スマートフォンは、今や私たちの生活に欠かせないツール。ふと気がつくと、いつの間にかスクリーンに吸い込まれている、なんてことも。便利なのは事実だけれど、画面を見過ぎると肩が凝ったり首が疲れたりと、体への負担は大きい。実際、携帯電話やパソコンの使い過ぎで、首が前に出る前傾姿勢、通称「スマホ首」の人が増えているそう。姿勢が悪いと首こりや肩こりだけでなく、首の神経を圧迫してさまざまな不調を招くため、放置することは危険。
今回は、「スマホ首」の名づけ親、整体師でリラクゼーションサロン 御影フィールの院長であるチョン・シニさん著書『スマホ首があらゆる不調を引き起こす!(講談社)』より、予防策と改善策についてご紹介。

【目次】

・「スマホ首」の原因

・症状について

・「スマホ首」のセルフチェック

・高血圧・頭痛も改善! どこでもできる、「スマホ首」解消ストレッチ3

1.たった30秒! 基本スマレッチのやり方

2.基本スマレッチ+首を回す

3.基本スマレッチ+腕を大きく回す

・予防策とは? 「体幹」を鍛えることが鍵

・簡単すぎる体幹トレーニング「楽々腹筋」

・まとめ

・「スマホ首」の原因

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『スマホ首があらゆる不調を引き起こす!』講談社刊より

スマートフォンを使い続けた結果、首が下がり、前傾姿勢になった状態を、「スマホ首」とチョンさんは呼ぶ。首が前に出てしまう原因は、耳の後ろから鎖骨にかけて伸びる胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が前に引っ張られているから。胸鎖乳突筋に過剰な負担がかかると、首の神経を圧迫するほどピンっと張り、体にさまざまな不調が起こるという。

・症状について

多くの患者さんを診てきたチョンさん。ここ数年で慢性的な肩こりや頭痛、めまい、腕のしびれなどを訴える人が増えたと話す。

ぽっこりおなかや腰痛、お尻が垂れる原因に
前傾姿勢が続くと腹筋や背筋といった姿勢を支える筋肉の力が低下するため、ぽっこりおなかや腰痛、お尻が垂れる原因につながる。

肌トラブルが多くなる
長時間下向き姿勢でいると、首にあるリンパ節が圧迫され、顔に吹き出物などができやすくなる。

老けてみえる
頭やアゴが前に出る姿勢は、二重アゴや顔のたるみにつながる。

頭痛、ドライアイ
携帯電話やパソコンから出るブルーライトの影響で、頭痛やドライアイを引き起こす。

うつ
首の後ろに通る自律神経も圧迫されるため、ホルモン分泌が不安定になり、うつ病などの症状に悩まされることも。

・「スマホ首」のセルフチェック

あなたの感じている体の不調は、もしかしたらスマホ首が原因かも…….。
チョンさん流「セルフチェック」を参考に、確認してみよう。チェックマークが3つ以上入った場合は、スマホ首の可能性が高い。

■壁に後頭部、肩甲骨、お尻、かかとをつけて立ったとき、後頭部を壁につけることができない
■スマホを使っているときに首こり、肩こりを感じる
■見上げると、首に違和感がある
■長時間うつむき姿勢でいる。または、姿勢を変えることがあまりない
■目が疲れやすい
■ドライアイである
■猫背
■1日5時間以上、スマートフォンやパソコンを使用している
■体が疲れやすい
■やる気が起きない
■スマートフォンを枕元に置いて寝ている
■睡眠不足と感じることが多い

・高血圧・頭痛も改善! どこでもできる、「スマホ首」解消ストレッチ

「スマホ首」を治すためには、縮んでカチカチになった胸鎖乳突筋をほぐすしかない。しかし首には頸動脈(けいどうみゃく)が通っているため、前側を強くもみほぐすことは危険だ。そこでチョンさんは、直接首を触らずに胸鎖乳突筋をほぐすという3種類の「スマレッチ」を考案。スマレッチを行うと、縮んだ首・肩回りの筋肉をしっかり伸ばすことができる。
首こりや肩こりが改善されるだけでなく、高血圧の患者さんがスマレッチを生活習慣に取り入れたことで自律神経が整い、血圧が安定値まで改善した例も。また、頭痛が治ったという人もいるのだとか。チョンさんお墨付きのスマレッチを、生活に取り入れてみよう。

