健康・食育ジュニアマスター

プロの管理栄養士・料理研究家による「食 」のプロデュース・レシピ開発を手掛ける(株)エミッシュ所属。健康・美容・栄養などの切り口で管理栄養士ならではのレシピ提案・コラムの執筆を行う。乳幼児食指導士の資格を持ち、離乳食や幼児食に関する情報をブログにて発信中。ブログ:ママ楽ごはん(http://tomomi-fujiwara.blog.jp/)エミッシュ(所属)(http://e-mish.com

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Aoi Nakashima
エディター

アシスタントエディターとして、主にSNS周りを担当。ウィメンズヘルスを一緒に作るコミュニティー、Fit Girlsのコミュニティリーダーも担う。セレブ・ファッション・フードなどのカテゴリーの中で、トレンドを日々リサーチし、投稿や記事へとつなげる。特技は20年続けた硬式テニス、最近はランニングとボクシングにも夢中。座右の銘は“一日一幸”♡