ある調査によると、2022年における年一回以上のジョギング・ランニング実施人口は推定約877万人。コロナ禍により2020年は過去最高を記録したものの、現在はコロナ禍前の水準に戻りつつある。

「空前のランニングブームと言われた時よりも実施人口は少なくなっているものの、10年前と比べると高い水準です。中止が相次いでいたマラソン大会なども再開し始めているので、これから始める人も目標設定の幅が広がっているのではないでしょうか」

健康維持やダイエット、ストレス解消などはもちろんだが、コミュニティ作りや大会出場などを目的として、ある程度の時間や距離を走りたいと感じる人も多い。

「ジョギングとランニングは、強度(スピード)により分けられることもありますが、明確な違いや決められた距離はありません。しかし、闇雲に走っていても継続するためのモチベーションはなかなか上がりませんので、目標を決めることは大切です」

まずは10kmの壁を越えるために、ランニング以外にやっておくべきトレーニングをパーソナルトレーナーの林 健太さんに教えてもらった。

雨の日やランニングをする時間が作れない日は、隙間時間でもできるのでやってみてほしい。

①ステップアップニーアップ

片脚で段差を登ることでバランス感覚も養い、左右差の改善にもつながる。段差を登る際にしっかりと膝を上げる動作は、ランニングの距離が伸びてきたときにも脚を前に運び続けるために重要な力。

「長距離のランニングにおいて、心肺機能は問題なくても脚の回転が追いつかないということもあります。ステップ台を登るために脚を前に出し、そのまま踏み込んで体を持ち上げる連続した運動は実践にもつながります」

負荷はステップ台の高さとダンベルの重さという二つのパターン調節することができる。前者の負荷は、膝をしっかりと引き上げることで、体を前に運ぶ力を養い、後者はより体を持ち上げるパワーが必要となるので踏み込みの力が強くなる。

「どちらの負荷もあまり強くしすぎずに、リズムよくバランスを崩さずに40〜50回行えるくらいが良いでしょう。

余裕のある方は、ステップバックした際にしゃがみ込むランジの動作を複合させることで、さらに負荷が高くなり、低回数での筋力強化にもつながります」

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②パルススクワット

パルススクワットは、ややワイドスタンスで太ももが床と平行になるくらいまでしっかりしゃがんだポジションから行い、少し立ち上がったらまたしゃがむという小さな動作をスピーディーに繰り返す。

筋肉の素早い収縮を繰り返すことで、短時間でも十分な筋疲労を与えることができ、回復力を養うことや、血流改善にもつながると林さん。

「動きのスピードが速いのでフォームが乱れやすくなります。上半身が前に倒れないように注意しながら、お尻がトランポリンで弾むような気持ちで行ってみましょう。回数ではなく秒数で区切り、適度な休憩を挟みながらインターバルトレーニングとして行うことが有効です」

一つの目安として、20〜30秒行い10〜15秒休憩を繰り返す。4〜8セット行えば5分程度でも十分なトレーニングになるので是非やってみて。

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③サイドランジニーアップ

左右に踏み込み内転筋群に負荷をかけることで、体の安定性を向上させ、様々な足場でもしっかりと走り続けることができるようになる。

骨盤を安定させ、膝が外に開いてしまうような癖も防いでくれるので、スムーズに直線距離で脚を前に運ぶことができる。

「ランニングは平坦な道や舗装された道路だけではなく、ちょっとした段差や足場の悪い道を走ることもあります。距離が長くなればそういった道と遭遇する確率も高くなりますので、普段のトレーニングに組み込んでみましょう」

内転筋群はコアの安定性や姿勢維持に重要な役割を果たすことはもちろん、引き締まった長く美しい脚を作るためにも重要な筋肉。

「内転筋群の主要な筋肉である大内転筋は、下半身ではお尻の大臀筋に次いで大きな筋肉です。ダイエットのためにランニングを行っている人は、走ることと合わせて鍛えることで、より代謝アップとスタイルアップが見込めます」

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④ジャンピングジャック

いざランニングを始めても、天気の悪い日や寒い日が続いてできなくなると、せっかくの習慣も水の泡。そんな時は、室内でもランニング代わりになるような心肺機能を向上させるトレーニングも行うと良いと林さん。

「筋トレだけではなかなか心肺機能を向上させられませんので、自宅でできる有酸素運動のレパートリーは重要です。ジャンピングジャックはテンポやジャンプの高さ、手の振りによって負荷の調節も可能です」

小刻みなジャンプは、足首の柔軟性とふくらはぎのポンプ機能も強化してくれるのでランニングを行う際にも役に立つ。

腕を上げる運動も、長時間のランニングで肩が凝ったり重くなったりするという人には最適。

「有酸素運動であるジャンピングジャックと、無酸素運動である筋トレと交互に行うことで、ランニングに重要な強い心肺機能を獲得することができます」

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⑤デッドバグプルオーバー

腰の負担を軽減しながら行える腹筋としても人気となったデッドバグは、体幹部を安定させて手足を動かすことにより、よりぶれにくいランニングフォームを養うことができる。

「指一本も入らないくらい背中をぴったりと床につけて隙間を作らないようにします。反動やスピードは使わずに正しいフォームでしっかりと行うことを意識してください」

対側の腕と脚が同時に動くのは歩行やランニングにとって自然な動き。

トレーニングとして同側の腕と脚を動かすことは、片側にバランスが崩れるので、より体幹への刺激も強くなり、トレーニング効果としても高くなる。

「ペットボトルやダンベルを持って行うことで負荷はアップします。バランスディスクや半円バランスボールなどの上でより不安定さを作ることでも負荷が増します。」

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Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/