今月の相談「自分が普通ではない。他人と違うことを恥じ、自信が持てず心を開いて人と話をすることが苦手です」

なぜ自分が人と違うことを恥じるのでしょうか? 

その理由を探ってみると、自分の中で当たり前化した観念が浮き彫りになってくるのではないかと思います。

集団社会を重んじる日本のカルチャーでは特に、「人と違うことをするな」「出る杭は打たれる」「目立つな、出しゃばるな」といった基本姿勢を幼い頃から教わります。そこには、「みんな同じであることがベスト」と考える、統一性や全体の調和を重んじる考え方があります。もっとも、それは美しく、素晴らしいことでもあります。

しかし、それが全てではありません。また、それが絶対的な答えでもないし、唯一の見方でもありません。人と違うことの多様性やユニークさというものは、日本文化に伝統的に根付いているものではないのかもしませんが、逆にそれを祝福する考え方もたくさんあるでしょう。

私は東京で育ちながらもインターナショナルスクールに通っていたのですが、このような環境では、単一民族のジャパニーズカルチャーとは逆で、多様性は当たり前。人は人と違って当然でした。だから自分の意見をはっきりと述べられるようになりなさい、と教わったものです。

ここで私がおすすめしたいのは、どちらの考え方が正しいか? 間違っているか? といった端的な捉え方ではなく“自分はどのような価値観を選び、どのような考え方で生きたいかを見直すことです。あなたにとって統一性が全てだと考えるなら、人と違う自分であることを許し難いでしょう。しかし、同じ環境にいても、「統一性や調和も大事だけど、違う考え方や在り方があることはスパイスのように全体を際立たせ、大切な役割を果たす」と考えるなら、朱に交わりながらも朱く染まることのない自分の役割や在り方を認め、祝福することができるでしょう。

大切なのは、あなた自身の価値観です。今、自分の在り方を不安に思い、自信が持てないのならなお、自分の中で「本当に大切に考えていることは何か」その核心に戻り、自分の真の価値観を確認するのに最適なタイミングではないかと私は考えます。

ちなみに私は幼い頃から人と違うことをするのが大好きで、ユニークさを大切にしてきました。それがなぜなのかさえ、考えたこともなかったほど。それは幼い、小学校低学年の頃からです。振り返ってみれば、もしかしたら私が四人兄弟の末っ子に生まれ、兄や姉たちと同じことばかりを選んでも何もフレッシュではなかったからかもしれません。いつの日からか、私は人と違うクリエイティビティを重宝するようになりました。もちろん、大人になるにつれて、そこには人と違う意見を発することに対する恐れも伴いましたが、それでも「みんな同じではつまらない」という考えの方が私の中では勝っていたように思います。

学生時代を経て、社会人となり何十年も経ち、いろんな苦労、ぶつかること、疎外されるような体験もしてきましたが、今の私は100%自信を持って、自分の在り方が好き。自分の在り方を認め誇りに思えています、と言えます。

人は十人十色。生きていれば、どんなに周りに合わせようとしても合わない時もあるだろうし、合わせようとばかりしているあまりに、自己表現ができないまま終わってしまうような絶望感を感じることもあると思います。私は考えを逆転し、人に合わせることより、自分自身が本当にいいと思うものは何か? その考えをまずはっきりさせ、本当にいいと思えるものを選ぶような生き方を大切にするようになったのです。

それは、自分で自分の幸せを掴み取りにいくようなこと。みんなと違ったって、私は私の幸せを生きる。と、選ぶことです。

自分の価値観が自分の中で不明確だと、人と話すことにも自信が持てず、人間関係においてギクシャクするような側面も多いでしょう。しかし、自分自身を知っていて、自分を信頼し、自分の味方になれていれば、人と考えが違うこともさほど苦痛にはならないでしょう。また、自分と考えが違う人がいることも、自然と尊重でき、人それぞれ意見が異なることを不快に感じることもないはずです。

このようにして、自分で自分の価値観を知り、認めるようになった人は、「人と合わさなければならない」「普通でいなければならない」といった“ねばならぬ観念”から卒業するだけでなく、同時に、人に「自分を認めてほしい」といった期待感も手放すことでしょう。

とても大切なテーマの確信を突くクエスチョン。実は、2021年の6月、私が初めてシェアさせていただいたウィメンズヘルスの連載「疎外されることを恐れないで。その先には自分史上最高の自由が待っている!」という記事でもまた違う角度から同じテーマについて書いていました。

「そこまでして選んで、守りぬいた「自分らしさ」には「自」の「由(よりどころ)」ができるのです。

と綴っています。よかったらこちらの記事もチェックしてみてくださいね。

皆さんからのご質問は毎月10日頃を目安に @womenshealthjp のインスタグラムのストーリーズで募集中。ぜひフォローしてご質問やお悩みをお寄せくださいね。

Headshot of 吉川めい
吉川めい
ヨガマスター

MAE Y主宰、ウェルネスメンター。日本で生まれ育ちながら、幼少期より英語圏の文化にも精通する。母の看取りや夫との死別、2人の息子の育児などを経験する中で、13年間インドに通い続けて得た伝統的な学びを日々の生活で活かせるメソッドに落とし込み、自分の中で成熟させた。ヨガ歴22年、日本人女性初のアシュタンガヨガ正式指導資格者であり『Yoga People Award 2016』ベスト・オブ・ヨギーニ受賞。adidasグローバル・ヨガアンバサダー。2024年4月より、本心から自分を生きることを実現する人のための会員制コミュニティ「 MAE Y」をスタート。https://mae-y.com/