いびき外来に来る半数が女性というほど、女性もいびき問題に悩んでいる模様。いびきは、大きな音を立ててしまっていないかという不安が大きいけれど、実はいびき自体が質の悪い睡眠の原因になっている。
もし、8時間睡眠をとっているのにも関わらず寝た気がしなかったり、疲れが取れなかったりする人は睡眠の質が悪く、いびきをかいている疑いが。そこで今回は、東京疲労睡眠クリニックの梶本修身先生に、いびきの原因や自宅でできる対策方法を伺った。

<目次>

いびきが発生する理由

いびきというと「ゴーゴー」という大きい音として捉えがちだけれど、実はあの音は空気の振動で発生しているって知っていた? いびきは、喉の上の蓋のところ(軟口蓋)と喉の奥のところに誤嚥防止のための蓋(喉頭蓋)の部分で気道が狭くなることで、空気が振動する。この振動がいびきの音の正体。

いびきをかきやすい人の特徴

いびきは、気道が狭くなることで発生する。気道が狭くなりがちな人の特徴は以下の4つ。

①肥満

肥満状態だと喉の内側にも脂肪がつくため、喉が狭くなりやすい。そのため、気道もさらに狭くなり、いびきをかきやすくなる。

②小顔

女性にとっては、うれしい小顔。でも、小顔の人は、喉の空間が狭く、また下あごが後ろに下がっているとさらに気道が狭くなる。そのため、いびきをかきやすくなる。

③加齢

加齢により、筋肉の緊張が悪くなることで舌が後ろに下がる状況になり、気道が狭くなることでいびきをかきやすい。
女性ホルモンの分泌量低下は筋肉の弛緩を起こしやすく間接的にいびきを起こしやすくするという。そのため、更年期障害が起こりやすい40代後半ぐらいから、寝息がいびきに変わるといった状況がよく生じる。いびきの音は肺活量に関係してくるので、年をとれば大きくなるというものではないそう。

④飲酒をする人

毛細血管が拡張し、飲酒をすると一時的に血流がよくなって、顔が赤くなる人が多い。毛細血管が拡張すると、喉の軟口蓋あたりの粘膜も膨張し、気道の通りが悪くなり、息も吸いづらくなる。
また、お酒を飲むと呼吸と筋肉の緊張を司る自律神経の活動も悪くなる。さらに、飲酒により無呼吸になったことに気がつきにくくなり、最悪の場合寝ている場合に呼吸が止まり亡くなってしまうことも。

注意するべき、いびきの特徴

実は、いびきの音が小さいことが多い女性の方が危険という医学的見解もある。
男性は肺活量が多く、大きないびきの傾向がある。それは吸っている空気が多いということでもあると梶本先生はいう。
一方で、女性のいびきの音は小さい=吸える酸素も少なくなっている。さらに女性は、貧血傾向が高く、肺に入った酸素を脳へ運ぶヘモグロビン量が低い。また、低血圧の人が多いことから3つが重なると、脳に酸素を運ぶことがさらに難しくなる。
いびきは脳に酸素がいかなくなる状況を引き起こし、脳の自律神経が心拍や血圧を高めて酸素量を高めようとし、睡眠時は自律神経を休ませなければならないのに、運動をしているときのように脳の自律神経が稼働してしまう。いびきをかいていると長時間寝ていても疲れが取れず、血圧や血糖値が上昇するとストレスホルモンも出やすい状態にもなる。

いびきをかく人の中で、無呼吸状態が起こっている人は約9割。これは、粘膜の乾燥で気道がくっつき呼吸ができなくなってしまうため。また、熱中症の時期を除くと夜間に死亡する人の8~9割は、睡眠時の無呼吸が原因なのだそう。

自分でできるいびきの改善方法

大きないびきをかいている人、もしかしたら小さないびきをかいているかもしれない人は、まず自宅で自分がいびきをかいているかどうかをチェックしてみよう。
無料アプリを利用すれば簡単にいびきをかいているか、睡眠時に無呼吸になっていないかを測定をすることができる。
もしいびきをかいていることがわかったら、下記の4つを意識して寝るようにしてみて。

① 横向きに寝る

梶本先生によると、約8割の人が横向きで寝ることによっていびきが半減したという。あお向けの姿勢は、重力で舌が後ろに落ちやすくなり、気道が狭くなり、呼吸がしづらくなってしまう。

