男女関係なく、薄毛や皮脂など、髪&頭皮トラブルを抱えている人は多いもの。食生活やストレスなど、さまざまな要因が関わっているけれど、真っ先に、注目したいのが「洗髪」。市販の化学物質を含むシャンプーやリンス、トリートメント剤を使用するケースが一般的な中、ぜひ見直したいのがそれらに頼らず、天然塩を使った「塩洗い」。自身も余計なものを一切排除した「髪断食」で健やかな髪&頭皮を手に入れた、白金ビューティフルエイジングクリニック院長・山口麻子先生が徹底解説する。

<目次>

  • 「塩洗い」とは?
  • 「塩洗い」で得られる効果
  • 「塩洗い」の具体的なやり方
  • 覚えておきたい注意点

「塩洗い」とは?

「『塩洗い』とはズバリ、合成洗剤のシャンプーを使わず、“塩”を使って髪&頭皮を洗浄すること。そもそも、合成洗剤シャンプーは使えば使うほど髪と頭皮を清潔な状態に導くようで、実は頭皮を傷め、皮脂を過剰に分泌させてしまうもの。具体的にいうと、合成洗剤シャンプーに含まれる合成界面活性剤は肌の皮脂や皮脂膜はもちろん、角質層にあるセラミドなどの保湿成分も落としてしまい、頭皮を干からびさせてしまうことに。このように自然の皮脂が奪われてしまうと、体(頭皮)は懸命に皮脂を出そうとし、これが過剰な皮脂分泌となるのです。

私自身はシャンプーやリンスを使わず、お湯だけで髪と頭皮を洗浄する『湯シャン』を始めて12年以上。ファンデーションなどのコスメ、化粧水などのスキンケアアイテムは使わなくなって、なんと20年です。まさに『髪&肌断食』の生活を送っているんです。

 髪と頭皮に化学的物質を含むものを一切つけない『髪断食』を実体験から自信を持っておすすめしますが、いきなり湯シャンオンリーはハードルが高いと感じる人は、『塩洗い』にぜひ注目を。別名『塩シャン』とも言います。髪と頭皮の汚れや過剰な皮脂を落とすほか、頭皮の血行促進などの効果も期待できるのは、殺菌力を持つ優秀な塩がなせる技。また、天然塩に含まれる多様なミネラルが肌に良い影響を及ぼすと考えられます。“天然のシャンプー”と言っても良いでしょう。結果的に抜け毛が減ったり、髪にコシや艶が蘇るなど、良いことがたくさんですよ」(山口先生・「」内以下同)

「塩洗い」で得られる効果

塩洗い 髪断食
Aleksandr Zubkov//Getty Images

効果1:皮脂の過剰分泌を抑える

皮脂の過剰分泌は抜け毛の原因になるほか、頭皮・血中の栄養が髪に行き渡りにくくなって髪を細くさせるもの。また、髪の毛を少し浮いた状態にさせ、弱々しい髪に見せてしまいがち。でも、塩洗いを継続することで、皮脂分泌が自然の状態に戻り、結果、これらの髪トラブルが改善。

効果2:髪のコシが蘇る

塩洗いを続けると、髪にコシが蘇るという嬉しいメリットも。事実、塩は髪を強く、太くする効果が期待できると言われている。継続していけば、指先で髪を触ったときの感触の違いに驚くはず。

効果3:髪が増える

もちろん個人差はあるものの、多くの人たちが塩洗いで髪が増えたことを実感しているという。合成洗剤シャンプーをやめることで、頭皮の皮脂分泌が適切な状態になり、髪の発毛力がアップ。また、塩洗い時に行うマッサージによって、髪の毛を1本1本立たせている筋肉の一種「立毛筋」が活性化し、髪が強く立つようになって、薄毛の印象を軽減。

「塩洗い」の具体的なやり方

塩洗い 髪断食
Prostock-Studio//Getty Images

準備:ブラッシングをする

100回ほど、いろいろな方向から丁寧にブラッシングを。頭皮のフケや髪の汚れをオフできる以外に、頭皮の血行を促進させて薄毛の対策になったり、皮脂を髪に行き渡らせて艶を与える効果も期待できる。

