簡単なのに効果は絶大。
窓から明るい日差しが入り、鳥のさえずりが聞こえる朝は、ベッドから飛び起きたくなるけれど、腰が痛くて動けない? 米国人口の8割が一度は悩む腰痛は、病院へ行く理由の中で3番目に多く、仕事を休む理由の中で2番目に多い(1番は風邪)。
腰痛の要因は、筋違いから、椎間板ヘルニアや骨折まで無数にある。それほど深刻ではないけれど、より一般的な要因は、デスクで前かがみになったり、重たいバッグを片方の肩にかけたりという悪習慣。
幸いにも最善の治療法は、多くの場合、手術でも投薬でもなくエクササイズ。
どんなエクササイズでもいいわけではないけれど、ピラティスは効果的。クラスに参加するにせよ、自宅で練習するにせよ、ピラティスは腰痛の治療と予防に役立つ、衝撃の低いエクササイズで、体幹強化(腰痛の治療に対する有効性が実証されたリハビリメソッド)を重視する。
『Prevention』誌のピラティスコンテンツ『10-Minute Pilates』クリエイターのエイミー・カイザー=シェンパーも、「ピラティスなら、フィットネスレベル、年齢、体形を問わず、全ての人が体幹の筋肉を鍛えられます」と説明する。
深呼吸と短くて正確な動作を組み合わせれば、腹部と背中の奥にある筋肉が強くなる。あらゆる角度から体幹を鍛える4つのピラティスエクササイズにトライしてみて。
HOW-TO:うつぶせになり、腕を前に伸ばす。頭と首を床から浮かせる。左腕と右脚を同時に持ち上げ、下ろしたら、左右を入れ替えてリピート。
ターゲット:背中をひねったり反らせたりするたびに、多裂筋(たれつきん)が使われる。多裂筋は、脊柱に貼り付いて椎骨を安定させる小さな筋肉の集合体。多裂筋を強くしなやかな状態にしておくのは、腰痛を防ぐ上で絶対不可欠。そして、これにはピラティスが効果的。
このエクササイズが腰にいいワケ:うつぶせのエクササイズを行うと多裂筋が強くなり、脊柱が安定する。
HOW-TO:うつぶせになり、上腕を床について上半身を支える。つま先はマットに押し付けて。腹部を引き込み、体幹の力でヒザを持ち上げ、前腕プランク。この動きをリバースさせて、腹筋を使いながら、まずはヒザ、続いて腹部をゆっくりと床に下ろす。
ターゲット:腹部の一番深いところにある腹横筋は、下腹部を水平に包み、内臓を所定の位置にキープしながら脊椎をサポートしている。腹斜筋や上腹部の筋肉とは違い、腹横筋を鍛えてもウエストラインが目に見えて変わるとは限らない。でも、腰痛が緩和されることはある。
このエクササイズが腰にいいワケ:プランクシングルのようなプランクのバリエーションでは、体幹深部の筋肉が仕事を一手に引き受けざるを得ないので、腰にかかる負担が少ない。
HOW-TO:あおむけになり、ヒザを立て、腕を体の横に置く。お尻を浮かせて、ヒザから肩を一直線に。体幹を途中で緩めたり、腰を反らしたりするのはNG。お尻を下ろしてスタートポジションに戻る。
ターゲット:骨盤底筋は布の繊維みたいなもの。骨盤組織(膀胱、腸、子宮)を支え、運動中の骨盤を安定させる。妊娠や加齢で骨盤底筋が伸び切ると、骨盤組織を全力で支えられなくなってしまう。その結果、尿漏れ、性交時の痛み、そして腰痛が生じることも。骨盤底筋エクササイズは、おろそかにされがちな筋肉を孤立させ、慢性的な腰痛を軽減することが実証されている。
このエクササイズが腰にいいワケ:このエクササイズでは、重力が余分な圧力を取り除きつつ、骨盤底筋を鍛えてくれる。
HOW-TO:あおむけになり、ヒザを持ち上げ90度に曲げて、頭と肩を床から浮かせる。体幹の筋肉をマットに押し付けながら、腕を小さく上下に動かす(パルス)。目標はパルスを100回。でも、まずは50回にトライして!
ターゲット:ザ・ハンドレッドは横隔膜に驚くほど効果的。呼吸の仕方で筋肉の動き方が変わることも覚えておいて。適切な呼吸法は運動の種類によって異なるけれど、ピラティスの呼吸法は横隔膜(筋肉と腱(けん)でできたドーム型の膜で、胸部と腹部の間にある)を活性化して、体幹を安定させる筋肉を強くすることが分かっている。何かを持ち上げる際にピラティスの呼吸法を使えば、体の動きに気を配れるようになるので、腰を痛めるリスクが減る。
このエクササイズが腰にいいワケ:古き良きザ・ハンドレッドでは、息をバランスよく吸って吐くことになるため、脊柱を支える筋肉が効率的に鍛えられる。その結果、ケガのリスクが減る仕組み。
ピラティスの6つの基本原則(センタリング、集中力、コントロール、正確性、呼吸、流れるような動き)は身体面に焦点を当てたもの。でも、練習を続けていればメンタルヘルスも向上する。呼吸に集中していると心が落ち着き、自分の体のことがよく分かるようになってくるもの。この瞑想的な特性により、腰痛を悪化させる要因(ストレスや不安)が減る。
これまでの研究により、瞑想のエキスパートは大脳皮質が厚いため、痛みを感じにくいことも分かっている。よって、マインドフルな瞑想を続ければ、痛覚に直接影響する脳の領域を育てられるかもしれない。
数々のリハビリセンターがピラティスを取り入れているのは、ピラティスに心と体がポジティブに反応するから。「本当に誰にでもできるエクササイズです」とカイザー=シェンパー。「フィットネスレベルは問いませんし、難易度の上げ下げも簡単です」
しかも、ピラティスは続けやすい。あなたも今日から始めれば、既存の腰痛を和らげるだけでなく、今後のケガを防ぐのも楽になる。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
Text: Molly Messana Translation: Ai Igamoto
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