パソコン作業のし過ぎや加齢などで、まぶたが重だるく見えてしまう悩みはかなりの人が抱えている問題だろう。セルフケアで目の周りをほぐして、スッキリしたように見えてもいつの間にか元の重まぶたに逆戻り。実は、目の周りの重だるさをしっかり解決する秘訣は、足の裏の筋肉「足底筋」にあるって知っていた? 整体師・佐藤啓さんにお話しを伺った(「」佐藤さん)。

目の周りの筋肉をほぐすだけでは、効果は70点!

目が疲れたとき、目元をぱっちりさせたいときには目周りのマッサージを行うことが有効。やったことがある人も多いだろう。でもそれだけでは不十分だという。

目をスッキリさせたいときは、おでこの筋肉である前頭筋や、目の周りを囲んでいる眼輪筋をほぐすことが有効的です。しかし、それでは70点。目の周りの筋肉をほぐすことで即効性はありますが、持続性を考えると物足りません」

では、効果を持続させるためにはどうしたらいいの?

現代人が使いこなせていないという、足底筋とは?

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Jose Gonzalez Buenaposada//Getty Images

なぜ、目の重だるさ解消のカギが足底筋になるのか解説する前に、まず「足底筋」について知っておこう。

足底筋とは足の裏にある筋肉のこと。足底にかかる荷重や足を着地させたときの衝撃を和らげるクッションとして働きます。しかし、現代人はこの足底筋がうまく使えていない方が多いのです。その理由は、足の指を使う機会がほとんどなくなってしまったことが背景にあって、昔は裸足で生活していましたから、足の指で踏ん張ったり地面を掴むことを自然としていました。

しかし現代では靴を履くのが当たり前になって、足指の力を使わなくても生活できるようになった。さらに、厚底シューズも増えてきてなおさら地面との距離ができてしまったことで、足の裏、つまり足底筋が弱ってしまっているんです」

この足底筋の衰えが、どのようにして目の重だるさの解消に影響してくるのだろう。

なぜ足底筋を鍛えることで、まぶたがスッキリするの?

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Andrii Iemelyanenko//Getty Images

目と足底筋、距離としては遠い存在だが、実は密接な関係にあるという。

「足底筋がまぶたのたるみに関係してくるその秘密は、筋肉を覆っている筋膜にあります。人の体は筋膜が張り巡らされていて、筋膜を通して筋肉が連結しています。目の筋肉はバッグラインと呼ばれる足の裏~ふくらはぎ~もも裏~背中~首の後ろ~頭頂部を通って繋がっている筋膜と連結しています

筋肉は基本的に縮ませることしかできません。例えば、肘を曲げたいときは脳から『ここの筋肉を縮ませる』と電気指令を送って縮めることができます。でも、筋肉量が少ないとこの収縮が小さくなってしまうんです。

つまり目の話でいうと、連動している足底筋がうまく収縮しないと、上まぶたを上げる筋肉が弱くなってまぶたが垂れてくる、俗に言う眼瞼下垂(がんけんかすい)になりやすくなってしまいます

言葉にするとなかなか足底筋と目の筋肉が連動しているのってわかりづらいと思うので、下記の①②をやってみてください。

① まずは目を見開いてこの感覚を覚えておく

② 次に足の指を思いっきり力を入れて曲げて、目を見開いてみる

    いかがでした? 上記の①②の違いがわかりましたか? 

    ②の方が①よりスムーズに目を開くことができたと思います。これがバックライン上の筋肉が連動して引っぱり合うことで、そのままの状態(①)よりも目が開きやすくなった証明です。バックライン上にはおでこの筋肉もありますから、目だけじゃなくておでこのシワも連動しているので、続けていくとスッキリしていきます。

    例えば、足のマッサージに行った時、施術後鏡を見たら顔がスッキリしていたという経験はありませんか? あのスッキリしたという感覚は、まさに顔に連動している筋膜をほぐしたことで顔の筋肉までほぐれたため。

    逆に言うと、連動している筋膜を通してコリも電波されてしまうので、目の周りの筋肉をほぐしていても、連動している足底筋が凝っていたらコリが目の筋肉まで伝達されてしまって効果が長続きしません。特に現代人の多くは足底筋が少ない。裏を返せば少し鍛えるだけでも、筋肉がつきやすいので効果が出やすいんです。

    だから、100%の効果を期待したかったら、連動する筋肉をほぐすこととても大切です。

    足底筋のおすすめの鍛え方!

    佐藤さんおすすめの足底筋の鍛え方を教えてもらった。すぐに始められる方法だから、気になる人はやってみて。

    ・立った状態で片足ずつ、足指を曲げ伸ばししながら歩かせる

    ・1日3セット行う(セット間は10秒休み)

    ポイントは各セットしっかり筋疲労を起こすこと。「疲れてきたな」と思ったら10秒休んでまた次のセットを始める。

    「しっかり出来ていれば、2~3週間くらいで効果が出てくるはずです。でも自分の体に沁み込ませるには、半年間は継続してもらうことが必要。人間の体は半年で細胞がすべて入れ替わると言われていているので、しっかり効果を出したい方は半年間続けてみてください。まずは2~3週間継続することを目標にして、無理なく習慣化していきましょう」

    いかがでしたか? まさか、まぶたのたるみが足底筋と影響しあっていたなんて驚きではないでしょうか? このメカニズムはもちろんまぶたの筋肉以外にも言えること。気になる部位がある方は、まずは整体に行って連動している筋膜を聴いてみるといいかも。

    お話を伺ったのは……

    佐藤啓(さとう・けい)さん

    佐藤啓


    柔道整復師、鍼灸師、整体師。自分の手で人の不調を治すことの楽しさを知って、大手整骨院グループにて述べ60,000件以上の施術経験を積んだのち、仙台市で唯一の慢性腰痛専門「隠れ家整体院 〜felice.〜」をオープン。施術と合わせてセルフケア方法も発信して、より体の変化を実感できるような提案を行っている。現在、ドッグ整体にも力を入れている

    Headshot of Yumi Kobayashi
    Yumi Kobayashi
    エディター

     生活雑貨やコスメなどの記事編集の経験を積み、2023年5月から「ウィメンズヘルス」に参加。コスメやアロマテラピーの資格を持ち、正しい知識を伝えることを目標に日々勉強中。フードやサスティナブルな分野に興味があり、週2日のノーミートデーを実践するなど日常生活でのアウトプットを心掛けている。学生時代はラクロスとソフトテニスに没頭、今は漫画に影響されバスケにハマり中。休日はキャンプやフェス、山登りなどアウトドア派。