年末年始にかけてどんどん増える飲み会。

特にダイエット中は、誘われる度に罪悪感や嫌悪感に襲われながら参加する人や、参加しても思い切って楽しめないという人も多いはず。

「罪悪感や嫌悪感はストレスの大きな原因です。アルコールや高カロリーなおつまみに加え、ダイエットに大敵のストレスがのしかかっては三重苦。まずはストレスだけでも取り払い楽しむ方が、自分自身だけでなく周りにも良い印象や影響を与えます」

もちろん、アルコールやおつまみの量に注意は必要だが、アルコールと相性の良いおつまみや飲み会前後に摂取する栄養で、負担を軽減する方法がたくさんあると教えてくれたのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「多くの人は、飲み会の日は食事を抜いたり減らしたりしますが、実際はもっと食べても問題ありません。特に気にしている人ほど飲み会中も食べずに、空き腹にアルコールというケースに陥ります」

胃が空の状態ではアルコールから受けるダメージも大きくなる。さらにはアルコールを分解する肝臓などのエネルギー源も枯渇するので、二日酔いでさらなる辛くなるケースも。

「飲み会の日こそ朝から食べながら整えることを心掛けてほしいです。一日食事を抜いても痩せないのと同様に、一日飲み会があったくらいで太ることはありませんので、過度に気にする必要はありません」

①忘年会の日の朝

飲み会を控えた朝は、しっかりと炭水化物を摂るようにしてほしいと林さん。

「肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは、アルコールを分解する際のエネルギー源にもなります。前日の夕食から飲み会当日の夕方まで丸一日空いてしまうとほとんど枯渇状態になってしまいますので、まずは夜に備えてエネルギー源をたっぷり補給しましょう」

アルコールは体にとって有毒物質で真っ先に代謝されるため、飲み会中に炭水化物を摂っていては手遅れ。アルコール代謝が優先されると糖代謝も遅れるので、飲み会中の炭水化物過剰摂取は体脂肪蓄積の原因にも。

「アルコールの分解ではビタミンやミネラルも消費されるので、朝食にはフルーツがおすすめです。また、活性酸素も大量に発生させるので、抗酸化作用のあるフィトケミカルは強い味方になってくれます」

フルーツは糖質と合わせて水分もしっかりと摂れることも大きなポイント。飲み会中に忘れがちな水分補給も、朝の時点からしっかりと心掛けておこう。

②忘年会の日のランチ

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アルコールの分解で特に多く使われるのが、糖質を代謝するためにも欠かせないビタミンB1。水溶性ビタミンの一種で吸収されにくく、排出されやすいという特徴もあるので、飲み会の日は特にこまめに、多めに、を心掛けてほしいと林さん。

「玄米や十割そばなどの未精製穀物に多く含まれます。ウナギ、鮭、豆腐などにも含まれるので、和定食を選ぶようにしておきましょう。また、ニンニクやネギ、玉ねぎに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を促進してくれますので、薬味のトッピングも効果的です」

もちろん朝食と同様に、ビタミンやミネラルをたっぷり摂取するためにも野菜は必須なので、サラダや野菜の小鉢の追加ができる場合は検討してほしい。

朝食の高炭水化物から、お昼は中炭水化物へと切り替え、追加でタンパク質(分解されるとアミノ酸)などアルコール分解に必要な栄養をしっかり摂ることを心掛けておこう。

アルコールが7kcal/gと、いつも以上に余分なカロリーを摂るということを考えれば、調理方法はできる限り調理油の少ないものを選んで。

③忘年会直前

空き腹にアルコールは吸収を促進してしまい、酔いが早く回る原因にも。血中アルコール濃度の急上昇や脳への影響などの健康被害を防ぐためにも、飲み会の前にもし空腹を感じた場合は、少し間食を摂るようにしよう。

「脂質を含む食品は胃の運動を抑制し、滞留時間も長くなるので、アルコールが胃に留まる時間も長くしてくれます。しかし、脂っこい食事を大量に摂ることは逆効果になるので良い脂質を少量摂るようにしてみましょう」

林さんのおすすめは、脳にもよい脂質としても有名なオメガ3を豊富に含むナッツ系食品。脳に悪影響を与えるアルコールと、揚げ物や肉類などの飽和脂肪酸が多いおつまみに偏りがちな飲み会の日は、特に脂肪酸の摂取バランスを整えるためにもオメガ3を摂っておこう。

④忘年会中

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「飲み会中のおつまみは高カロリー高脂質な揚げ物などを避け、肝臓の働きをサポートしてくれる食材を摂ることが重要です。アルコールの影響で食欲のブレーキが効き辛くなることも多いので、よく噛んで食べるように心掛けてください」

おつまみの定番である枝豆には、美白効果でも有名なグルタチオンが多い。グルタチオンは肝機能を高め、解毒作用を促進してくれる代表的な栄養素。

タコや貝類に含まれるタウリン、しめじやシジミに含まれるオルニチン、アスパラガスや肉類に含まれるアスパラギン酸なども、肝機能をサポートすると言われている。

ジャンクな食品に走りすぎず、野菜と肉や魚などがバランスよく摂れるシンプルなおつまみの選択が重要。特にアミノ酸が多く含まれる動物性食品は肝機能のサポートに重要だが、低脂質で薄味なものから選ぶように心掛けてほしいと林さん。

「味の濃いものや、刺激の強いものは飲酒を促進してしまいます。お酒が進むおつまみは、ある程度空腹感が満たされてから注文するだけでもトータルの食事量と飲酒量を減らすことに繋がります」

⑤飲み会後は

「飲み会後はとにかく水分の摂取を心掛けてください。アルコールに利尿作用があることはもちろん、分解する際にも水が必要です」

水分の吸収量などを考えると、お酒を飲みながらチェイサーを用意するのが理想だが、なかなか実践できる人も少ない。終わった後は食欲に負けて食べる前に、一度しっかりと水分補給をして食欲を落ち着かせることが大切。

極力糖質を含まないアミノ酸ドリンクなども有効なので、トレーニング中に摂る習慣がある人は飲み会の日にも持参しておくと良いと林さん。

「さらにアルコールを飲んだ後の睡眠は無呼吸症候群を引き起こす確率も高くなり、心身共に影響を与えます。酸素不足は二日酔いを招く大きな要因ですので、深く眠れる環境を作ることも大切です」

口呼吸は酸素不足や乾燥だけでなく、唾液量も減るため不衛生で感染症の原因にもなる。マウステープなどを利用して鼻呼吸を促すだけで、酸素の供給能力が上がりそれらの問題も全て解決。

苦しさを感じる場合は普段から口呼吸になっている可能性があるので、この機会に確認してみよう。絆創膏などでも代用可能なので、飲み会の日は栄養、水分だけでなく酸素まで気を配ってみて。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/