夫婦で登山YouTubeチャンネルを運営する「もじゃまる」のまるさんに山登りの極意を教えてもらう。夫婦ともにアウトドアメーカー勤めの経歴を持ち、登山歴10年以上の山を熟知したまるさんだから語れる、登山を始めるうえで知っておくとためになること間違いなしの情報を【知識編】【実践編】の2回に渡って紹介。2回目の今回は【実践編】!

前回の【知識編】で、まるさんから初心者がまず買い揃えるべき山登り道具と山のルールを教えてもらった。「道具も揃えて、準備ばっちり!」になったら、初心者でも登りやすいおすすめの山を紹介! まずは、山の歩き方を教えてもらおう。

山道で疲れないのは「スタンプ歩き」!

austria, tyrol, tannheimer tal, close up of young couple hiking
Westend61//Getty Images

山道は凸凹していたり、傾斜が大きかったり平地とは全く違うから、慣れないと足を痛めてしまうことも。しっかり歩き方を意識することも山登りを楽しむために必要だ(「」まるさん)。

「できるだけ足の裏全体をつけるのが山道を登る時のポイント。ハンコを押すみたいにペタペタとしっかり足をつけましょう。特に、登りの時はなるべく小さい歩幅で同じペースで歩くと息が切れづらいです。下りでも小股が基本。急な下り坂で大股になってしまうと滑りやすいので、所によっては足を横に向けてゆっくり降りると滑りづらいですよ」

まずはこの山から! 初心者におすすめの山5選

歩き方まで覚えたらあとは実践するのみ! 登りやすい山でも魅力がいっぱいな初心者におすすめの低山をご紹介(「」まるさん)。

①金冠山(静岡県・伊豆半島)

金冠山
伊豆市観光情報サイト

静岡県の伊豆半島北西部にある標高816mの山。戸田峠駐車場から登る最短ルートなら10分程度で頂上まで行けることからファミリー登山者にもおすすめ。山頂はササ原が広がっていて、見晴らしがよいのが特徴。

「私が営む山旅道具の店『SANKAKU STAND(サンカクスタンド)』がある伊豆に位置する金冠山は、往復2時間程度で登れるので初心者におすすめ。頂上からは伊豆半島の目の前にある駿河湾を見下ろせて、さらに奥には富士山が 贅沢な絶景を楽しむことができます」

所要時間:約2時間 ※コースによって異なる

アクセス:修善寺駅より東海バス30分「だるま山高原レストハウス」下車

②鎌倉アルプス(神奈川県・鎌倉市)

a landscape with trees and a body of water in the background

都内からもアクセスのよい神奈川県鎌倉にある鎌倉アルプスは、年間を通して人気のある山。6つのコースを有しており、代表的な天国ハイキングコースは市内最高峰の大平山を越える全長5~6kmの歩きごたえのあるコース。自然を満喫できるだけでなく、鎌倉市街で観光を楽しめるのも特徴。

「アルプスというと大きな山が連なっているイメージの人も多いと思いますが、鎌倉アルプスは低山の連なり。JRの鎌倉駅や北鎌倉駅など公共交通機関が近く、アクセスのよさも初心者におすすめな理由です。なんといっても、鎌倉の名所である健長寺などのお寺を巡りながら進めるので、観光気分を味わえるのが醍醐味。コースによっては海まで出られるので、何度訪れても飽きないですね。午前中だけ山に登って、ランチを鎌倉の小町通で食べるという過ごし方もできるので、サクッと登山を楽しみたいときにも◎」

所要時間:約2時間40分 ※コースによって異なる

アクセス:JR「北鎌倉」駅、JR「鎌倉」駅

③金時山(神奈川県・箱根)

金時山
山ガールのための山歩きガイド

箱根外輪山の北に位置する、日本三百名山にも数えられる山。金太郎の名で有名な、坂田金時のゆかりの山とされている事が名前の由来となっている。山頂付近は植生が少なく、周囲の山より高いため、富士山を含めた雄大な景色を楽しめるのが魅力。

「山の上に山小屋があるのが有名な金時山。山小屋って大きな山に行かないとなかなかないんですが、ここ金時山は低山でも山小屋の独特な雰囲気を味わえるのでおすすめです。名物のなめこ汁が、動いた体にとっても染みるおいしさなのでぜひ登った際は召し上がってほしいですね。コースも様々で何度行っても楽しい山です」

所要時間:約3時間 ※コースによって異なる

アクセス:JR「新宿」駅下車、小田急ハイウェイバス「御殿場・箱根線」乗車ー「金時登山口」下車

④大菩薩嶺(山梨県・甲州市~北都留郡丹波山村)

大菩薩嶺
山ガールのための山歩きガイド

「日本百名山」にも数えられ、山梨・東京・埼玉とつながる秩父多摩甲斐国立公園の一部でもある大菩薩嶺。標高は2057mと高いが、標高1600mに車でアクセスできる登山口があるため首都圏からの日帰り登山者にも人気がある。途中に点在する山小屋や茶屋、周辺の温泉なども魅力のひとつ。

「標高が高いんですが、登り口が高所にあるから距離的にはそこまで長くないので初心者にもおすすめです。他に紹介した低山より標高が高いので大きく開けた景色を堪能できますよ! しかも本格的な山だと岩がゴロゴロしていて歩きづらいところが多いんですが、ここはかなりコースが整備されていて綺麗なので歩きやすいのも嬉しいところです」

所要時間:約2時間弱 ※コースによって異なる

アクセス:JR中央線の甲斐大和駅から「大菩薩上日川峠線」に乗車

⑤入笠山(長野県・南アルプス)

入笠山
YAMAP

長野県の中西部にある赤石山脈(南アルプス)北端の標高1,955 mの山。山頂からはほぼ360度の大展望が広がり、南・中央アルプス・八ヶ岳はもちろん富士山や、北アルプスなども望める。

「頂上近くまでゴンドラで行けるので、比較的登りやすいです。魅力はふもとでは見られない美しい高山植物がたくさん生い茂っているところ。低い山は夏だと暑くて登りづらくなってしまうんですが、ここは標高があるから夏でも美しい花草を見れるのがいいですね」

所要時間:約4時間 ※コースによって異なる

アクセス:JR中央本線富士見駅から、タクシーで約15分

いかがでしたか? 山登りは日常と一線を置く、非日常の体験。美味しい空気や美しい自然にすっぽり包まれて、心も体もリセットされる気持ち良さを知ったら、どんどん登山沼にハマっていってしまいそう……。新しく何かを始めたいと思っている人はぜひ山登りを選択肢の一つに入れてみて。

お話を伺ったのは……

まる/山崎 和可奈(やまさき・わかな)さん

山崎 和可奈
山崎 和可奈

伊豆半島の修善寺・山旅道具の店SANKAKU STAND(サンカクスタンド)を営む。旦那さん・もじゃさんと一緒にYouTubeチャンネル「山好き移住者の日記 by もじゃまる」を中心に登山情報を配信。学生時代から山岳部に所属しており、3年連続インターハイに出場の経歴を持つ。

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Yumi Kobayashi
エディター

 生活雑貨やコスメなどの記事編集の経験を積み、2023年5月から「ウィメンズヘルス」に参加。コスメやアロマテラピーの資格を持ち、正しい知識を伝えることを目標に日々勉強中。フードやサスティナブルな分野に興味があり、週2日のノーミートデーを実践するなど日常生活でのアウトプットを心掛けている。学生時代はラクロスとソフトテニスに没頭、今は漫画に影響されバスケにハマり中。休日はキャンプやフェス、山登りなどアウトドア派。