体を作るのは習慣。

そう分かっていてもどんな習慣をつけていけばいいかが分からないし、なかなか続かないという人も多いだろう。

どんな習慣でも「塵も積もれば山となる」で、続けることが大切なポイントになってくるわけだが、パーソナルトレーナーの林 健太さんは習慣化するためのコツをこう語る。

「習慣化したいと思うことは何があっても毎日続けてみてください。数日に一回よりも毎日やることの方が継続しやすいので、一時的に少し苦しくても踏ん張ってみることが大切です」

できるペースで、できるときにやるという人は短期的なストレスには悩まされないかもしれないけれど、なかなか習慣にはならず、長期間やらなければいけないというストレスに悩まされる。

一方で毎日続けることはストレスが多いように感じるが、それは習慣化されるまでの短期間のこと。身についてしまえばそれが当たりまえになるので、その後のストレスには悩まされないだろう。

「できれば一ヵ月と言いたいところですが、せめて二週間続けてみてください。心と体に変化があれば続けることにも前向きになるでしょうし、万が一何らかの理由でその習慣から離れてしまっても、一度身についたものはゼロから作り上げるより戻すほうが容易です」

そこで今回は、今すぐにできて継続しやすい痩せ習慣10個を林さんに教えてもらった。

痩せたいと願うなら、一つでも身に付くように二週間続けてみよう。生活リズムや心身のモチベーションが変わってくるはず!


①水を飲む

特に夏の暑い時期、脱水によるめまいや吐き気、筋肉のけいれんなどを経験した人もいるだろう。

自分では水分を摂っているつもりでも意外に体は脱水状態になっていることを知っておきたい。

「喉が渇いたというのは脱水症状のサインです。水分補給のタイミングとしては既に遅いくらいです」

脱水症状ということは血液の流れが悪くなり、尿の量も減ってしまう。すなわち体内の老廃物を運び、排泄するという流れが鈍ってしまうので代謝も悪くなる。

筋肉はもちろん、内臓や細胞の一つ一つまで水分をしっかり与えることで、ダイエット中もなるべく代謝を下げないようにしよう。

「水分をしっかり摂ることで過食も防げますし、一時的に下がった体温を戻すにも体はカロリーを消費します。一日を通して2リットル程度をなるべくこまめに摂るようにする痩せ習慣を身に付けてください」

②湯船につかる
young woman taking a bubble bath, scooping bubble
Indeed//Getty Images

入浴前後での体重変化は、水分量の変化であることはおそらくほとんどの方が知っているはず。その体重変化は前項で述べた通りしっかりと水分補給をして調整してほしいが、実際に入浴にはそれ以外の効果もあると林さんは言う。

「お湯につかるだけでも水圧や湯温の影響を受けるので、カロリーを消費します。さらには血流も良くなるので、お風呂の後だけでなく前にも水分補給をしておくことで血液循環が良くなり、代謝を上げる効果も見込めます」

普段の習慣も一つの立派な痩せ習慣。

湯温が高いと交感神経が優位になり興奮してしっかり休むことができないので、入浴後にぐっすり寝るにはぬるめのお湯に浸かることがおすすめだそう。

③食後のデザートをやめる

食後に甘いものを食べる習慣がある人はすぐにやめよう。

お菓子はもちろん、フルーツなども単糖類を含んでいるので血糖値を上げやすい。ダイエット中はGI値の低い食事をと気を付けているのに、食後にデザートを食べてしまっては本末転倒。

もし甘いものが食べたいのであれば、トレーニング後を狙って食べるようにしよう。

食べた糖質はトレーニングで使われた筋グリコーゲンを回復させることが優先なので、普段よりも体脂肪には取り込まれにくい。さらにこのタイミングでたんぱく質もしっかりと摂れていれば、筋肉の回復も早くなるので絶好のタイミング。

④ストレッチをする

「ストレッチも立派な運動です。運動する時間がなくても、寝る前のストレッチは欠かさないという素晴らしい習慣は、運動習慣と言い変えても過言ではありません」

ストレッチは筋肉の柔軟性を高めたり、関節の可動域を広げたりする重要な運動であり、疲労回復や姿勢矯正にも大きな役割を果たす。

つまり、ストレッチをしているだけでも体が温まり、血流が良くなることで代謝はアップする。関節の可動域が大きくなるということは、普段のトレーニングの効果も高くなり、姿勢が良くなるということは普段から動員する筋肉も増える。

