女性は、年を重ねると骨密度が低下しやすく、骨粗しょう症のリスクが高まりやすい。いつまでも健康な骨をキープするためには今から対策をすることが大切。今回は、骨貯金におすすめの運動方法や食事方法をご紹介。

<目次>

骨量を増やす、骨貯金とは?

丈夫な骨を作ったり、維持したりするには、なるべく早くから対策しておくことが大切。
骨貯金とは、骨密度が減少することで起こる骨折や骨粗しょう症のリスクを減らすための準備を行っておくこと。運動や食事で最大骨量の数値を増やし、その後も量が減らないように意識しておく必要がある。

エストロゲンが減少すると、骨折リスクが高まる?
女性は18歳までに、最大骨量の90%が形成され、その後30歳前後まで増え続けるが、45歳前後からの更年期を迎えると骨量は急激に減り、その後はゆっくりと減少する。
「エストロゲンの産生量が減ると、カルシウムが体に吸収されにくくなります」と話すのは、著書に『Body Kindness』を持つ栄養士のレベッカ・スクリッチフィールド。
エストロゲンの値は、40代の前半から徐々に下がっていき、一番大きく減少するのは40代後半から50代の閉経前といわれている。
また、ニューヨーク州にある病院ホスピタル・フォー・スペシャル・サージェリー(HSS)で整形外科医として働くサブリナ・ストリックランド医師によると、骨が成長のピークを迎える20代に丈夫な骨を作るように心がければ、歳をとってから骨がもろくなったり折れたり、前屈みの姿勢になったりすることを予防できるそう。30歳を超えていても遅すぎることはなく、骨量の減少を防ぐことが可能。

参考記事:「30歳前後がピーク!? 20代で実践したい骨の強度アップのためのたったひとつのエクササイズ

骨にも栄養を! 食事を変えて骨を丈夫に

40歳を過ぎたら、食生活はこう変えて! 健康に生きるための10の方法

骨貯金におすすめのライフスタイル

太陽の光を浴びる

太陽の光を浴びるビタミンDは、骨や歯を作るのに必要とされるカルシウムとリンの吸収を手助けし、筋力を強化してくれる。食材から取り入れたり、日光を浴びたりすることで皮膚の下にある皮下脂肪で生成することが可能。ロサンゼルス・グッドサマリタン病院の整形外科医のジョナサン・サルータ医師は、ビタミンDの生成を促すために毎日10~15分は日光を浴びているそう。

骨折リスクを予防する運動方法

骨の強化に効果的なのは、骨に衝撃を与えるタイプの運動。

①ジャンプ

自宅で取り入れやすい運動としておすすめなのは、1日2回の10回ジャンプ。

健康増進専門誌『The American Journal of Health Promotion』に掲載された研究によると25~50歳の閉経前女性60名が1日2回の10回ジャンプ(ジャンプとジャンプの間で30秒の小休憩を挟みながら)を4カ月続けたところ、股関節の骨密度が大幅に改善し、ジャンプをしなかった女性たちの骨密度が同じ4カ月で約1.3%低下した。(骨粗しょう症の場合にはジャンプを控えた方がいい)

参考記事:「科学が実証! 1日20回のジャンプはランニングより骨を強くする?

②縄跳び

また、同じ理由で縄跳びも骨密度を高めるのに効果的。『BioMed Research International』誌に掲載された調査では、縄跳びは、思春期に骨密度の増加を助け、閉経後には骨粗しょう症対策になるという結果が出た。

縄跳びの健康効果は、以下の通り。

・骨が健康になり、ケガの予防にもなる

・関節を支える筋肉を強化することで、足首の動きもなめらかになる

・心臓血管の健康や体重増加の予防

・高血圧や糖尿病などの慢性疾患の予防

縄跳びは、体の動きを意識しつつ十分に行うことで、筋肉の動きの協調性やリズム感を高めることができ、運動が苦手な人も取り組みやすいといわれている。

参考記事:「縄跳びの消費カロリーは?ダイエットに縄跳びを取り入れて、ヘルシーに痩せる方法

③踏み台昇降

降りるときの着地刺激によって、骨密度が上がるという踏み台昇降。さらに、音を立てずに行うことで衝撃をコントロールする力がつき、お尻の筋肉もうまく使えるようになるので、ヒップアップ効果もある。ランニングよりは消費量が少ないけれど、ウォーキングより消費量があるからダイエットにも効果的。

ボディーワーカーの森拓郎さんに正しい踏み台昇降をレクチャーしてもらった。

1.高さ15センチくらいのステップを用意しよう。

2.つま先から足をついて登り、つま先から降りる

ポイント①かかとに体重はあまり乗らないようにし、まっすぐな姿勢をキープ。

ポイント②踏み台昇降を行うときは必ず左右両方行う。右で上った場合は、右から降りる。終わったら左を行おう。毎日左右5〜10分ずつ。

ポイント③とにかく音を立てないで上り下りする。動きが雑になってしまうと効果が薄れるので、慣れるまでは丁寧に行おう。

靴は履いても履かなくても、どちらでもOK。ふくらはぎが張ってしまう人は、靴を履くことで衝撃が和らげられるそう。

参考記事:「「踏み台昇降」の驚くべきメリットとは? やり方も解説!

