長時間のデスクワーク、起床時、歩き続けたあとなどに現れる腰の痛みやしびれ。腰痛の原因は、腰回りの筋肉のなかにある「サボリ筋」のせいかもしれない。
サボリ筋とは、これまで繰り返してきた動作や姿勢のクセ、加齢などの影響から動きづらくなり、働かなくなった筋肉、つまり、本来の役目を果たしていない「サボっている筋肉」を指す。
このサボリ筋にピンポイントでアプローチするのが、「サボリ筋コンディショニング」。サボリ筋コンディショニングによってサボリ筋が目覚めれば、腰がスムーズに動き、安定することで腰痛が改善されるという。
理学療法士であり、一般社団法人日本身体運動科学研究所代表理事である笹川大瑛氏の著書『腰の痛みが10秒で解消! サボリ筋コンディショニング』のなかから「サボリ筋コンディショニング」をご紹介しよう。
「サボリ筋」からはじまる負のスパイラル
なぜサボリ筋が腰痛の原因となるのか。それは痛みを引き起こす、負のスパイラルを生むからにほかならない。
- 腰回りのサボリ筋が、本来の働き・機能を果たしていない
- サボリ筋のそばにある「他の筋肉」にも悪影響が及ぶ
- 腰から股関節の関節・骨盤の状態も悪くなる
- 腰痛や坐骨神経痛が発生する
腰回りにサボリ筋があると、そのサボリ筋が本来果たすべきだった役割を、そばにある複数の筋肉が頑張ってフォローしようとする。初期の腰痛はこの他の筋肉への負担によるものだ。そしてサボリ筋を放置しておくと、ついには骨盤も歪ませ、腰痛が悪化していく。
サボリ筋は骨盤を歪ませる
サボリ筋による骨盤の歪みは大きく骨盤が前傾し「腰が反るタイプ」と、骨盤が後倒し「腰が丸くなるタイプ」の2つに分けられる。
前者をひとことでいえば「普段から反り腰になりやすい」ということ。骨盤の前側を支える筋肉がサボっているため、骨盤が前傾し、背骨のなかで腰の部分を構成している腰椎の並び方が大きく反っている。
後者は骨盤の後ろ側を支える筋肉がサボっているため、骨盤が後倒し、腰椎の並び方が「真っ直ぐに近い状態」になっている。
いずれにせよ、サボリ筋を根源として、骨盤はじめ体のバランスが大きく崩れている状態だ。
セルフチェックで歪みのタイプを見極める
自分は「腰が反るタイプ」なのか、「腰が丸くなるタイプ」なのか。それを簡単に見極める方法がある。
腰が痛いと感じているとき、その痛みは立っているときや寝ているときの方が痛いだろうか。それとも座っているときの方が痛いだろうか。
立っているときや、寝ている時の方が痛ければ「腰が反るタイプ」。反対に座っているときの方が痛ければ「腰が丸くなるタイプ」だ。
サボリ筋コンディショニングは自分の歪みに合わせて実践しなければ効果がでない。自分はどちらのタイプなのか、痛みを感じたらまず確かめてみよう。
腰が丸くなるタイプ向けのサボリ筋コンディショニング
それでは実際のサボリ筋コンディショニングを 1つ紹介しよう。コロナ禍によって増えたデスクワークで腰が辛い、という人も多いのではないだろうか。座っているときに痛むのであれば「腰が丸くなるタイプ」向けのものを実践しよう。
まず、体の左側を上にして、胸を張りながら横になり、両脚のひざを軽く曲げる。左腕は前方に伸ばし、手のひらを上に向けよう。
次に左半身の位置・左手のひらの向きは動かさずに、脇と骨盤を縮めるイメージで上半身をできるだけグッと真上に持ち上げ、その状態を10秒間キープする。終わったら左右を入れ替え、反対側でも同様に行う。これだけでOKだ。
サボリ筋が柔軟に動くようになれば、周りの筋肉もゆるみ、アンバランスだった骨盤・腰椎の状態も整っていく。マッサージでは根本原因の解消にはならない。なかなか解消されない腰の痛みを持っている人は一度試してみてはどうだろうか。
『腰の痛みが10秒で解消! サボリ筋コンディショニング』もあわせてチェック!
理学療法士であり、一般社団法人日本身体運動科学研究所代表理事である笹川大瑛氏の著書『腰の痛みが10秒で解消! サボリ筋コンディショニング』がKADOKAWAより好評発売中だ。今回紹介できなかった「腰が反るタイプ」向けのサボリ筋コンディショニングはもちろん、座ったままできるものなど、他にも様々なバリエーションが掲載されている。
<目次>
第1章 腰痛が治らなかったのは「サボっている筋肉」のせい!
第2章 10秒で腰の痛み・しびれに効く「サボリ筋コンディショニング」
第3章 「反ると痛いタイプ」は骨盤の前を整える
第4章 「屈むと痛いタイプ」は骨盤の後を整える
第5章 疑問を解決! 最大の効果を得るためのQ&A
Hikari Inagaki(side dishes)