オリンピックの幅跳びで銀メダルを獲ったジェード・ジョンソン。彼女が心がけている自分も周りも好きになる10の方法とは?
ジェード・ジョンソンに「This Girl Can」のキャンペーンについて聞いてみた。このキャンペーンはスポーツをやっている女性を応援する活動。うまくても、下手でも関係ない。汗をかいてメイクが崩れても自分のやりたいことをがんばる、そんな女性を応援するのが、この「This Girl Can」。
ジェードは頑張っている女性に向けて、自分自身、そして周りの女性をもっと好きになるために心がけている10のことを教えてもらった。
1.欠点は気にしない
これはきっと誰もがやることだけど、自分が気に入らないことばかりを見てしまう。そしてその欠点ばかりが気になってしまう。
たとえば、私ならおでこにあるあのシワだったり、このシミ。なんでもいいけれどそういうことを気にしています。でも全身で見ればとてもきれいだったり、雰囲気がよい、とかすごくよい形のお尻だったりする。でもその小さな何かを気にしてしまい、そのダメなところに気持ちを集中してしまう。
でも、実は集中したものが現実になってしまうので、自分を受け入れて、全体として見るようにしないといけないと思っている。なにか小さなことばかり思ってそれが大きくなってしまわないように。それが大事。
2.自分がセクシーだと思うことを大事に
一番好きなのは、脂肪。私は、私のポーク、と呼んでいるけれど。脂肪は私を守ってくれるようなものだと思っている。
これが病気から守ってくれるし、このうすい脂肪の層が免疫にもよい。それにとっても女性らしいと思っている。陸上の世界では筋肉がよいとされていて、もっと男性的なものが求められる世界だけど脂肪は女性らしい。
だから実は少し脂肪がある方が、ちょっとセクシーだと思っている。より女性らしいと思えるし。もちろん引き締まっているのは好きだし、そうありたい。でも今はちょっとつかめるくらいの少しやわらかいものがあるのも誇らしい。
少し余計なくらいの脂肪もあって、昔に比べたら全然鍛えていないけれどそういうこともみんな、特に女性に分かってほしいと思っている。
3.ネガティブなことは聞かない
競技をやっている時は脂質が足りていなかった。これは、メディアの「脂肪は身体によくない」という情報に引っ張られていたから。メディアでは脂肪がよくない、と言われていて私もアスリートとしてそれを信じていたの。
4.周りの人にインスパイアされる
私は関わる人みんなにインスパイアされている。人に会うのも関わることも好き。人の心理学的な面に興味があるの。だからこの「This Girl Can」の運動にかかわる時には女性の気持ちに語り掛けたいし、そこにつながりたいと思った。
こういうことにはみんな一人だけれど、気持ちの面に関わることでそっちのメンタルな面に対してもつながることができると思っている。
5.今を生きる
私にとって一番大事なことは、現在、つまりこの今の瞬間に集中すること。
現代社会では、未来か過去のことを考えるようにできている。だから、今のことはあまり考えない。でも実際は今という瞬間がなにかを生み出すために使える時間なのでとても大事。
6.男性と女性はちがうということを忘れない
女性は男性とは違って必ずしも昔からあるようなスポーツをしたいわけではない。もちろん、したい人もいるので誤解はして欲しくないのだけれど。でも、女性の中では違うことをしたい人もいて、それがまさに私たちがこのプロジェクトでやろうとしていること。
それに女性は一ヶ月の中でホルモンに影響されることがある。ホルモンはなかなかデリケートで小さなホルモンのバランスが私たちを大きく左右してしまう。
7.自分のことを知る
まず、自分のことをちゃんと知らなくてはいけない。他の人ではなく自分のことを知る。人と関わる時にはその人のことを知りたいと思うのは当然。
でも、少し立ち止まると、私たちは自分のことをちゃんと知っている? 他の人のことを知る努力はたくさんするけれど、自分を理解することはそんなにしていないのでは?
でも、実は自分のことをきちんと知ることこそが、他のことがうまくいくコツだと思っているわ。
8.達成したことを思い出して
もちろんもっと頑張りたいと思うのはよいことだけど、よくがんばった、と自分に言うことも忘れないで。私はこれをしなかったけれど、実はとても大事だと思っている。そして自分に厳しすぎるのは女性全般に当てはまることだと思っている。私たち女性は立ち止まってどれだけ頑張ったかを振り返ることはあまりしていない。
私にとってなにか達成するということは、アスリートだったので目標がいつもものすごく高かった。そういう風にやっていたけれど、これは馬鹿みたいなことで現実的でなく、むしろ失敗につながっていたと思う。そして、これは私だけでなく女性はやりがち。ものすごく高い目標をセットしてしまう。
だから、私が毎日半年間やったのは、その日できたことを全部書き出すこと。本当に小さな、どうしても買い物に出かけたくなかったのにちゃんと行ったとかそういうこと。でも小さいように見えてもやりたくないと思ったことをやり切ったということは一つの達成だから。
9.お母さんはみんなスーパーヒーロー
私には姉妹が二人いて、一人は3人の子供、もう一人は2人子供がいる。個人的にお母さんが一番ハードな職業なんじゃないかと思っている。子供を育てて、この世の中に一人前の大人として送り出すと言うのは本当に大変。休みもない上にとても気持ちもかかるもの。
お母さんたちはみんなスーパーヒーローなのに、自分たちをほめるということをしない。そして社会も全然ほめてくれない。だから、私たちはもう少し世の中のお母さんたちに感謝した方がよいと思う!
10. 身体のバランスを考えて
フィットネスと健康は身体だけのことだと思っているかもしれないけれど、そうではなくて、心も含んでいる。心を正しく持てば、身体的なことは必ずついてくる。
これは難しいことではなくて、身体全体ということ。身体、心、気持ち全て。よく言われることかもしれないけれど本当のこと。
Text:Amy Hopkinson Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images