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感性を刺激する! 珠玉の最新映画3選【2月公開 】

思いもよらない展開、真実を暴く快感、怖いほど美しい映像。

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a woman reading a newspaper on a beach

思いもよらない展開、真実を暴く快感、怖いほど美しい映像。スリラーからミステリーまで、クレイジーで刺激的な最新映画3本をご紹介。

【おすすめ映画1】『ボーはおそれている』

a person lying in a bed

最高にクレイジーな人生の旅路

a person sitting at a table

主人公は困り顔が印象的な小心者のおじさん、ボー。セラピストに促され、母に会うため帰省を決めたその日、クレイジーな出来事が彼を襲う。いや、ボーの生きる世界はもともとクレイジーだった。彼が暮らす街には死体が転がり、真っ裸のおじさんがはしゃぎまわり、薬物依存者やホームレスで溢れかえっている。

帰省前夜、身に覚えのないクレームに悩まされ、なかなか眠れなかったボーは案の定寝坊をして飛行機に乗り遅れてしまう。さらに思いもよらないアクシデントが起き、急いで母に連絡するも、母は言い訳をまったく聞いてくれず威圧的に責めるばかり。焦る彼を、近所の連中が悪ふざけ(犯罪レベル!)をして、さらに邪魔をする。悪夢のような状況で、さっきまで電話で話していたはずの母が、「怪死している」と知らされ......。

観客の心をざわざわと揺らし続ける、超問題作にして傑作

a person walking through a field of plants with trees and mountains in the background

2時間59分の映画の冒頭だけで、すでに映画1本を観たと思わせるほどの濃密な演出に唸る。アリ・アスター監督の頭のなかは一体どうなっているのだろうか。葬儀に向かうため、なんとしても帰省したいボーの旅路は、さらなる試練の連続。気持ち悪いほど優しすぎる裕福な医者の一家、森に大きな劇場を建て、コミュニティをつくる旅の一座、奇妙な出会いの連続に「一体何を見せられているの?」と戸惑いながらも、ホアキン・フェニックスが演じるボーの人生からは目が離せない。この映画を狂気と取るか、ユーモアと取るか。観客の度量を試される、超問題作にして傑作。

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a person reading a book

ボーはおそれている 全国公開中

監督・脚本:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、パーカー・ポージー、パティ・ルポーン
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2023年/アメリカ/179min
©2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

公式ホームページ

【おすすめ映画2】『マッチング』

a person taking a selfie

マッチングってこんなに怖いものですか?

a couple of women posing for the camera

恋活や婚活、さまざまな出会いのきっかけとして定着したマッチングアプリ。利用した経験がないと「危ない人とマッチングしてしまうかも」と尻込みしてしまう人もいるはず。素性の知れない人とマッチングするのは、見方を変えると“怖さ”もあるのだ。その見えない“恐怖”にスポットを当て、『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が完全オリジナルで作り上げた映画が『マッチング』だ。

結婚式場のウエディングプランナーとして働く恋愛下手な主人公・輪花は、友人のススメでマッチングアプリに登録する。明るく好印象の吐夢とすぐにマッチし、いざ初デート。しかし、そこに現れたのは、登録写真とは真逆の不気味な男。全身黒づくめ、怪しさ満点の吐夢に、登場早々違和感しかない。人生最初のマッチングでこんな人に当たってしまうとは......怖すぎる。

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異質な恋の三角関係、衝撃のラストに震える

a man and woman looking at each other

拒否感をあらわにする輪花をものともせず、押しを強める吐夢。困った輪花は、職場の取引先だったマッチングアプリ運営会社のプログラマーである影山を頼る。一方で、“アプリ婚”をしたカップルの惨殺事件が発生していた。しかも、被害者は輪花の結婚式場で式をあげた夫婦であることが判明する。ストーカーと化す吐夢、謎の殺人鬼、やがて明らかになる過去の因縁......。たったひとつの出会いが引き起こす、思いもよらない展開に、衝撃のラストまで引き込まれること間違いなし。

a boy in a suit in a garden

マッチング 2/23より全国公開

監督・脚本:内田英治
出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、真飛聖、後藤剛範、片山萌美、片岡礼子、杉本哲太、斉藤由貴
配給:KADOKAWA2024年/日本/110min
©2024『マッチング』製作委員会

公式ホームページ

【おすすめ映画3】『落下の解剖学』

a group of people skiing down a slope
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女性監督として史上3人目のパルムドール受賞作

a man and woman smiling

『落下の解剖学』は、フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の4作目の長編にして、2023年のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞。女性監督として史上3人目となる快挙となった。3月に開催される第96回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、ザンドラ・ヒュラーが主演女優賞、脚本賞、編集賞と5部門でノミネートされている注目作だ。

フランスの人里と離れた雪山の山荘。ベストセラー作家のサンドラは、作家を目指している夫・サミュエルと視覚障がいのある息子のダニエル、愛犬のスヌープと共に暮らしていた。ある朝、スヌープの散歩から戻ったダニエルはかすかな視界のなかに、雪の上で血を流して横たわる父を発見する。叫び声を上げ母を呼ぶも、すでに父は息絶えていた。転落事故? それとも自殺? その検死の結果、殺人の可能性が浮上する。事件の容疑者とされたのは、母サンドラだった......。

物語の世界へ落ちて行く、稀有な映画体験

a person with long hair

まるで推理小説のようなはじまり。捜査が進み、サンドラが起訴されると一転。裁判の行方を傍聴席で見守るような感覚になり、あっという間に物語の世界へと落ちていく。ひとつ、またひとつと暴かれていく夫婦の秘密。いち聴衆として強い疑念を抱きながら、ときにはサンドラに寄り添い、知らなかった事実を目の当たりにする息子を思うと胸が張り裂けそうにもなる。何を信じるべきか、誰を信じるべきか。観客は、登場人物たちとともにその答えを探し続ける。

a person with the hand on the face

落下の解剖学 2/23より全国公開

監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ
配給:ギャガ2
023年/フランス/152min
©2023 L.F.P.–Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma /Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

公式ホームページ

Headshot of 音田 博美
音田 博美
編集ライター

邦画を中心に紹介する映画雑誌のエディターを経て、フリーの編集ライターに。俳優・映画監督など著名人のインタビュー取材、『カメラを止めるな!』などの映画パンフレットの編集をはじめ、ドラマのムック本にも参加。2015年に立ち上げたコンテンツ制作会社Listenでは、映画公開特番などの映像制作にも携わっている。 

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