カルシウムが多い食材10選

骨貯金をしたいなら、運動を取り入れつつ、食事もこだわろう。骨粗しょう症のリスクは加齢と共に高くなるので、カルシウムは絶対不可欠。『日本食品成分表2022八訂』によると 30代以上の人は、一日650㎎のカルシウムを摂取することが推奨されている。
カルシウムといえばヨーグルト、チーズ、牛乳のイメージが強いけれど、他の食材からもカルシウムを摂ることは可能。

そのほかにカルシウムと一緒に取り入れるべき栄養素は、2つある。

1.ビタミンD

ビタミンDは、骨を丈夫に保つための不可欠な栄養素。ビタミンDが足りなくなると、体は骨からカルシウムを取り出し、血液中のカルシウムの濃度を元に戻そうとするため、骨が脆くなり、骨折のリスクが増加する。毎日10~15分、日光を浴びるとビタミンDの生成を促されるそう。ニシン、イワシ、マスに多く含まれている。

参考記事:「体内でビタミンDが欠乏している5のサイン

2.ビタミンK

栄養学専門誌『Nutrition』に掲載された論文レビューによると、カルシウムバランスを改善して骨の石灰化を助けるビタミンKは、骨粗しょう症の高齢者の骨折率を低くし、骨密度を高くするそう。研究チームいわくビタミンKは(ビタミンDと一緒に摂取されると特に)低用量でも骨を丈夫にしてくれる。緑色の葉物野菜に含まれることが多い。

参考記事:「知られざるビタミンKの健康メリット

今回は、ニューヨークの公認管理栄養士、ブリジット・ザイトリン氏に聞いたカルシウムが多い食材をご紹介。カロリーやカルシウム量も記載しているから参考にしてみて。(すべて可食部100gあたりの数値)

※下記、栄養成分量は『日本食品成分表2022八訂』から引用。

①木綿豆腐

カルシウム量:93㎎

カロリーは73キロカロリーなのに、筋肉づくりに欠かせないタンパク質が、7グラム摂取できる木綿豆腐。食物繊維たっぷりの野菜炒めに加え、満腹感をアップさせるのも◎。

②サーモン

カルシウム量:30mg

n-3系多価不飽和脂肪酸量(オメガ3):2.06g

オメガ3脂肪酸の優秀な供給源であるサーモンは、心臓を健康に保ち、炎症を防ぐのに役立つ。カルシウムを完全に吸収するために必要なビタミンDも豊富。海苔にもカルシウムが含まれているので、手巻き寿司で摂取するのもおすすめ。

※キングサーモン(焼き)の値を使用

③オートミール

カルシウム量:47mg

食物繊維:9.4g

オートミールは、食物繊維が豊富なのでお通じがよくなり、代謝を促進するビタミンB群も豊富。さらにコレステロールが下がりやすくなり、心臓と腸の健康もサポートできるのだとか。

④イワシ

カルシウム量:74mg

n-3系多価不飽和脂肪酸量(オメガ3):2.10g

ビタミンD:32μg

イワシはオメガ3脂肪酸とビタミンDの優秀な供給源でもある。干したイワシは、カルシウム量が増えるため、干物で取り入れるのもおすすめ。

焼いたイワシを細かくしたら、大さじ3杯のオリーブオイル、大さじ1杯のお酢、ひとつまみの塩こしょうを加え、カルシウムが豊富な、色の濃い葉物野菜とあえればシーザーサラダ風になる。ホウレンソウ、マッシュルーム、玉ねぎ、トマトと一緒に炒めてもおいしい。

※数値は、まいわしの栄養価。

⑤ひよこ豆

カルシウム140mg

食物繊維16.3g

タンパク質20g

カルシウム、食物繊維、タンパク質を多く摂取できるスーパーフードのひよこ豆。オリーブオイルとひとつまみの塩をふりかけ、ローストしてみよう。そのままスナックにしたり、サラダやスープ、シチューのトッピングにするのも◎。

※全粒の乾燥させたひよこ豆の数値

⑥リコッタチーズ

カルシウム340mg

タンパク質7.1g

「ストレスフルな1日を終え、料理をする気になれない時はリコッタチーズが便利」とザイトリン。

ブルーベリーや桃、梨、オレンジなどの食物繊維が豊富なフルーツと合せたり、大さじ1杯のアーモンドをのせたりして歯応えを出すと同時に、さらにカルシウムを上乗せしよう。

⑦ホウレンソウ

カルシウム:49mg

ホウレンソウは、茹でるとカルシウム量が69mgまで増え、冷凍すると100mgになるので保存用に冷凍しておくのがおすすめ。

⑧ケール

カルシウム:44mg

ケールは、骨からカルシウムが流出するを防いでくれるビタミンKが210μgと豊富に含まれている。可食部100gあたりカロリーが26kcalと少なく、ダイエットにもおすすめ!

※生で葉の部分。

⑨イチジク

カルシウム:190mg

鉄分:1.7mg

イチジクはカルシウムだけでなく、鉄分も多く含まれているので、女性は積極的に取り入れたい。骨を強くするビタミンKとマンガンなどの大切な栄養素も摂取できる。

※乾燥させたイチジクの値

⑩アーモンド

カルシウム量:250mg

カリウム:760mg

アーモンドには多くのカリウムも含まれている。カリウムは、体内にある余分なナトリウムを排出する作用があり、血圧を下げる効果も期待できる。

参考記事:

40歳を過ぎたら、食生活はこう変えて! 健康に生きるための10の方法

1日1,000ミリグラムも夢じゃない! 1杯の牛乳よりカルシウムが多い「7つの注目食材

まとめ

骨密度を高めるというと難しそうだけれど、運動や食事面で意識して継続することで 、高めていくことが可能。女性は特に、骨粗しょう症のリスクが高いから、今すぐできることから始めてみよう。

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Nao Sakamoto
エディター

アシスタントエディターとしてSNS業務も担当。人間の心理、睡眠や美容に興味を持ち、記事執筆を行っている。自他ともに認める運動音痴だが、最近ヨガとピラティスで心と体を整え始めた。健康なライフスタイルを送りたいため、1日1食オートミール生活を実践中。