デスクやソファに座ってばかりの人は、いつの間にか「デッドバット症候群」になっていることがある。臀部の筋肉が弱って、不活発になり、体のバランスが悪くなってしまうそう。デッドバット症候群の症状と原因、治療法、予防法をご紹介。

デッドバット(直訳すると死んだお尻)症候群だからといって、お尻の筋肉が本当に“死んでいる”わけじゃない。ただ、臀部の筋肉が弱り、不活発になっている状態。

スポーツ理学療法士のリーダ・マレクによると、デッドバット症候群では、お尻が張ったり、弱々しく感じたり、痛んだりする。なぜ? デスクやソファにとらわれて、ずっと同じ姿勢でいると臀筋が順応し、完全に収縮する能力を失ってしまうから。

その結果、体のバランスが悪くなり、腸脛靭帯炎(ランナーヒザ)、臀部痛、坐骨神経痛などの問題が生じることも。私たちが真っ直ぐ立っていられるのも臀筋が腰を支えてくれているからなので、デッドバット症候群になると、その腰はもちろん、背中やヒザまで痛くなることもある。

残念ながら、あなたがエスプレッソを一気に飲んでも臀筋は目覚めないので、デッドバット症候群の症状と原因、治療法、予防法をチェックしよう。

デッドバット症候群の原因

デッドバット症候群は、座りがちの生活を続けた結果、お尻の筋肉が好きなだけ収縮する能力を失うことで起こる問題。「日頃から運動量が少ない人や、下半身と臀筋を狙うエクササイズが足りない人は、デッドバット症候群になりやすいかもしれません」とマレク。

既存の神経障害が大きな原因となることもある。臀筋は臀部や腰椎の神経に動かされているため、その神経に問題があると、臀筋が痛んだり弱ったりしてもおかしくない。また、臀筋は体内でほかの筋肉とつながっているので、ほかの筋肉の不均衡がデッドバット症候群を引き起こしていることもある。

デッドバット症候群の診断方法

デッドバット症候群の症状には、臀筋と腱、股関節周辺の不快感が挙げられる。椅子から立ち上がるのがつらいのも、よくある症状。「張りや凝りから深部の鈍痛、その筋肉がアクティベートしづらい感まで、症状にはいろいろあります」とマレク。「腱の痛みは、骨ばっている部分に生じることが多いです。臀筋がくっついている骨盤の上部や腰の外側(大転子のそば)ですね」

マレクによると、腱は使いすぎでも使わなすぎでも炎症を起こすので、必ず医師の診断を受け、治療計画を立てること。

デッドバット症候群の治し方

デッドバット症候群はエクササイズで治せることが多い。医師の許可をもらったら、マレクおすすめの臀筋エクササイズで眠たげな臀筋と下半身の筋肉を叩き起こそう。週に3日が理想的。

ルーマニアン・デッドリフト

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1.足を腰幅に開いて立ち、ヒザを軽く曲げる。
2.両手にダンベルを持ち、太ももの前で手のひらを内側に向ける。
3.ヒザを軽く曲げたまま、股関節から上体を前に倒し、お尻を後ろに押し出しながらダンベルを床に近づける。
4.臀筋をキュッと締めながらスタートポジションに戻る。
これで1回。8~12回x3セット。

「このエクササイズは臀筋とハムストリングスをよく伸ばしてくれますよ」とマレク。

バンデッド・ラテラルウォーク

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1.短いレジスタンスバンドを足首の10cmほど上に巻く。
2.足を腰幅に開いて立ち、ヒザを軽く曲げる。
3.体幹をキュッと締めたまま、左足を横に出して右足を続かせる。
これで1回。左右それぞれ10~15回x3セット。

「このエクササイズでは、バランスに必要な中臀筋が鍛えられます」とマレク。「中臀筋は強くなければなりません」。足を横に出すたびに一呼吸置くと難易度が高くなり、お尻の奥のほうまで燃える。

バランスボール・スラスター

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1.背中の上部をバランスボールにもたせかけ、両足を床につく。
2.かかとで踏ん張り、臀筋の力で股関節をグッと持ち上げてから、スタートポジションに戻る。
8~12回x3セット。

「おへそは終始引っ込めておきましょう」とマレク。「腰ではなく股関節を持ち上げ、ボールが転がらないようにしてください」。胴体と股関節の連携が必要なヒップスラスターは、臀筋強化にピッタリのエクササイズ。

デッドバット症候群の防ぎ方

デッドバット症候群も最初から防げれば、それに越したことはない。大事なのは、アクティブな生活を続け、同じ姿勢で長時間座るのを避けること。1時間ごとに立ち上がり、1時間半ごとにオフィスか家の周りを歩こう。「散歩に出るのはよいですね」とマレク。「上り坂なら臀筋がさらに鍛えられます」ウォームアップ中にフォームローラーで臀筋をほぐしておけば、トレーニングの質が高くなり、デッドバット症候群の予防になるそう。

そして、上記および以下の下半身&臀筋エクササイズを週2~3回行えば、デッドバット症候群のリスクが下がる。どのエクササイズも(必要であれば左右それぞれ)8~12回x3セットを目標に。

ヒップブリッジ

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1.あおむけの状態で腕を体の横に置き、指先がかかとに触れるくらいまでヒザを曲げる。
2.体幹と臀筋をキュッと締めたら、かかとで踏ん張り、股関節を天井に向かって押し上げる。
3.肩からヒザを一直線に。この状態を2秒キープしてからスタートポジションに戻る。
これで1回。

「このエクササイズでは臀筋とハムストリングが一緒に働きます」とマレク。「でも、より頑張らなければならないのは臀筋ですね」

ステップアップ

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1.手を腰に当て、ベンチか階段の前に立つ。
2.右足をベンチか階段に乗せ、左足を胸に向かって引き上げる。
3.この動きを巻き戻してスタートポジションに戻る。
これで1回。

「このエクササイズでは、臀筋に大きな負荷がかかります」とマレク。

相撲スクワット

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1.足を肩幅に開いて立ち、つま先をやや外に向け、ダンベルの一端を両手で持つ。
2.ヒザを曲げ、お尻を低く落としてスクワット。
これで1回。

「スクワットは、とても機能的なエクササイズです」とマレク。「つま先をさらに開いてコントロールを維持すれば、臀筋にかかる負荷がもう少し大きくなります」。お尻を毎回燃やしたいなら、ゆっくり立ち上がるのがコツ。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Isadora Baum Translation: Ai Igamoto