新しいフィットネスチャレンジや低衝撃で関節にやさしいワークアウトを探している人には、有酸素運動と筋力トレーニングの両方が一度にできる水中ワークアウトがオススメ。米ネバダ大学リノ校の運動科学助教授で水中HIITプログラム『WaterFit』ディレクターのメアリー・E・サンダーズ博士によると、水中での運動には地上の約15倍の抵抗がかかる。

「水を強く押せば押すほど大きな抵抗が返ってくるので、いまの体の状態に合わせてワークアウトの負荷を調節することができます」とサンダース博士。水中では腕、肩、足、臀筋、体幹を使って体を浮かせ、重力に逆らって動かなければならない。だから水泳は、基礎代謝とカロリーの消費量を増やして体重を減らす上でもっとも効果的なワークアウトの1つと言える。

また、これまでの研究により、水中ワークアウトは柔軟性の向上と痛みの緩和にも役立つことが分かっている。米デラノホテルのデイヴィッド・バートンジムでウォーターフィットネスインストラクターを務めるニコール・フォーサイスも「水中ワークアウトには全身を鍛えながらリラックスさせる作用があるので、ケガや腰痛がある人にはもってこいです」と太鼓判を押す。この記事では、そのフォーサイスが考案した30分間の水中ワークアウトを紹介したい。

このワークアウトは水深1.2m以下のプールで行う設計になっているので、泳げなくても大丈夫。普段から地上でしているようなエクササイズのミックスだから、難しいテクニックを覚える必要もない。強度とカロリーの消費量を上げたいときは、エクササイズを2つ終えるたびにハイニーを3分間。このワークアウトを週に3回行えば、すぐに体が引き締まる。

ウォームアップ

プールの中で5分間できるだけ速く歩くか、ハイニーを3分間。好きなほうを3セット行って。セットとセットの間では15秒の休憩を。

トライセプスディップス

シンプルに見えるかもしれないけれど、胸、背中、三頭筋、肩を含む上半身全体が使われる。プールの縁に手をかけて自分の体を上げ下げするのは意外と大変。

HOW-TO:プールの縁に両手をつく。腕と肩の力を使って自分の体をできるだけ高く押し上げる。この状態を数秒間キープしてから、ヒジが90度になるまで体を下げる。このときヒジが外に開かないよう注意して。プールの底に足をつけずに自分の体を10~20回上げ下げする。

アームカール

このエクササイズのポイントは、水の抵抗に逆らいながら自分の体を操作すること。両手にダンベルを持っているようなイメージで二頭筋と三頭筋に力を入れよう。動作を速くすればするほど筋肉が熱くなるはず。

HOW-TO:肩が半分水に浸かるまで足を広く開いて立ち、つま先を少し外に向ける。腕を左右に開いてヒジを曲げ、手のひらを胸に向けて左右の指先をタッチさせる。

二頭筋と三頭筋に力を入れて、ヒジを伸ばしながらドアが開くイメージで両腕を左右に開く。この時点では手のひらが前を向き、両腕がプールの底と平行になっているはず。もう一度ヒジを曲げて腕を閉じる。これを20回繰り返す。

レッグカール

水中で走るのは地上の2倍大変なので、たった数回で驚くほど息が切れる。素早く動いて心拍数を上げ、かかとを蹴り上げるたびに臀筋をキュッと締めよう。

HOW-TO:このエクササイズでは水の抵抗に逆らいながら足を上げ下げする必要があるので、ハムストリングスとふくらはぎが鍛えられる。足を揃えて立ち、腕を開く。プールの縁に片手をついてバランスを取り、左のかかとでお尻をキック。左足を下ろしたら右のかかとでお尻をキック。これで1回。交互に計20回繰り返す。

ジャンプ

このエクササイズは水中でスクワットジャンプをする感じ。臀筋と太ももの力を使い、かかとを地面に押し付けた反動で飛び上がる。

HOW-TO:足を肩幅より少し広く開いて立つ。腕を開いてバランスを取りながら、肩が水に浸かるくらい深くスクワット。

腕を下げて臀筋をキュッと締めながら真上にジャンプ。頂点で足を揃えて着地する。これを20回。

レッグリフト

このエクササイズでは足と同じくらい体幹が使われる。余裕がある人は片手を浮かせてみるといい。

HOW-TO:プールの縁に腰かけて足を伸ばし、つま先を下に向ける。太ももが半分水に浸かっていればOK。両手を体の後ろについて、上半身を少し後ろに傾ける。

両足を伸ばしたまま水の中から持ち上げて、体をVの字にする。つま先を伸ばし、左右の両足を揃えたまま下ろしてスタートポジションに戻る。これを10~20回。

シザーズ

水の抵抗に逆らって足を上げ下げするシザーズ(ハサミ)では、太ももの内側と外側が鍛えられる。

HOW-TO:プールの壁にもたれかかり、両手でプールの縁をつかむ。両足を持ち上げてプールの底と平行にしたら、できるだけ広く開く。

内ももに力を入れて両足を閉じ、右足の上で左足をクロスさせたら、外ももに力を入れて足を開く。もう一度足を閉じて、今度は左足の上で右足をクロスさせる。これで1回。交互に計20回繰り返す。 
 
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Dina Roth Port Translation: Ai Igamoto