「体重が同じでも、重心が上がると見た目が変わります」と教えてくれたのは、歩き方コーチの犬飼奈穂さん。今回は犬飼さんの著書、『背中をゆるめると健康になる』から、背中痩せのために必要な考え方をご紹介。

背中やせするには、筋肉をゆるめる必要がある?

「特別な食事制限をしなくても、背中をゆるめるだけで人はやせることができます。ここで言う『やせる』というのは、単純に『体重が減る』ということではありません。洋服がサイズダウンする、お腹が引っ込む、スタイルが良くなるなど、『見た目が変わる』ことを指します。そのカギは、体の『重心』にあります。ほとんどの人は、筋肉が固くなると同時に、重心が下がっているのです。人はただでさえ重力の影響を受け、常に上から押されています」

「さらに背中の筋肉が固くなると、縮まったまま伸ばせなくなるので、重力に負けて体の重心は下がっていきます。重心が下がると、肋骨と骨盤の間のすきまが狭くなります。行き場を失ったお腹のお肉は前に出るしかなくなり、内臓も押しつぶされて前に出ます。だから体重が増えたわけではないのに、お腹がぽっこり出てしまうのです。逆に、重心を上げて肋骨と骨盤の間を広げると、体重を減らさなくても、自然に腹筋が使えて骨盤が立ちやすくなり、お腹はへこみます。『重心を上げる』と言っても、がんばって引っ張り上げる必要はありません。背中の筋肉をゆるめて、骨や内臓を本来のポジションに戻すことが大切です。ただバランス良く立ち、ただ歩くだけで、自然に重心が上がってスリムに見えると同時に、やせやすくなるのです。背中がゆるんで骨が正しいポジションに戻ると、見た目がガラリと変わります

「太って見える原因は、やはり『背中の固さ』にあるからです。背中が固くなると、上半身も下半身も筋肉が内側に巻き込まれて、『前に前に』引っ張られるようになり、筋肉が前に広がって太ったように見えてしまいます。老化や肥満のせいだとあきらめないでください。ただ正しい位置に戻るだけで、二の腕や太ももは細くなり、お尻は小さくなります」

背中やせだけではない! 背中をゆるめるメリット

  • イライラしにくくなる
  • 顔が小さくなる
  • 笑顔が自然になる
  • デコルテがすっきり
  • ぐっすり眠れる
  • 巻き肩・猫背の改善
  • 広がった背中がすっきり

背中やせを遅らせているかも? 筋肉を固くしてしまう習慣チェックリスト

  • 胸を張って歩く
  • 下腹に力を入れてお腹を引っ込める
  • お尻にキュッと力を入れて立つ
  • ストレッチで思いきり筋を伸ばす
  • 長時間パソコンの前に座り、肩を上げたまま作業する
  • 気がつくと歯を食いしばっている
  • やらなければいけないことを常に考えている

「このどれもが、筋肉を固くしてしまう習慣だということを、まず覚えておいてください。頑張る人は、筋肉が固くなっていることが多いのです。筋肉には、力を入れているときに固くなり、力を抜いたときに柔らかくなるという性質があります」

背中やせのために、筋肉をゆるめる方法

デスク作業やスマホ操作などの合間に、10秒だけ、背中をゆるめることを考えてください。この10秒が、とても効果的なのです。固くなった背中をゆるめるには、激しく大きな動作ではなく、小刻みで小さな動作が必要です。筋肉は、『ゆらす』、『細かく動かす』、『緊張させて解放させる』などの動作でゆるめることができます。例えば、イスに座ったとき、フニャ~ッと背中を丸めます。これだけでも『緊張させて解放させる』という動作になります」

「長時間同じ姿勢でいたり、動かさない状態が続いたりすると筋肉は固くなります。だからこそ、日常のすきまに、10秒だけゆるめることを習慣にしていただきたいと思います。10秒とはいえ、貴重な時間です。目まぐるしい日常の中ではどうしても優先順位が下がり、忘れてしまいがちです。そこで、『パソコン作業中に、お茶を飲むタイミングで一緒に行う』『スーパーのレジ待ちの時間で行う』など、マイルールにしてしまうと良いでしょう。自分が忘れないタイミングで続けられることがポイントです」

まとめ

筋肉を固くしてしまう習慣がある人は、まずは日々の生活のなかで、背中をゆるめることを意識してみて。筋肉を柔らかくして、すっきりとした背中を手に入れよう!

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犬飼 奈穂(いぬがい・なほ)さん

歩き方コーチ。「ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ」代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。愛媛県松山市出身。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、これまでに述べ6000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。開催する講座やセミナーは1000回を超える。

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。