いよいよ2022年も残りわずか。

2023年こそ引き締まった体を手に入れる! カッコいい自分になる! と意気込んでいる方も多いはず。そんな前向きな気分のお正月に、まず襲い掛かってくるのが「正月太り」。

ある調査によると、働く女性の約8割が正月太りの経験があるそう。さらには正月太り解消に向けたダイエットの途中で挫折したことがある人はそのダイエット経験者の約7割。

パーソナルトレーナーの林健太さんによると、太りやすいことに加え、精神的に痩せにくいのが正月太りの厄介なところだという。今回は、年末年始の心がけで、正月太りを未然に防ぐ方法を教えてもらった。

年末年始は様々な予定があり、全て実践することは難しいかもしれないれど、ちょっとの心がけで正月太りも軽く済ませることができるかも。冬休み明けに後悔したくなかったら、ぜひ参考にして!

①年末のイベント終わりに要注意!

flat lay december calendar in rustic wood background
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お正月と並んでビッグイベントなのがクリスマス。24日、25日は家族や恋人と予定を入れてトレーニングができなかったり、いつもより食事が多くなるという方も多いのでは? そして29日頃からは年末休みに入り、お酒を飲みながらその年の疲れを癒す……。こんなルーティーンの年末を過ごすという方は、その間の12月26日~28日の過ごし方を見直して欲しいと林さん。

「この3日間こそが、まさにゴールデンタイム。忘年会などの予定が入ってもしっかり自制し、この3日間の摂取カロリーをぐんと減らしてみましょう。長期間にわたってカロリーが不足した状態を続けるのは代謝の低下などを招き、ダイエットが上手くいかない原因につながりますが、短期間なら話は別。クリスマスから年始にかけての約10日間でのトータル摂取カロリーなどをしっかりコントロールし、メリハリをつけた年末を送ってみることもおすすめします」

②家族の優しさに要注意!

slices of pumpkin pie served on plate
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正月太りを経験した女性が口を揃えて原因と挙げているのが「食事量が増えたこと」。中でも一番多いのは”ダラダラ食べ”なのでは? 実家に帰省すると、コタツの上にはお菓子や果物が常備されており、お腹が空いたわけでもないのについ手が伸びてしまう。久々に顔を合わせる家族はどんどん食べ物を勧めてくる。おそらく一度は誰もが経験したことのある“正月あるある”。

「一回の食事量が増えることはもちろん、それ以上にちょこちょこ口にする回数が増えた結果、食事量が増えたという人が多いはず。食後の血糖値が落ち着く前にまた食べてしまうことを繰り返していると、脳が常に血糖値を高い基準にキープさせようとしてしまうため、自分の意志とは裏腹にダラダラ食べが止まらないのはそういった要因も大きいと思います」と、林さんは解説してくれた。

お腹が鳴るくらいを空腹のほどよいサインと捉え、家族の優しさからの甘いものは血糖値を上げやすいので、気持ちだけを受け取るようにしよう。

③家でのダラダラに要注意!

girl walks around in winter
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糖質たっぷりの美味しい料理に温かいコタツ、外は寒いしなるべく外出を控えて正月くらい家でゆっくり休もう。そんな気持ちになっている人は正月太り予備軍。温かい室内に薄い空気、眠くなる環境が整っている上にダラダラ食べがミックスされる。太る為の環境が整備されているのがお正月の室内だ。

そのため、一日一回は屋外の空気を吸ってリフレッシュすることが、林さんが勧める正月太りを防ぐ方法。「室内で副交感神経優位の時間が長くなっているのとは反対に、寒さで交感神経がしっかり働くので、自律神経のバランスも整いやすいですよ。ただし、外に出てもカフェの中でダラダラくつろいでしまっては元も子もありません。最低でも1時間くらいは散歩など外でリフレッシュし、休憩したい時は温かい飲み物をテイクアウトし、テラス席や屋外で体内から温めるようにしてみてください」

林さんによると、カフェインを含む飲み物は血管収縮作用もあるのでなるべく避けた方がいいそう。

④テレビの見過ぎに要注意!

young woman looking in suspense at tv
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年末年始はテレビの前に張り付くように座ってしまうという人も少なくないはず。

「ダラダラした環境で座っていると姿勢が悪くなるのはもちろん、呼吸も浅くなり、腰痛の原因や胸椎の可動制限も生じてきます。座りっぱなしは非常に身体に悪いので、CM中ぐらいは強制的にでも体を動かしたほうが、全身の血流も良くなります」

そこで林さんおすすめの、CMをうまくトレーニングに使う方法をご紹介!

基本的なCM1本は15秒で番組間には8本程度放送されている。1本目のCMの15秒間はトレーニング、2本目のCMは休憩……これを繰り返すだけで立派なインターバルトレーニングになる。

トレーニングと言うと抵抗もあるかもしれないけれど、まずは15秒間スクワットや腿上げをしてみたり、プランクでキープしてみるなどでもOK。まずは動くことから始めてみよう。

ストレッチの場合は、30秒ほどキープするのがおすすめだそう。筋の緊張を感知して収縮を促す器官よりも、ゆっくりと筋を伸張させる器官を機能させるためにも、ストレッチはCM2本分を目安にしてみよう。

⑤お酒の〆こそ要注意!

sapporo ramen noodle lifted up by red chopsticks with steam against black background
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お酒をたくさん飲むと無性に食べたくなるのが「ラーメン」。