② 枕の高さを上げる

女性は、枕を低くして寝る傾向が高いという。しかし、枕が低すぎると首の位置が安定せず首が傾き、寝づらくなって結局あお向けの姿勢になってしまう。枕の高さは、肩の厚み分あるのがGOOD。抱き枕があれば、さらに横向きに寝やすくなる。

③ 1つの部屋に大勢で寝ない

1つの部屋に大人数で寝ると、部屋の二酸化酸素濃度が増え、十分な酸素量が脳に供給できなくなってしまう。ホテルで女子会などをするときには、窓やドアを開けて、換気を心掛けよう。

④ 快適な環境を整える

室温は、暑すぎないように温度を調整しよう。暑い部屋は自律神経が乱れ、いびきをかきやすい。
いびきチェックは1回だけでなく、改善しているかを再度アプリで確認しよう。

病院に行くべきタイミング

自宅でいびき対策を行ってから、再度アプリでチェックをしたあとにいびきの改善が見られないようなら、睡眠外来を受診して。また、耳鼻科や呼吸器内科を受診するのもOK。
病院で行える検査や治療法はこちら。

・簡易型PSG検査

簡易型PSG検査は、いびきと無呼吸状態を検査することができる。いびきが脳に影響しているか、脳の睡眠深度などが詳細にわかるそう。保険適応3割負担の場合、3000円程度でできることが多く、自宅で検査をしてから病院に送るだけなのでとても手軽。呼吸器内科や耳鼻科でも検査できるところが増えてきている。

・CPAP(シーパップ)

いびきが重症だと診断された場合にのみ、保険適応で行える治療がCPAP。マスクをして空気を肺に送り込むことができ、この機械で多くの人のいびきが改善される。

軽度のいびきの症状だと、保険がきかずに高額な費用がかかるため、かかりつけ医に相談しよう。

編集部がおすすめ! いびき対策グッズ

梶本先生が教えてくれたいびき対策にプラスして、編集部がおすすめするいびき対策アイテムをセレクト。質のよい睡眠がとれるように、ぜひ取り入れてみて。

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睡眠の悩みに特化したアイテムも多い小林製薬が開発した「ナイトミン」。口呼吸やいびきによる口の中の乾燥を防いでくれる。このテープで口呼吸から鼻呼吸にシフトし、質の高い睡眠をとれるようにしよう。

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「スリープバンテージ プレミアム」は、横向きの姿勢で寝るために作られた枕。いびき予防として効果的な横向き姿勢の睡眠をサポートしてくれる。日中に本を読んだり、スマホを見たりするときにも快適な使用感。

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鼻の通りが悪く、口呼吸になってしまう人におすすめなのが、「ブリーズライト クール」。プラスチックバーの反発力で鼻腔を拡げ、貼った瞬間から鼻の通りがよくなる。こちらはメンソールの香りだから、さらに鼻の通りがすっきりしそう。ほかにも無香料タイプやキッズサイズのものがあるので、自分に合ったものを選べるのがうれしい。

まとめ

意外と軽く考えられがちないびきだけれど、いびきをかくことにはいろんなリスクがあることがわかったはず。
よい睡眠が取れるのは、気道を圧迫せず、十分な酸素量を脳に供給できているとき。まずは簡単に実践できることからいびきをかかない睡眠を目指していこう。

□お話を伺ったのは……

梶本修身先生

梶本修身(かじもと おさみ)先生

東京疲労睡眠クリニック院長。医師・医学博士。

大阪大学大学院医学研究科修了。1962年生まれ。

大阪大学医学部助教授、大阪市立大学医学部COE生体情報解析学教授、疲労医学講座特任教授等を歴任。

「産官学連携疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」(2003年~、研究予算16億円)統括責任者。

「すべての疲労は脳が原因Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」(集英社)は、シリーズ累計18万部を超えるベストセラー。また、ニンテンドウDS「アタマスキャン」では脳年齢ブームを起こす。

「ホンマでっか!?TV」、「たけしの家庭の医学」、「ためしてガッテン」、「世界一受けたい授業」、「助けてきわめびと」など、TVにも多数出演。

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Nao Sakamoto
エディター

アシスタントエディターとしてSNS業務も担当。人間の心理、睡眠や美容に興味を持ち、記事執筆を行っている。自他ともに認める運動音痴だが、最近ヨガとピラティスで心と体を整え始めた。健康なライフスタイルを送りたいため、1日1食オートミール生活を実践中。