ストレッチも怠らずに継続しておけば、痩せ習慣になる。

⑤30分歩く
痩せ習慣
Maridav//Getty Images

皆さんは毎日何歩歩いているだろうか。

今はスマートフォンのアプリでも簡単に計測できるので、是非今すぐ確認してほしい。

「女性の一日の平均歩数は約6000歩です。これを下回っているということは、日常の活動レベルが低い状態といってもいいでしょう」

テレワークなどで家から出る時間が少なくなってしまったという人もいるかもしれないが、毎朝通勤に見立てた30分のウォーキングを取り入れてみよう。

30分歩けば約3000歩。

それでも足りないという人は夜にも通勤を見立てたウォーキングで不足分を補ってもよし。日常の活動レベルを最低限のラインに引き上げることも痩せ習慣のベースになる。


⑥よく噛んで食べる

“よく噛んで食べなさい”

「子どものころから言われる、そして今でも言われ続けていることにはもちろん意味があります。よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激されるので、食事量を減らすことにも繋がるのはもちろん、あごを動かすことも立派な運動でカロリーを消費します。また、唾液をしっかりと分泌させることは消化の手助けにもなり、胃腸に余計な負担もかけません」

あごが十分に発達していないと歯並びにも影響し、運動能力の低下を招くことも懸念される。

忙しい毎日でどうしても削られがちな食事時間だが、10分食事を早く切り上げるよりも、よく噛むことで脳を刺激・活性化して10%日常の活動効率を上げる方が、痩せ習慣と言えるだろう。

⑦スムージーやプロテインを減らす

痩せ習慣
Dougal Waters//Getty Images

食事の時間がないときはスムージーやプロテインで手軽に済ましてしまうということもよくあるだろう。

もちろんそんな日があるのは仕方ないけれど、できる限り減らしていこう。

前項のよく噛んで食べるメリットはもちろん、消化吸収でも体はエネルギーを使う。

食事後に代謝が高くなることを食事誘発性熱産生(DIT)というが、これはもちろん咀嚼から消化吸収まで全てのプロセスを通してのもの。

また、DITは基礎代謝の約10%を占めている。

基礎代謝を上げるのは筋肉だけではなく、日常の何気ない活動からも改善が可能。痩せ習慣は普段の活動の中にたくさん隠れている。

⑧いつもと違う食事メニューを選ぶ

食事メニューは無意識に偏りがち。

「自分の中に定番のメニューやよく食べる食材があると思いますが、たまにはそこから一歩外れてみることも必要です」

特に分かりやすいのが主菜だと林さんは言う。

「普段から肉食の方は外食をしてもお肉を選ぶことが多いので、魚を食べる機会が少ないと思います。どちらがいい悪いの話ではありませんが、食事の偏りはなるべく避ける方が栄養バランスも整いやすく、痩せ習慣に繋がります」

外食に出かける際は普段家では食べないメニューを食べられるお店を選んでみよう。

⑨姿勢をよくする
woman at desk
Science Photo Library//Getty Images

姿勢はその人の癖なので、よく使う筋肉とあまり使われない筋肉に分かれる。アンバランスな状態は必要な筋肉を必要な時に動かせないので、その分代謝も下がってしまう。

パソコン作業やスマホ操作が多く、猫背気味な人が普段から特に意識しておきたいのが腸腰筋や腹横筋といったお腹周りのインナーマッスルと脊柱起立筋群。

様々な筋肉が協力し合い姿勢を維持しているが、これらはトレーニングで強くするというよりも普段の生活で使い続ける癖をつけて痩せ習慣に繋げてほしい。

無意識になると姿勢は崩れるので、ふと気づいたときにはお腹周りにコルセットを巻いているとイメージして姿勢を正してみて。

⑩鏡で自分の全身を見る

young woman in vintage dress looking into mirror
Westend61//Getty Images

体重や体脂肪率を気にするあまり、見た目の現実から逃げてしまうこともあるかもしれないが、自分自身の体を毎日見ることが一番の痩せ習慣だと林さんは言う。

「10個の痩せ習慣の中でこれが一番簡単で続けられるけれど、勇気がいることだと思います。鏡で自分の姿を見るなんてナルシストだと勘違いしている人も多いかもしれませんが、自分を客観的に見られる人ほど美しくなります」

漠然と見るのではなく、自分のどの部分をどうしていこうかワクワクしながらチェックしてみよう。また、どの角度からの見た目に自信があるのか、どこに変化が出てきたのかなど、客観的に見ることでいい部分も発見できる。

いくら数字の痩せ習慣をつけても、見た目に変化が出なければそう長くは続けられない。ここまでの9個の痩せ習慣を続けた結果を実感するのも、最後の痩せ習慣である自分の姿をチェックする習慣があってこそだ。

Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/