アルコールの大量摂取は脳の働きを低下させるのはもちろんのこと、体内では毒物と認識される為、肝臓での分解に大量の糖も消費されるそう。

すなわち血糖値も上がりにくく、さらには尿と共に様々なミネラル分も排泄されるため、必然的に炭水化物+塩分が摂れる食べ物を身体が欲してしまうのは自然な現象だと林さんはいう。しかし、飲んだ時の食事をしっかり気を付けたのに、その後に食べてしまってはせっかくの頑張りがもったいない。

そんな時におススメなのが味噌汁。

「味噌汁は適度な塩分を摂りながらお酒で冷えた体を温めてくれるので、空腹感も和らぎ、炭水化物を摂らなくてもお腹が落ち着きます。ラーメンだとスープを飲む前に麺をすすってしまうということも多いと思いますが、実はスープで体を一度温めて、アルコールの影響を受けた脳を落ち着かせると、空腹感も紛れてしまうんです」

年末年始は自宅にもインスタント味噌汁を常備しておこう。

⑥買い物はネットよりお店で

woman running with shopping bags
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年末年始に魅力的なセールの数々。

もちろんお財布との相談は必要だが、林さんはどんどん積極的に買い物に出てほしいと言う。

「ショッピングはとにかく歩く時間が多くなります。目的のないウォーキングが苦手で、なかなか運動ができないという人にとってはチャンスです。それ以外にも行列に並ぶこともカロリーを消費するので、とにかく家で座り続けず立つことや歩くことが大切です」

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、この10年間で女性の歩数は有意に減少している。

目標とされる8,500歩は1時間程度ショッピングをしていれば意外とすぐクリアできるので、スマホの歩数計もこまめにチェックしてみて。

⑦いつも通り早起きを

年末年始の過ごし方
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どうしても夜更かしが多くなる年末年始だが、起きる時間で調節することは避けてほしいと林さん。

「寝ているときよりも起きているときの方が体は活動するので、当然エネルギーを使います。寝る時間が遅くなったからと起きる時間を遅くするのではなく、いつもと同じ時間に起きて活動することが大切です」

起きる1~2時間前から血圧や血糖値を上げる抗ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、人は目覚めを迎える。

いつもと同じ時間にホルモンが分泌されているにも関わらず、長時間の二度寝をしてしまうとホルモンバランスも乱れ、一日が憂鬱な気分にもなりかねない。

「日中にとる数十分の仮眠はパワーナップと呼ばれ、脳や体の疲労を回復させてくれます。二度寝で数時間のカロリー消費を無駄にせず、お昼の数十分を有効活用しましょう」

⑧大掃除は入念に

smiling woman at home cleaning the window
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家事も大切な運動の一つ。

中でも掃除は、全身を使うことで消費カロリーが最も多い家事の一つ。

中でも床の雑巾がけや掃除機、お風呂掃除などは下半身も大きく動かすのでウォーキングより消費カロリーが大きくなることもある。

普段の何気ない行動も、時間をかけて行えばそれだけでも十分な運動になるということを改めて知っておいてほしいと林さん。

また大掃除というと、気合を入れて朝から一日で終わらせることも多いが、数日間に分けるほうが結果として正月太り予防にも繋がるそう。

「活動量が減ってしまう年末年始は、大掃除を日常活動の穴埋めとして行うと良いでしょう。ただし、普段通り運動などの時間も確保してほしいので、掃除だけに時間を割くことは避けましょう」

短期集中ではなく毎日どこかの大掃除をこまめに行うことで、家も体も美しい状態が保てる。

⑨非日常体験を

年末年始
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年末年始は帰省などで予定が詰まっているように感じるが、実際はそうでもないことも。家族で過ごす時間は夕方以降だけなど限られた時間にもかかわらず、特にそれ以外の予定を組まずに時間を持て余したという経験をした人もいるはず。

「年末年始は休みの企業やお店が多い分、実はイベントなども数々開催されています。そういったイベントを活用することはもちろん、初日の出や故郷の観光などの非日常体験は、体だけでなく心も豊かにしてくれます」

正月太りは体だけの問題ではなく、心にも影響する。

休みを終えた後の仕事に向かう姿勢は一年の大切なスタート。そのためにも年末年始は非日常体験や普段行わない運動などに積極的に触れ、アクティブな休息を心掛けてみて。


⑩習慣化のスタートに

woman speed walking in fore of city skyline
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忙しい日常から解放される短い期間なので、ゆっくりすることもあるだろうが、何度も述べている通り日常の活動量が減ってしまうことが正月太りの大きな原因でもある。

「運動をしない理由の第一位は、時間がない。また、運動習慣のない女性は70%を超えており、減少傾向にあります(厚生労働省「国民健康・栄養調査(令和元年)」より)。年末年始にゴロゴロする時間を有効活用すれば、必ず運動の習慣化へ第一歩が踏み出せるはずです」

習慣化には数週間~数か月必要とも言われるが、それも個人差があるもの。

年末年始の過ごし方で正月太りを防ぐどころか、一生ダイエットに悩まない習慣を作ることもできる。

2022年を健康的に終わり、2023年も健康的にスタートするためにも、休暇前のメリハリをつけた日常からあまり乖離し過ぎない生活を送るように心掛けることはとても重要。新年を軽やかな心と体でスタートするためにも、今年はいつもと少し違った気持ちで年末年始を過ごしてみては?

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/