現実的に考えてみよう──いつでも、どんなときでも、自分は幸せだと思える人など、恐らくひとりもいない。人生に浮き沈みがあるのと同じように、私たちの精神状態も、そのときどきで変化している。

ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部精神医学科のレイチェル・ゴールドマン助教授は、「私たちは感情的な生き物です。一日を通して、気分は変化し続けます。それが普通です」と話す。

私たちの気分に影響を与えるのは主に、そのときどきの状況や、人との交流、そして仕事。睡眠の質や食べるものなど、ライフスタイルにおけるさまざまな要因も、影響を及ぼしている。

“嫌な日”はたった1日あっただけでも疲れるものだが、それ自体は、それほほど心配するべきことでもない。ただ、気分が“ジェットコースターのように”、常に急激に変動する状態が続いているなら、それは身体的な健康にも、悪影響を及ぼす可能性がある。

ゴールドマン助教授は、「心と体は、実際につながっています。体は私たちが感じることや思考、そして行動に、反応するものなのです」と説明している。

つまり、慢性的に落ち込んだ気分でいることは、高血圧や炎症を含め、さまざまな病気の原因になり得る。そのため、気分転換の仕方を身に付けることは、健康でいるための最も強力なスキルのひとつを習得することにもなるということ。

次に少し気分が落ち込んだように感じたときには、司法・臨床神経心理学者で、米ペパーダイン大学の終身在職権を持つジュディ・ホー准教授が考案した次の3つの方法のうちいずれかを、ぜひ試してみてほしい。ごく短い時間で実践できるだけでなく、効果もすぐに実感できるはず。

1分」で実行

たったいま「感謝できること」を3つ考える

挙げるのは、どんな小さなことでもOK。ホー准教授によると、これは認知行動療法に基づく方法。ポジティブな何かを確認する(思考を変える)ことは、即座に気分を変化させ、気分を引き上げてくれる。

さらに効果を高めたいなら──何に感謝しているか、声に出してみよう

ただ思っているより、ずっと具体的に考えることになるため、独り言でも、誰かに伝えても、声に出すことで、効果はさらに大きくなるという。

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Westend61//Getty Images

「5分」で実行

しいこと」を思い出してみる

これは、「ナラティブセラピー(物語療法)」に基づく方法。過去に経験した楽しいこと(ストーリー)を振り返ることで、そのときと同じ感情を取り戻し、気分を高めることができるという。

さらに効果を高めたいなら──その記憶と関連する写真・ビデオを見てみよう

より鮮明な記憶を引き出し、それを五感と結び付けてみる。例えば、あなはそのとき、何を見て、聞いて、感じ、どのような匂いをかいだのだろうか。思い出してみよう。

「10分」で実行

「楽しめること」リストを作る

まずはタイマーをセットして、自分に幸せをもたらすものは何か、心に浮かんだものをすべて、書き留めてみよう。

例えば、「バリ島に旅行に行きたい!」といった“壮大な”願望でも、「朝のコーヒー」のような小さなことでも、何でも含めてOK。制限することなく、思いつくままに書き出していこう。

思考がネガティブなときに、ポジティブなことを考えるのは難しい場合もある。そのため、素早く、直感的に、感覚的に行うことは、役立つ行動になる。

さらに効果を高めたいなら──いずれかひとつを、24時間以内に実行しよう

リストができたら、それぞれを実行したときに「どれだけ楽しいと思えるか、または気分が上がると思うか」、1~5段階で評価してみよう(5が「最も楽しい」)。

ホー准教授によると、これを行うことで、自分にとって効果的なものと、それほどでもないものを明確にすることができるという。最終的に目指したいのは、あなたが3またはそれ以上と評価したもののいずれかを、毎日実行すること。

From Prevention

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Alyssa Jung
Senior Editor, Fitness & Nutrition

Alyssa is a senior editor for the Hearst Health Newsroom, where she has written research-backed health content for Prevention, Good Housekeeping and Woman's Day since 2017. She has more than 13 years of reporting and editing experience and previously worked as research chief at Reader’s Digest, where she was responsible for the website's health vertical as well as editing health content for the print magazine. She has also written for Chowhound, HealthiNation.com, Huffington Post and more.

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翻訳者。学業・仕事のため、5カ国の7都市でおよそ10年を過ごす。帰国後は経済・ビジネス関連の文書やニュース記事の翻訳を中心に、ウェルネス系の専門誌やアート関連の書籍、映像翻訳も手掛けるなど、長年にわたってフリーランスで活動。常に新たな情報に触れる仕事柄、心がけているのは、「浅くても、 何でも広く知ろうとすること」。