さまざまなジャンルの作品から、新しい気づきや視点を受けとれる、2023年4月公開のおすすめ映画3本をご紹介。マインドチェンジ、心の栄養、リフレッシュ! プラスしかない珠玉の映画を観に、劇場へ行こう。

【おすすめ映画1】『ガール・ピクチャー』

ガール・ピクチャー
© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

北欧初ジェンダークィアなジェネレーションZの青春

『ガール・ピクチャー』は、恋愛やセックスに正面からぶつかり、傷つけたり傷ついたりしながら、自身が自由に生きるための術を自らが獲得していく3人の少女の物語。たった3度の金曜日が訪れるその間に、運命の恋をするミンミとエマ。そして、未知の性的快感を求めて冒険するロンコ。自身のセクシャリティーや恋愛指向にあえて“名前”をつけず、求めるままに行動していく3人。危うさも感じる彼女たちの選択は、時に清々しく、時に切ない。

Story

ガール・ピクチャー
© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

男性といても何も感じない自分に悩むロンコ。家族との事情から自分をコントロールできないミンミ。二人はそれぞれの事情を抱えながらも、お互い支えながら毎日を楽しんでいる。ある金曜日、ロンコは理想の相手を探すためパーティへ向かう。付き添いでやってきたミンミは、そのパーティでフィギュアスケーターのエマと出会い、急速に惹かれ合う。一方でエマは、ヨーロッパ選手権の選考が迫るなか、プレッシャーで押しつぶされそうになっていた。

アクティブなマインドにパワーをもらえる!

ガール・ピクチャー
© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

この物語は、ヘテロセクシュアル(異性愛)やシスジェンダー(割り当てられた性別と性自認が一致している人)を前提とせず、一人ひとり異なる指向を持つのは当たり前のこととして展開する。恋やセックス、家族や友達、そして人生。夢中になれるすべてのことに対して、率直にアクションを起こしていく姿には、たくさんのエネルギーをもらえる。ジェネレーションZの彼女たちの青春は、世代を問わず、すべての人を夢中にさせるはず。

ガール・ピクチャー

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
【予告編】『ガール・ピクチャー』
【予告編】『ガール・ピクチャー』 thumnail
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4/7より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
監督:アッリ・ハーパサロ
脚本:イロナ・アハティ、ダニエラ・ハクリネン
出演:アーム・ミロノフ、エレオノーラ・カウハネン、リンネア・レイノ
配給:アンプラグド
2022年/フィンランド/100min/PG12

公式HP

【おすすめ映画2】『イントゥ・ザ・ネイチャー 自然が教えてくれること』

イントゥ・ザ・ネイチャー
©︎MMXXVisitTheUSA.

アメリカ大陸の美しい自然を体感する40分!

アラスカの原野、オレゴンの緑豊かな海岸線、古代渓谷、アパラチアン・トレイルなど、アメリカの隠れた絶景28スポットを旅するドキュメンタリー『イントゥ・ザ・ネイチャー 自然が教えてくれること』。

MAX®カメラによって撮影した迫力ある映像を、IMAX®上映ならではの360度大スクリーンと高音質の音響で体感。まるで自分もその場にいるかのような臨場感で、大自然の美しさを感じさせてくれる。

人と自然がつながる素晴らしさ

イントゥ・ザ・ネイチャー
©️MMXXVisitTheUSA.com


壮大な自然だけでなく、注目したいのはこの旅の案内人たち。宇宙から見た地球の美しさに心を奪われ、その素晴らしさを伝え続けている、ネイティブアメリカン初の宇宙飛行士ジョン・ヘリントン。自然を通して若者たちをサポートする、アラスカ出身のパイロットでTVパーソナリティのアリエル・トウェト。そして、全米初の記録を樹立した長距離ハイカーのジェニファー・ファー・デイビス。

