「ナイキ」が、女性のスポーツ環境の向上をテーマにしたウィメンズ メディア イベントをナイキジャパン本社で開催した。

「THE JOY OF MOVEMENT」と題したパネルトークでは、長谷川ミラさんをファシリテーターに、プロサーファーの松田詩野さん、ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団の篠原果歩さん、ナイキ トレーナーのYUINAさんのパネリスト3人が参加。「スポーツや運動を行うことによる喜び」「日本女性のスポーツ環境をよりよいものにするために」「次世代に伝えたいこと」などをテーマにトークを展開した。

ミラ

(左から)
長谷川ミラさん モデル/ラジオナビゲーター
TVや雑誌での活動をはじめ、J-WAVE「START LINE」ではナビゲーターを務めている。イギリスの名門美大への留学経験があり、社会問題などをSNSで発信する、新世代を担うオピニオンリーダー。ビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」受賞。

松田 詩野さん プロサーファー

中学2年時にプロ資格を獲得後、中学3年時にプロサーファーとしてデビューを飾る。ジュニア時代には、2018年世界ジュニア選手権U-16で2位に入り、世界に名を残し一躍注目選手に。2019年には、「第1回ジャパンオープンオブサーフィン」で初代女王となり、自らの手で日本代表を勝ち取った。その後、4年連続で日本代表入りを果たし、今後の活躍に注目が集まる。一筆書きの様な華麗なレールワークを得意とし、力強さも兼ね備え、ダイナミックターンも決めるなど、見る者を魅了するサーフィンを行う。

篠原果歩さん ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団 プログラム・マネージャー

「スポーツを通じて豊かな社会を形成する」をモットーに、これまでパラリンピック教育や女の子の支援に従事してきた。現職では「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」の国内事業を担当。東京2020パラリンピックでは、閉会式で開催されたI’mPOSSIBLEアワードの立ち上げ・運営を主事。今春より立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍中。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022ソーシャル・インパクト部門選出。

YUINAさん ナイキ トレーナー
ランニング特化型ジムにて6年間のサーキットトレーニング指導の経験を持ち、今ではピラティススタジオThe Silkにてピラティスインストラクターとして活動。2020年にナイキ トレーナーに就任する前も、Nike Training Clubのスタッフメンバーとして様々なイベントに携わり、NIKE Just Do It Studioにてランニングコーチも担当。フィットネストレーナーの他にも、ジェンダー平等を目指す一般社団法人ATHENAの代表理事を務め、サステナビリティなど他社会問題についても啓発行動を行うアクティビストとしても活動する。

日本のジェンダーギャップランキングは146カ国中116位

ミラ

ジェンダーギャップランキングが先進国では下位であることを引き合いに、女性のスポーツ環境の整備改善の必要性がアスリートやトレーナーなどそれぞれの観点から語られた。

篠原さん:「スポーツの観点で考えると、アスリートも男性に比べて女性のほうが少ないし、私たちは選択できる種目も少ないのもありますよね。あとは子どもができたときや育てるとき、どうやって運動を取り入れていけるのかわからなかったり、たくさん課題がありますよね」

松田さん:「サーフィンは海外の大会と比べ、女性専用の更衣室やシャワールームがなかったり、賞金にも男女差があったりします。またロールモデルとなっている人も男性が多いから、男性のサーファーのほうが多い。女性は始めることにもハードルがあるのだろうなと思うし、続けやすい環境を整えていくと変わりそう」

YUINAさん:「ジムを退会する女性の理由で一番多いのが、子育てが忙しくて自分の時間が作れないということ。共働き世帯であっても、育児や家事にかける時間は男性に比べて女性が約4倍というデータもあります。でも、メンタルケア、セルフケアといった自分のための大事な時間としてスポーツを日常に取り入れてほしいので、社会全体の意識が変わる必要があると思います」

運動の楽しさとは生きる喜び

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松田さん:「私がサーフィンを続けてこれたのは、大会が好きで、勝ったときの喜びがエネルギーにつながっているから。楽しい、熱中できることを見つけられたら、スポーツって続けられるはず。そんなシンプルな気持ちを大切にするためにも、やはり続けられる環境作りが大事なんだろうなと思います」

YUINAさん「私が海外で暮らしていたときは、フィットネスのなかにもいろんな選択肢がありました。アメリカでは、サブスクリプションでいろんなジムやスタジオにいけるサービスがあったりして、その日の自分の体調や気分に合わせて、体を動かすことができました。とにかくみんな運動を楽しんでいて、食べることやシャワーすることと同じくらい大切。ライフスタイルの一部になってましたね」

勝利の瞬間や仲間と汗を流す。人が運動するのは、そこに「喜び」があるからだ。女性が運動をできる環境にしていくためになにができるのだろう。

女性特有の悩みを安心して打ち明けられるように

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長谷川さん:「女性は、生理があったり、体の変化がある。自分自身も小学校の時、かなり本格的にバレーボールをやっていたのですが、生理が止まったり、急に来るからドキドキするなどの経験をしました。女性のスポーツの離脱率は思春期に多いと聞いたのですが、女性特有の悩みが関係していますか?」

篠原さん:「あると思います、女性が中学卒業を機にスポーツをやめるのは男性に比べて倍くらい。だからこそ、女性が運動しやすい環境を作るために大切なのは、居心地がいいなと思える場を作っていくこと。(運動が得意な人、不得意な人など)個々のニーズにあったスポーツ環境の提案をソフト面とハード面で整えていくべきだと思います。そして地域に安心安全な場をもっと広めていくことが必要ですよね。女性コーチが少ないのも課題だと思うので、教える人の質を高めるのも大事」

YUINAさん:「私も女性コーチの少なさは課題に感じています。思春期はとくに、生理のことなどを男性には伝えにくいと思うので、女性特有の悩みにも寄り添える環境がたくさん増えていくといいなと思っています」

今後どうやってアクションを起こしていくのか

松田さん:「私自身がサーフィンで活躍して、みんなのロールモデルになれるように頑張っていきたいです。そして、競技に集中しながら、このようなイベントに参加し、女性がスポーツを楽しめる環境になるように、いろんな発信をしていきたいと考えています」

ゆいな

YUINAさん:「フィットネストレーナーとして、体を動かす楽しさを知ってもらうことはもちろん、体と心の健康を保つためにいかにフィットネスが大切であるか、フィットネスを通して得られる自信や達成感を伝えていきたいです。そして、身近に寄り添える立場なので、女性特有の悩みやニーズにあったフィットネスを提供していきたいと思っています」

長谷川さん:「私はよく『MY BODY MY RULE』というのですが、体形によって、運動するしないではなく、私が好きな時に運動すればいいんだから、と伝えたいですね」

篠原さん:「スポーツはメンタルヘルスや健康、自己実現のツールにもなります。自分に合ったスポーツのかかわり方をみつけてほしいですね。自分の場合、運動する素晴らしさを体感できる場所をつくっていきたいです」

今回登場したパネリスト3人は、それぞれ異なったバックグラウンドを持ちながらも、各フィールドで自分にできるアクションを起こしている。もしあなたが運動を始めたいと思いながら、続ける自信が無い、時間がないと感じているなら、まずは1日3分、5分でもいいから始めてみては? すると、スポーツへのハードルは思ったよりも低くなり、自分自身の健康な体と心の繋がりをさらに感じるようになるかもしれない。


問い合わせ先

ナイキ カスタマーサービス 0120-6453-77
「ナイキ」公式サイト

Headshot of Nana Fukasawa
Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。