過信は禁物! ココナッツオイルは本当にダイエットに役立つ?
コーヒーに入れて飲んだり、髪に塗ったり、ドレッシングにしたり……と、豊富な用途で人気のココナッツオイル。ヘルシー....
コーヒーに入れて飲んだり、髪に塗ったり、ドレッシングにしたり……と、豊富な用途で人気のココナッツオイル。ヘルシーなイメージだが、健康効果に加えて実は意外な落とし穴もあることをご存じ? 改めて正しい知識を得るべく、何人かの専門家に聞いてみた。
消費者と専門家の間にある認識のズレ
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米『ニューヨーク・タイムズ』紙が2016年、アメリカ人と栄養士集団を対象に調査を行ったところ、72%がココナッツオイルを「ヘルシー」だと答えたそう。ココナッツオイルを含む商品が広く世に出回っているのも納得。
次に気になるのは、同調査に協力した栄養士たちの意見。同紙いわく、ココナッツオイルを「ヘルシー」と答えた栄養士は意外と少なく、全体の3割にも満たなかったとか。ココナッツオイルの90%以上が血中コレステロールを増やし、心臓病のリスクを高める飽和脂肪酸でできていることが影響しているよう。
また「アメリカ心臓協会(American Heart Association=AHA)」は2017年、「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を危険なレベルにまで引き上げてしまう」という理由から、ココナッツオイルの摂取を控えるよう呼びかけた。それにも関わらず、なぜ専門家と消費者の間でココナッツオイルの健康効果、特にダイエット効果に関する認識のズレがあるのか?
脂肪燃焼効果に期待できる?
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『ココナッツオイル健康法 病気にならない 太らない 奇跡の万能油(The Coconut Oil Miracle)』の著者でココナッツ・リサーチ・センターの所長、公認栄養士、そして自然療法医であるブルース・ファイフ氏いわく、「ココナッツオイルの飽和脂肪酸は、キャノーラ油やアボカドオイルに含まれる脂肪酸とは種類が異なるため、脂肪を燃焼させることができます」とのこと。
ココナッツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸(MCT)は、キャノーラ油やアボカドオイルに含まれる長鎖脂肪酸(LCT)とは消化&吸収の経路が異なるうえ、グルコース(ブドウ糖)に代わるエネルギー源、ケトン体を作り出すという特徴が。その結果代謝がアップし、溜まった脂肪(特に内臓脂肪)が減るという仕組みなのだとか。
1. 代謝がアップする
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ある研究によると、ココナッツオイル(中鎖脂肪酸油)には脂肪燃焼を促進させる作用があり、ダイエットに効果的らしい。
学術誌『International Journal of Obesity and Related Metabolic Disorders』に掲載された研究論文には、「ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は、オリーブオイルや大豆油、アボカドオイルなどに多く含まれる長鎖脂肪酸よりも、より多くのカロリーを燃焼させることができる」と書かれている。ファイフ氏は「中鎖脂肪酸によって作られたケトン体が代謝を高め、24時間脂肪を燃やし続けるのです」と補足。
コロンビア大学の「人間栄養研究所(Institute of Human Nutrition)」の助教授、マリー=ピエール・セント=オンジュ氏も「中鎖脂肪酸の減量効果に関するデータはいくつかありますが、ココナッツオイルのダイエット効果を明確に示したものはそう多くありません」と語り、さらに「ココナッツオイルに含まれる純粋な中鎖脂肪酸はたったの13.5%です。10gの中鎖脂肪酸を摂るには、80gのココナッツオイルを食べなければなりません。どんなオイルにしろ、1日80gはさすがに多すぎます。特にココナッツオイルは、飽和脂肪酸が豊富なので摂取量に注意しなければなりません」と続ける。
そんなセント=オンジュ氏は、2018年3月にも、肥満の若者たちが少量のココナッツオイルや中鎖脂肪酸を含むオイルを長期間にわたって摂取しても、カロリー消費を増加させることはできなかった、という研究結果を発表。
2. 満腹感をもたらす
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ココナッツオイルは、他のオイルと比べて満腹感をより長く持続させてくれるそう。電子ジャーナル「Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine」に掲載された研究では、バージンココナッツオイルを毎日摂取することで、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が増加し、満腹感が高まることが判明。
ペンシルベニア大学医学大学院の助教授、ニール・P・チョクシ氏は「脂質は満足感&満腹感をもたらします。そういう理由で、減量に役立つ可能性はあるかもしれません」とコメント。だがはたして、健康のためにどのくらいの飽和脂肪酸を摂ればいいのか。
この研究では、参加者が8週間にわたり、毎日30mlのココナッツオイル(飽和脂肪酸は約26g)を摂取。AHAが推奨する飽和脂肪酸の摂取量は1日13gであるため、その約2倍の摂取量となる。
チョクシ氏いわく「心臓専門医として一番心配しているのは、飽和脂肪酸が豊富という理由からココナッツオイルを摂りすぎてしまうことです」「飽和脂肪酸を摂りすぎると、コレステロール値が高まります。脂質も飽和脂肪酸も、適量を守ることが大事なのです」とのこと。
Ⅳ. お米を炊く
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米1/2カップに対し、小さじ1のココナッツオイルを沸騰したお湯に足して鍋炊きすれば、カロリーを50~60%ほどカットすることができると「アメリカ化学会(American Chemical Society)」は言う。20~40分ほど煮てから、冷蔵庫で12時間寝かせればOKだそう。ハーブやエスニックフードにぴったり。
original text : Nicol Natale , Byron P. Lee translation: Reiko Kuwabara photo : Getty
>>『Woman’s Day』のオリジナル記事はこちら
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。