3人が、ハイキングやフリークライミング、カイトサーフィン、カヤック、熱気球などのアクティビティを通じて活動する姿は、人と自然がつながる素晴らしさを改めて気付かせてくれる。


自然を感じることは命のつながりを感じること

イントゥ・ザ・ネイチャー
©️MMXXVisitTheUSA.com

ジョン・へリントン飛行士と NASA 時代の同期で良き友人という宇宙飛行士の野口聡一さんが、初のナレーションに挑戦。野口さんは、「閉塞感を感じているような子どもたち、 生きづらいと思っている子どもたちへ」この作品を見てほしいと語る。「自然の中へ出ていって、そこで仲間をつくるというのは、自然に立ち向かうことで仲間ができるというのもありますし、大自然に身を晒すことで 40 億年におよぶ人間の命のつながりというのを意識するというのはとっても大事なことだと思います。それを、ぜひ大スクリーンで体験していただきたいです」(野口聡一)

イントゥ・ザ・ネイチャー 自然が教えてくれること

4/7よりグランドシネマサンシャイン 池袋ほか、IMAX®にて公開
監督:グレッグ・マクギリブレイ
脚本:スティーヴン・ジャドソン
出演:ジョン・ヘリントン、アリエル・トウェト、ジェニファー・ファー・デイビス
ナレーション:野口聡一(宇宙飛行士)
配給/さらい
2020年/アメリカ/40min

公式HP

【おすすめ映画3】『ヴィレッジ』

ヴィレッジ
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

横浜流星が見せる新境地に心が震える!

第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』、大ヒット作『余命10年』などを手がけ注目を集める映画監督、藤井道人の最新作『ヴィレッジ』。藤井監督とは6度目のタッグとなる横浜流星が主演を務め、役者として新境地を見せている。

横浜が演じるのは、虚な眼差しで無精髭を生やし、希望のない日々をやり過ごす主人公・片山優。絶望の縁に立つ優が抱える狂気がリアルに迫って来る芝居は圧巻の一言。優にとって唯一の希望の光となる、幼馴染の中井美咲を演じるのは黒木華。自らも苦しみを抱えながら、優への愛情を積み重ねていく姿に心を動かされる。

Story

ヴィレッジ
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

幼い頃に父親が起こした事件の汚名を背負い、小さな村で肩身の狭い思いをしながら孤独に生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。ゴミ処理施設の作業員として働き、職場では村長の息子にいびられ、家では借金をつくった母に金をせびられる毎日。そんなある日、上京した幼馴染の美咲が村へ戻ってくる。都会に敗れた美咲もまた、ここにしか戻る場所がなかったのだ。傷を抱えた二人は再会し、互いを癒すかのように惹かれあっていく。

いま見つめ直すべき問題を投げかける

ヴィレッジ
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

緑が美しい山間に“異物”のようにそびえ立つゴミ処理施設。互いに助け合うはずの村社会には同調圧力による差別が存在し、血縁に縛られ貧困から抜け出せない人がいる。主人公・優が、絶望しかなかった現実に自ら立ち向かっていく姿は、本当の正義とは何か、悪とはなんなのかを問いかける。『ヴィレッジ』は、様々な矛盾の上に成り立つ日本社会に暮らす私たちが、いま一度見つめ直すべき問題を投げかけている。

ヴィレッジ

4/21より全国公開
監督・脚本:藤井道人
出演:横浜流星 黒木華 一ノ瀬ワタル 中村獅童 古田新太 ほか
配給:KADOKAWA/スターサンズ
2023年/日本/120min/PG12

公式HP

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音田 博美
編集ライター

邦画を中心に紹介する映画雑誌のエディターを経て、フリーの編集ライターに。俳優・映画監督など著名人のインタビュー取材、『カメラを止めるな!』などの映画パンフレットの編集をはじめ、ドラマのムック本にも参加。2015年に立ち上げたコンテンツ制作会社Listenでは、映画公開特番などの映像制作にも携わっている。