秋になり登山を始めたい読者も多いのでは? 夫婦で登山YouTubeチャンネルを運営する「もじゃまる」のまるさんに山登りの極意を教えてもらう。夫婦ともにアウトドアメーカー勤めの経歴を持ち、登山歴10年以上の山を熟知したまるさんだから語れる、登山を始めるうえで知っておくとためになること間違いなしの情報を【知識編】【実践編】の2回に渡って紹介。

登山歴10年以上のまるさん、山の魅力を教えて!

山崎 和可奈
山崎 和可奈

高校生のときから山岳部に所属して、地元・北海道の山々を登っていたまるさん。前職ではアウトドアブランド・モンベルで登山商品の担当をしていたという、山を愛してやまないまるさんにとって登山の魅力とは?

「短時間で非日常に触れ合えることですね。一時間も登れば、山の草花に囲まれて、五感が刺激される。普段の生活ではなかなか味わえない、開放的な気持ちになれるところが魅力です。あとは山を登り終えた、達成感を味わえるのも醍醐味。登るのが辛くても、下山してふもとにつくころには次もまた挑戦してみようと晴れやかな気持ちになっているんですよね。それに、特別なトレーニングをしなくても、運動神経に関係なくチャレンジできるのも魅力だと思います」

山に登りたい! まずは何を揃えればいい?

camping equipment, shoes, a backpack and a thermos on a wood background
katerinasergeevna//Getty Images

一番不安なのが何を揃えればいいかではないだろうか? まるさんによると下記の道具は初心者でも持っていてほしいものだという。

必需品①シューズ「滑りにくい登山用」

「なんといってもシューズが一番大事です。初心者の方の中には普通のスニーカーで登る人もいらっしゃると思いますが、登山シューズは滑りづらかったり、足首をサポートしてくれるので怪我防止の安心感が違いますから、まずは登山シューズを選びにいきましょう」

必需品②バックパック「20~25L容量」

「初心者の日帰り登山なら20~25Lがベストサイズ。大きすぎると、荷物が動いてしまって重たく感じてしまうので、あまりお勧めできません。あとは肩紐にポケットがついていると、ペットボトルやスマホがすぐに取り出せるので便利です」

必需品③アンダーウェア「速乾性の高い、登山用ブラ」

「登山専用のブラジャーがおすすめ。下着は初めに買い揃えなくても……と思われるけど、専用のものを使うと快適さの違いが歴然! 速乾性があり、汗や熱を外に逃がしてくれるので汗冷えや臭いの防止になります。メリノウールやメッシュなどの素材を選んでみて」

女性ならではの悩みを助ける、便利アイテム

woman laughing with coffee maker while outside in iceland snow
Cavan Images//Getty Images

山はトイレがないこともしばしば。さらに生理や冷えなど女性特有の悩みもあるから不安がつきまとうはず。まるさんの長年の経験から厳選された、これさえあれば安心な女性のためのお守りアイテムを4つ紹介!

女性のお守りアイテム①薄手のサイドジップ式腹巻き

「生理の時は汗冷えが大敵。ごわつかない薄いタイプがおすすめ。サイドジップ式なら、途中で暑くなっても足を通さず着脱できるから、一枚持っておくと便利です」

女性のお守りアイテム②携帯用トイレ

「トイレに行きたくなった時、ちょうどよくトイレがあるとは限りません。特に生理中は普段よりトイレが近くなるので携帯用トイレを一つ持ち歩いていると、いざという時安心です。臭いが漏れないような仕組みの商品が多いので、その場で擦れられなくても心強い」

女性のお守りアイテム③巻きスカート

「冷えやすい腰回りを温めるのはもちろん、トイレにいきたい緊急時にも活躍するアイテム。山は茂みがなく、視界が開けている所も。巻きスカートがあれば、隠すこともできるので一石二鳥です」

女性のお守りアイテム④トレッキングポール

「上級者用アイテムと思われやすいですが、実はトレッキングポールは脚の筋力に不安がある初心者や女性におすすめ。下山するときに足が痛くなりやすいけど、ポールで力を分散させれば下りやすくなりますよ。登る時も、足腰にかかる負担が軽減されて、疲労を和らげてくれる効果も!」

秋の山登り、基本の服装は「3レイヤー」

three women looking at sunrise, mount batur, bali, indonesia
vaiv//Getty Images

気温の変化が大きい山では、サッと脱ぎ着できるレイヤー構造が大切。もちろん、寒がり暑がりなど体質によって違いはあるけど、初心者向けの秋口(気温10度前後)の山登りの服装はこちら!

