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摂取カロリーが摂取カロリーより少なければ好きなだけ食べられる、というCICOダイエットが流行中。このCICOとは、「Calories In, Calories Out」の略。でも、新しくトレンディーな減量方法にはいつも疑いがつきもの。本当に効果があるの? リバウンドはしない? 健康的なの? などなど。

昔からあるカロリー計算を取り入れているCICOダイエットは、栄養素や裏面表記を気にしないで体重を落とすことのできる簡単な方法。確かに、ダイエットとは摂取カロリーと消費カロリーの引き算ではあるけれど、カロリー計算だけしていていれば本当にいいの?

インターネットでは、CICOダイエットでやせた経験者がコツや結果を報告している。でも、栄養士は栄養素を無視してカロリー計算だけするのは危険だと警鐘を鳴らしている。ただの流行なのか、根拠のあるものなのかを判断するのはとても難しく、CICOダイエットに関しても専門家や栄養士の意見は割れている。

実際、CICOダイエットはどういったものなのかを調べてみた。

CICOダイエットとは

名前は目新しいかもしれないけれど、実態は昔からある摂取カロリーを消費カロリー以下に抑えるというもの。

体重を減らすためには、カロリー収支がマイナスでなくてはいけない。つまり、消費カロリーのほうが多い状態をキープすること。女性の場合、1日の推量摂取カロリーは約2000kcalで、1kg落とすには、7000 kcalが必要。

では、これを自分に当てはめた場合、1週間に500g脂肪を落としたいとすれば、一日1500 kcalにおさえれば1週間で3500 kcal減らせるという計算になる。

でも、必要なカロリーは人によって違い、年齢、身長、現在の活動量、代謝、ホルモンなどに左右されるので全員同じというわけではない。

CICOダイエットは体重を減らすのに効果はある?

CICOダイエットは特に革新的ではない。カロリー計算アプリのマイフィットネスパルを使えば目標体重に向けてカロリー収支をマイナスにキープするのを助けてくれるし、アプリだけでなく、カロリー計算のできるようなサイトも多数ある。

このダイエットは体重を減らす方法として健全ではないと多くの栄養士に批判されているのはなぜか。

栄養士のジーニー・ディ・ボンはこのように説明している。「私たちの身体は食品によってさまざまな消化の仕方をしている。味つきの低脂肪ヨーグルトよりもアボカドのほうがカロリーも脂質も多くても、健康的な栄養源になってくれる。でも、甘いヨーグルトは人工的な材料がたくさん入ったお菓子と呼んでいいでしょう」

「カロリーしか見ないのは少し近視眼的。たとえばポテトチップスとチョコレート少しでカロリー的には足りているかもしれないけれど、圧倒的に栄養素もビタミンも足りていない。さらに、こういったもの血糖値を急激に上げた後にすぐ下がってしまうシュガークラッシュの原因になり、もっと甘いものを欲してしまう。これは健康的な状態からはほど遠い」とも。

管理栄養士でNutritionist Resourceのレベッカ・マクマナモンもカロリーの収支を計算は必ずしも正確ではないと話す。

「CICOダイエットは入ってきたカロリーと出ていったカロリーのことしか考えていないので、それがヘルシーかどうかは分からない。これはそのカロリーがどう使われるか考慮されていないため」というのがマクマナモンの意見。

それと、インターネットやアプリ上にあるようなカロリーデータは100%正確ではないかもしれないので、その点も注意が必要だそう。特に、消費カロリーについては左右する要素がたくさんあり、運動による消費カロリーだけをみていればいいわけではない。

CICOダイエットは健康的でバランスの取れたダイエット?

よく知られているように、カロリーはどれも同じというわけではない、とフィットネスアカウントのtheFFFeedが指摘している。たとえば、ひとつかみのアーモンドと、フルーツグミひとつかみとカロリーは同じでも大違い。

どちらも190kcal程度だが、当然ナッツのほうがヘルシー。砂糖たっぷりの加工食品よりも、栄養が多いのは明らか。

健康にはもちろんよくないけれど、1500kcal分のフルーツグミを食べて、毎週500gやせることはCICOダイエットの理論上はできる。でもCICOダイエットでは栄養価のことを教えないので、カロリーは減らせても必要な栄養素がバランス良く摂れないとその危険性を専門家は指摘している。

さらに、制限のきびしいダイエットは長期的には続けることのできないダイエットだと、栄養士のレベッカ・マクマナモンは話す。「ずっとやり続けなくてはいけなくなるため、エネルギーだけを制限するようなダイエットは続けるのがむずかしい」とマクマナモン。

もし、目標の体重をクリアしたのなら、減らし続けるのではなく、その体重を維持するために摂取エネルギーは増やさなくてはいけない。

インターネットの反応は?

