臨床栄養学専門誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された新たな論文によると、持久力エクササイズのあとにプロテインを摂取すると、筋肉の回復が早くなる。ワークアウト後のプロテインは、今後の持久力エクササイズにおける筋肉の反応にも影響を与えることが考えられる。プロテインを30g摂取すれば、筋肉の回復を著しく早められるんだとか。詳しくみていこう。

エクササイズ後の筋力づくりにはプロテイン。でも、これは持久力系の運動(ランニングなど)をしたあとにも言えること? それとも筋トレ後に限った話? 筋肉の調子を整えたいなら、走ったあともタンパク質を摂取するべき。

臨床栄養学専門誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された論文によると、研究チームは持久力トレーニングを行っている健康な男性48名(平均年齢27歳)を二つのグループに分けた。両グループはサイクルエルゴメーターで連続的な持久力エクササイズを90分行い、その6時間後に研究チームは全員から血液検査と筋生検のサンプルを採取した。

運動後、片方のグループは45gの糖質と15~45gのミルクプロテインを摂取して、もう片方のグループは45gの糖質のみ摂取した。

その結果、プロテインの摂取は骨格筋だけでなく、将来の持久力エクササイズにおける筋肉の反応にも影響を与える可能性が見えてきた。

「エクササイズは筋肉のタンパク質合成とタンパク質分解を促します」と話すのは、この論文の共著者で蘭マーストリヒト大学運動生理学教授のルック・ファン=ルーン博士。「食べ物を摂取しないと合成と分解のバランスは崩れたままです。でも、タンパク質を摂取すれば、合成が促進されて分解が抑制されるため、損傷した筋肉の回復が進みます。タンパク質は、運動に対する筋肉の適応反応もサポートします」

筋力トレーニングに関しては、このようなタンパク質の作用が広く研究されている。でも、タンパク質の摂取が“持久力エクササイズ後”のリカバリーやコンディショニングに与える影響を示すデータは少ない。

ファン=ルーン博士によると、30gのタンパク質を摂取すれば、その後数時間にわたり筋肉の回復が著しく加速する。それ以上のタンパク質を摂取しても筋肉の成長速度は変わらないけれど、それが無駄になることはない。

「筋肉のタンパク質合成に使われないタンパク質は、筋肉以外のタンパク質の合成に使われます」とファン=ルーン博士。また、過剰に摂取されたタンパク質の一部は脂肪に変換されて、後々のエネルギー源になりますよ」

今回の研究は健康な若い男性を対象に行われたけれど、これまでの研究結果を見る限り、男性でも女性でも、高齢者でも若者でも、運動後の筋肉に吸収されるタンパク質量はさほど変わらない。ただし、ファン=ルーン博士が言うように、アクティブな筋組織の量が少ない女性には男性ほどのタンパク質が必要ではないかもしれない。

今後は、ランニング後にもプロテイン摂取を心がけてみては?

※この記事は当初、アメリカ版『Bicycling』に掲載されました。

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。

Text: Elizabeth Millard Translation: Ai Igamoto

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