オーストラリアでは今、生活費の危機が深刻化している。金利は常に右肩上がり。食品価格の高騰は止まらず、多くの家主は家賃を引き上げているので、ピンチを免れたといえるほど幸運な人はほとんどいないみたい。多くのオーストラリア人が今直面しているこうした状況が、まだ十分に「過酷」だといえないとするならば? 新しいデータでは、この状況がのちに招く、私たちのメンタルヘルスへの悪影響を露わにしている。はっきりいってよくない兆し。オーストラリア版ウィメンズヘルスから見ていこう。

オーストラリア各地で危機支援サポートを行う非営利団体の「ライフライン」では現在、ウェブサイトを通じて記録的な活動を見せており、2023年1月にはオーストラリア全土で26,000件を超える援助や支援の検索が行われた。これは、同団体で過去最高のトラフィックデータとなっている。また、ライフラインのヘルプライン・カウンセラーが行っている金銭問題やホームレスに関するアクセス数は、2022年8月から2023年1月の間で49%も増加している。

「過去に経済的ストレスを経験したことがない、初めて助けを求める人々が増えています」と話すのは、ライフラインのCEOを務めるコリン・シーリー。「生活費に対する精神的な負担は、失業者や賃貸物件に住む人々、若い年代の家族など、社会的に弱い立場にある人々を中心に、不均衡に影響を与えていることも明白です」

ライフラインの主任研究員であるアンナ・ブルックス博士は次のように話している。「経済的ストレスや生活の不透明さは、精神疾患の一因にもなりえます。また、人は経済的ストレスや生活の不透明さに直面すると、苦悩を抱えたり、極端に不安を感じたり、自殺願望を抱く可能性があることを示す証拠もあるのです」

今、自分のメンタルヘルスに悩んでいる人は、それはあなただけじゃないということ、多くの人が、あなたと同じように苦悩を抱えているということを知っておいてほしい。

オーストラリアのライフラインでは、電話やウェブチャット、テキストメッセージを通して、24時間年中無休でサポートを受けることができ、必要な人にはファイナンシャル・カウンセリングも提供している(実際に多くの人が金銭的な支援を求めている)。先週発表された追加データでは、自殺率の増加も示された(2023年3月6日現在)。

2020年には、ニューサウスウェールズ州で、自殺の疑いによる死亡が5%以上増加。これに対しビクトリア州では、2000年以降で年間の自殺者数が過去最多を更新しており、自殺による死亡率は、2021年と比較すると9%も増加している。「この数字や他のデータからもわかるように、今多くの人々が苦境に陥っていることは明らかなのです」と話すのは、自殺対策支援センターでCEOを務めるニーブス・マレー。「これは警鐘です。自殺を防ぐことに対して、今まで以上に行動しなければなりません」

厳しい時代を生きる私たちだからこそ、精神的に滅入っていたり、不安でたまらないとき、自分や周囲の人のメンタルヘルスの異変に気づいたときは、どうか周りに助けを求めることを躊躇しないで! 

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ALIX NICHOLSON Translation : Yukie Kawabata