レイヤー①「下着」

「速乾性のある下着が大事。上で紹介した登山用のアンダーウェアがおすすめです」

レイヤー②「長袖」

「コットン素材や速乾性など機能性のある長袖がおすすめ」

レイヤー③「シャツもしくはウィンドブレーカー」

「ポリエステルやメリノウールはほどよく通気性が良いので、温度調節もできてサッと羽織りやすいです。ウィンドブレーカーは雨が降ってきたときにも便利」

プラスしてチェック! 気温が10度前後とき……

休憩時は体温が下がりやすいので、薄手のダウンやフリースをカバンに入れておくと安心!

プラスしてチェック! 気温が5度以下のとき……

歩く時の寒さ対策にフリース1枚休憩中には厚手のダウンをプラスして。

知らなきゃ危険! 登山のルール

slow down for wildlife, message seen on road in california, usa
Carmen Martínez Torrón//Getty Images

登山には登山者が知っておくべきルールがあります。ルールを知ることは自分の身を守ることに直結するので、しっかりチェックしよう!

ルール①狭い道では上り優先

「急いで下ろうとすると、転倒するリスクが高まるので基本登りが優先。でも登るのが辛いときは、下りの人に行ってもらったり臨機応変にしましょう」

ルール②知らない人でもあいさつしよう

「下を向いて歩いている人が多いので、声をかけて前から人が来ていることを知らせる意味があります。他にも、追い越すときやどんな人が山のほうへ登っていったかをお互いに把握して、万が一登山事故が起きたときに、知らせる役目にもなっています」

ルール③登山ルートを外れない

「登山コースを外れた場所を歩くと、転落・滑落といった危険性があります。最悪の場合、遭難にも繋がることもあるので、絶対に登山道から外れないようにしましょう。もしコースから外れていることに気づいたら、すぐに地図で位置を確認し、確実にわかる場所まで戻ることが大切です」

ルール④火が使えない山もあるから事前にチェック

「登山に行くと頂上でコーヒーを沸かして飲みたくなりますよね。実は山によっては、過去山火事があったところなどでは火が使えない山もあるんです。登りに行く前に火が使えるかを事前にチェックしていきましょう」

これを押さえれば山登りの基本は完璧。登山熱も温まってきたんではないでしょうか?

次回は、【登山実践編】と題して、疲れづらい山の登り方と初心者におすすめの山を紹介!

お話を伺ったのは……

まる/山崎 和可奈(やまさき・わかな)さん

山崎 和可奈
山崎 和可奈

伊豆半島の修善寺・山旅道具の店SANKAKU STAND(サンカクスタンド)を営む。旦那さん・もじゃさんと一緒にYouTubeチャンネル「山好き移住者の日記 by もじゃまる」を中心に登山情報を配信。学生時代から山岳部に所属しており、3年連続インターハイに出場の経歴を持つ。

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Yumi Kobayashi
エディター

 生活雑貨やコスメなどの記事編集の経験を積み、2023年5月から「ウィメンズヘルス」に参加。コスメやアロマテラピーの資格を持ち、正しい知識を伝えることを目標に日々勉強中。フードやサスティナブルな分野に興味があり、週2日のノーミートデーを実践するなど日常生活でのアウトプットを心掛けている。学生時代はラクロスとソフトテニスに没頭、今は漫画に影響されバスケにハマり中。休日はキャンプやフェス、山登りなどアウトドア派。