インターネットでも何千人もの人がCICOダイエットでやせたと書き込み、驚くような体験をシェアしている。さらに、ツイッターでも変化の様子が多くシェアされている。

CICOダイエットは厳密なダイエット?

CICOダイエットの唯一の手法は、カロリー計算なので、食べられるものの制限はあまりないけれど、カロリー制限という意味では厳しい。

CICOダイエットではなにを食べていいの?

一日の設定カロリー内であればなにを食べてもいい。でも同じカロリーでも栄養価的にまったく異なるので注意が必要。たとえばこのおやつは栄養観点からは大違いの例。

・260kcal:全粒粉パンにアボカド1/2個乗せたもの VS 「グラニーズスミス」のアップルパイ

・70 kcal:ブドウ100g VS ダイジェスティブビスケット1枚

・430~440 kcal:ターキーバーガーとサツマイモのフライドポテト VS ファーストフードのダブルチーズバーガー

・130 kcal:無脂肪のギリシャヨーグルト100gにブルーベリーとイチゴひとつかみ、ハチミツを小さじ1杯たらしたもの VS ソルトアンドビネガーのポテトチップス25g

CICOダイエットはインターミッタントファスティングと同じ?

インターミッタントファスティングの一種でもある5:2ダイエットには厳密なカロリー計算が必要だがCICOダイエットはそういうわけではない。どちらもカロリー収支をマイナスにすることがポイントだけれど5:2ダイエットはそれを2日間で行うことを目標としているのに対して、CICOダイエットはそれを1週間で行うことを目標としている。

CICOダイエットをはじめるべき?

確かに栄養素を計算せずに、体重を減らすのに人気の食事法ではあるけれど、食べ物の栄養素を考えていないので問題視されがち。

このダイエットを行うときに意識的に健康的な栄養たっぷりの食材を選んでいれば健康的に体重を減らすことはできるけれど1500kcal分のお菓子を食べていればそうではない。

栄養士のジーニー・ディボンはなぜ自身はCICOダイエットに懐疑的なのかその理由をこう話す。

「CICOダイエットは、健康的でなくむしろ危険な食事の習慣につながるかもしれない流行のダイエット。消費カロリーを摂取カロリーよりも増やすというのは一見合理的に思えるかもしれないけれど、常にカロリー不足の状態だと、摂食障害のきっかけになるなどのさまざまな健康上の問題につながる可能性がある」

食欲や空腹感は正しいものを食べていれば、自然と抑えることができる。加工食品、市販品や精製された砂糖類は血糖値を大きく上下させたり、ホルモンを乱したりするが、これを減らしていれば身体は自然と調整できるようになる。だから、流行のダイエットに飛びつく必要はない。正しいものを正しい量食べて、続けられる小さな変化を積み重ねていくことがポイント。

とはいえ、マクマナモンはCICOダイエットが合う人もいると話す。CICOダイエットは食べ物を悪者にしない点では好ましい。そして多くのダイエット方法のように特定のものを食べてはいけないとはしていない。

そのためCICOダイエットの中で色々なものをバランスよく食べていれば健康的な食事方法にもなりえる。たとえば、野菜をたっぷり食べて、フルーツも定期的に食べながら、脂質を完全に排除することはしなければOK。CICOダイエットを実践するときは、カロリーの摂取量だけでなく全体を見たバランスも気にすることが大切。

私たちは一人ひとり違うので体重の減り方にも個人差がある。カロリー計算のような客観的な視点を取り入れることで、食べているもののカロリーを意識するやり方が合う人もいるけれど、必ずしも全員に合うわけではない。

※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:Jadie Troy-Pryde Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images