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「うつ」というと、耐えられない大きなストレスが原因だったり、気持ちが落ち込んで人と会うことができないといった重い症状を思い浮かべがちだ。もちろん、そういった症状に陥る方もいる。が、一般的に言われるうつのイメージとは異なる症状が現れるケースも実は少なくない。思わぬ症状が続き、内科に婦人科にとドクターズショッピングを続け、最終的にうつと分かるケースも。慌ただしく忙しい日々が続くこの季節、そして冬はうつ症状が出やすい時季でもある。だからこそ、自分の体や心の変化に耳を傾けてみよう。

明確な原因がない「うつ」は意外と多い

女性の特有の悩みにも対応してくれる、心療内科・精神科を持つ青山すみれクリニックの坂本里江子先生のところにもさまざまな症状の患者さんが訪れるという。

「身近な人との死別、離婚などの別れ、会社や友人など人間関係でのトラブルで、うつ症状が出る方もいますが、明確な原因がない方も多いですね。今の季節だと寒い、天気が悪いというだけで気持ちが暗くなるという方もいます。

また、うつというとネガティブなことが引き金になると思いがちですが、一見楽しいこと……例えば結婚したばかり、新しいプロジェクトで仕事が楽しいというときにも発症することもあります。気持ちとしては楽しかったり、やりがいがある分、自分のキャパシティー以上に頑張ってしまい、体が追いつかない状態になってしまう。気分的に楽しいから必要以上に無理をしてしまう。気づいたら、体も心も疲れていて……というケースも意外と多いのです。特に最近はうつのタイプも多様化しているので、発症する要因や原因を限定しないほうがいいでしょう」

「もしかして、うつかも……」の判断は“現状で考える”

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うつはまじめな人、几帳面で間違ったことが嫌いな人が罹患しやすいと言われてきた。しかし、これも一概にそうとは言い切れないと坂本先生は言う。

「相対的に見ると、確かにまじめな方や几帳面な方は罹患しやすい傾向はあります。でも、一概にタイプだけでは判断できない部分もあります。人との付き合いが上手で、まじめというよりも、奔放な性格と自覚されている方でもうつにかかる方はいます。

現代社会は対面だけではなく、インターネットなどオンライン上のコミュニケーションもあり、ひと口でこういうタイプがうつにかかりやすいと言えない状態になっています。うつに関して固定概念を持ちすぎると、体や心の警告サインを見逃してしまうこともあるのです」

しかも女性の場合、うつ症状が気持ちには出ず、疲れや体調不良など体に現れる人も多く、「なんか調子悪くて……」でやり過ごしているケースも。では、どうしたらうつのサインに気づけるのだろうか?

坂本先生が挙げてくれたのは、次の3点。

眠れない……なかなか寝付けず、睡眠時間が短いのはもちろん、朝スッキリ起きられず一日中なんだか眠い日が続く、という場合

好きなことが出来なくなる……今まで好きで必ずやっていたことができない。例えば、大好きだったネイルをするのも面倒。買い物好きだったのに、どこにも出かけるのがおっくうなどの場合

毎日やっていた日常のルーティーンが出来ない……会社に行けない。顔が洗えない、お風呂に入れないなど、“毎日当たり前に行っていたこと”が出来なくなる場合

「あくまでも目安ですが、これらの中で一つでも症状があり、2週間以上続く場合は、まずは、休養をとってください。そして、心療内科や精神科などで診察を受けることも必要かもしれませんね」

うつは知らない間に忍び寄ってきていることも。敬遠しすぎず、きちんと自分の心身の変化と向き合って、未来と今の自分を守って、慈しんであげて。

次回は意外に見落としがちな、うつと「休むこと」の関係についてさらに坂本先生に伺う。お見逃しなく!



Photo:Getty ImagesText:Manabi Ito

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坂本里江子先生
精神科医・医学博士

青山すみれクリニック院長。精神保健指定医。日本精神神経学会精神科専門医・指導医。日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー、アロマテラピーインストラクター、アロマテラピストなどの資格も持ち、治療にも取り入れている。女性の患者が中心のクリニックで、現代女性が抱える心の悩みを数多くケアしている。http://aoyama-sumire.com/