【胸鎖乳突筋の場所】

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『スマホ首があらゆる不調を引き起こす!』講談社刊より


① 右手の人差し指と中指を左右の鎖骨の真ん中に置く
② あごを左側に回す
③ 首の右側にボコッと現れる筋(すじ)が、胸鎖乳突筋

.たった30秒! 基本スマレッチのやり方

1日3回、1セットを行おう。もし、ストレッチ中にひどい痛みを感じたら、整形外科医の受診をおすすめする。

【やり方】
① 右腕を下したまま、ワキの奥に左手の4本指を入れる。親指と4本指でしっかりと胸の筋肉をつかむ
② その状態で右手を水平に伸ばし、手のひらを下に向ける
③ 少し顔を上に向け、左肩に左耳を近づける。アゴを斜め上に向け、右耳の後ろが引っ張られるのを感じながら15秒キープ
④ 反対側の腕も同様に行う

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ポイント
・上を向きすぎたり、腕を後ろに引き過ぎたりしないこと
・ワキをしっかりつかみ、大胸筋を固定する
・筋肉の流れに沿ってストレッチを行うこと
・15~30秒にかけて、筋肉をジワーっと伸ばす
・人の細胞は3カ月ほどで入れ替わると言われているため、3カ月は継続させる

.基本スマレッチ+首を回す

スマレッチをしながら首を回すことで、首回りの筋肉がほぐれて血流がよくなる。首こりや肩こりだけでなく、顔色のくすみも改善される。1日3回、1セットを行おう。

【やり方】
① 基本スマレッチ③の姿勢になる
② そのまま首をできるだけ大きくゆっくり左右3回ずつ回す。反対側の腕も同じように行う

.基本のスマレッチ+腕を大きく回す

スマレッチを行いながら腕を大きく回すことで、肩回りの筋肉が柔らかくなる。また大胸筋も伸びるため、四十肩や五十肩の予防、バストアップや二の腕の引き締めにも期待できる。1日3回、1セットを行おう。

【やり方】
① 基本スマレッチ③の姿勢になる
② そのまま上げた腕を大きくゆっくり、前と後ろに5回ずつ回す。反対側の腕も同じように行う

・予防策とは? 「体幹」を鍛えることが鍵

生活習慣を見直せば、スマホ首を予防することは可能。すぐ実践できる、簡単な4つの予防策を見ていこう。

1.携帯電話は就寝の2時間前から使用しない、枕元に置かない
2.携帯電話を見るときは、頭の位置まで持ってくる
3.胸鎖乳突筋をほぐす(スマレッチ)
4.体幹を鍛える

これらの中でも、体幹を鍛えることが重要。なぜなら、前傾姿勢やうつむき姿勢は体幹筋肉の衰えが主な原因だから。体幹がないと首を支えられず、猫背につながる。
まずは、体幹をしっかり鍛えるトレーニングをしよう。目指すは正しい頭の位置をキープしながら、携帯電話を見ること!

・簡単すぎる体幹トレーニング「楽々腹筋」

チョンさん考案「楽々腹筋」は、寝る前に行うのがおすすめ。人の体は、寝ている間にホルモン分泌量が増加するそう。そのため就寝中に筋肉の再生機能が活発となり、使ったお腹に筋肉がつきやすくなる。

【やり方】
① あおむけに寝て、手は胸の前で組み、両ヒジを床につける
② 膝を90度に曲げる
③ ゆっくり口から息を吐きながら足を上げ、おへその位置に膝がきたら足を下ろす。これをゆっくり一定のリズムを保って、1日20~30回を目安に行おう

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『スマホ首があらゆる不調を引き起こす!』講談社刊より

・まとめ

生活に欠かせないスマートフォンが原因でおこる、スマホ首。首を支える胸鎖乳突筋がカチカチになると、首や肩だけでなく頭痛や腰痛、肌荒れといった不調を引き起こす。
今悩んでいる症状がなかなか治らないのは、スマホ首が関係しているかも? まずはスマレッチのトレーニングを、毎日継続してみて。スマホ首を予防、改善させるためには、トレーニングの積み重ねが大切。どこでもできる簡単ストレッチだから、仕事の合間や隙間時間を使って、生活に取り入れてみよう。

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Runa Komatsu
エディター

主にSNS周りを担当。オーガニック・ヘルシーフード・K-POPなどのリサーチ力が持ち味。オーガニックワイン、ヴィーガンフードなどのキーワードから、土壌を始めとする環境問題などにも興味を持ち、記事へとつなげている。 2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。