①髪と頭皮を十分に濡らす

シャワーのお湯で髪と頭皮をしっかり濡らすことで、髪と頭皮のほこりや汚れなどを流し落とし、清潔な状態にする。

②塩を溶かしつつ、頭皮にすりこみながら洗髪

塩を手に取り、濡らした髪の上に置き、髪に残った水分で塩を溶かしながら、徐々に髪の根元や頭皮に擦り込んでいく。頭皮を傷つけないよう、くれぐれも指の腹を使って優しく。塩の量は大さじ1杯を目安に。髪が長い&量が多い場合は、塩の量を増やしてもOK。

③塩もみマッサージをして約5分浸透させる

毛根に浸透させることで、血行促進を狙うべく、塩もみマッサージをする。指の腹を使い、塩を髪と頭皮にもみ込む感覚で。後ろの頸部、後頭部から頭頂部、さらに両耳の後ろから頭頂部へ向かい、地肌と髪に血液を送り込むイメージで行うとGOOD。マッサージ後は約5分、そのままの状態で待ち(湯船に浸かっても)、塩分とミネラルが頭皮に浸透するのを待つ。

④お湯ですすぐ

最後はシャワーを使って、多めのお湯と共に髪と頭皮をよくすすぐ。このときも、爪を立てたりせず、指で優しく。ちなみに塩洗いを始めたばかりの頃はすすいでも脂分特有のヌルヌル感が落ちず、気持ち悪いことも。そんなときは②~④を再度行って。

覚えておきたい注意点

髪断食 塩洗い
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塩は添加物無しの「天然塩」を選ぶ

海水のミネラルをそっくり含み、お湯にも溶けやすい“海塩”がベスト。着色料入りの塩、ミネラルが含有されていない精製塩、溶けにくい岩塩などは、塩洗いには向かない。

場合によっては天然せっけんシャンプーなども検討を

合成洗剤シャンプーをやめて塩洗いにしたばかりの頃は、皮脂の分泌量が適正に保たれず、結果、フケが出てしまうことも。多くの人が1ヵ月程度で落ち着くけれど、もし気になるようなら、洗髪前のブラッシングを長めに、またマッサージとすすぎを念入りに行って。かゆみが出た場合はブラッシングを念入りに行い、かゆみの素となる過剰に出過ぎている皮脂を取り除くことが大切。あまりにかゆみがつらい場合は洗浄力の弱いアミノ酸系シャンプーや天然せっけんシャンプーを少量使っても。ただし、週1回の使用頻度に留めて。なお、ベタつきの場合もかゆみ処置と同様に。

ニオイが気になる場合は塩洗いの回数を増やす

塩洗いを開始した最初の頃は、皮脂が多く分泌されてニオイが出る可能性も。そんなときは塩洗いの頻度を増やしてみて。例えば、2日に1回なら、1日に1回という感じ。それでも、改善されないなら、髪が乾いた状態のときに天然のローズウォーターを振りかけると◎。

どうだった? 今回の記事で、「塩洗い」についてよくわかったはず。人によっては髪と頭皮の状態が落ち着くまでに半年近くかかるケースもあるようだけれど、根気よく塩洗いを継続することが問題解決の近道かもしれない。もちろん、フケやかゆみがひどくて我慢できない場合は無理せず中断したり、トラブルがあった場合は早期に医師の診察を受けることも忘れずに。

【教えてくれた人】

髪断食 塩洗い

白金ビューティフルエイジングクリニック院長/山口麻子先生

日本大学医学部卒業。日赤医療センターでの卒後研修を終え、北里研究所病学センターにおいて、美容外科・美容皮膚科の臨床経験を積む。2006年9月に「白金ビューティフルエイジングクリニック」を開院。自身も合成洗剤シャンプーを使わず、“湯シャン”を10年以上続け、『なぜサーファーにハゲはいないのか 塩シャンプーで髪が増えた!』(渡辺新著/扶桑社)の監修も手がける。また、肌断食に関する情報を発信するウェブサイト「素肌ルネサンス」を運営し、肌断食の素晴らしさを日々伝えている。

クリニック公式HP

素肌ルネサンスHP

Text:Eri Hamada

Headshot of Kanna Konishi
Kanna Konishi
ウィメンズヘルス・副編集長

編集者として多くのメディアに携わったのち現職。健康オタク歴20年、趣味は"毒出し"で、体と心と部屋を効率よく整え、環境にもいい健康法を探るのがライフワーク。チアリーダー経験あり、勝手に人を応援しがち。仕事では「心から推せるものしか紹介したくない!」と目を血走らせ、常に情熱大陸に上陸中。 

Instagram: @editor_kanna_purico