体の中で「もっと強ければいいのにな」「もっと細ければいいのにな」と思う部位は誰にでもある。特に太ももや脚の脂肪を減らしたいと思っているなら、これだけは知っておいて。それが太ももであろうと、お尻であろうと、ウエストであろうと、部分的に痩せることは厳密に言って無理。特定の部位を細くしたいなら、他の部位も同時に細くしなきゃダメ。

体脂肪は体重と共に全体的に減るものなので、どこの脂肪が最初に減るかは神のみぞ知ること。「健康的な食生活と運動で体脂肪は全体的に減りますが、実際どこの脂肪が減っているのかは体にも分かりません」と話すのは、栄養カウンセリングサービス『NY Nutrition Group』のCEOで公認管理栄養士のリサ・モスコヴィッツ。「どこに付いていようと脂肪は落ちます。全身に付いていれば、全身から落ちるということになります」。これまでの研究から、男性に比べて女性は、太ももに脂肪が付きやすいことも分かっている。

HIITスタジオ『Fhitting Room』のストレングス&コンディショニングコーチ兼トレーナー、ベン・ローダー=ダイクスによると、体脂肪が減るかどうかは、カロリー赤字が作れるかどうかにかかっている。そして、体脂肪を減らしながら体を鍛え、問題の部位を筋肉で埋められれば理想的。

太ももの脂肪だけを減らすための近道は存在しない。でも、以下の習慣を身に付ければ、全身の体重を減らしながら脚を引き締め、太もものむくみと炎症を抑えられる。アメリカ版ウィメンズヘルスより詳しく見ていこう。

1.体脂肪率を定期的にチェックする

『Soho Strength Lab』『Promix Nutrition』『ARENA』の共同設立者で認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト兼公認管理栄養士のアルバート・マスニーによると、体脂肪率は体重に占める脂肪の割合。「理想的なのは、筋肉の割合が高く、脂肪の割合が低い状態です」

体脂肪は体組成計で測定可能。その数字が100%正確とは限らないけれど、進捗を把握するには十分。ジムや健康管理センターでDEXAスキャン(二重エネルギーX線吸収測定法)という画像検査を受けてもいい。信頼できる医師やトレーナーと話し合い、あなたにとってベストな体脂肪率を知るのも大事。

2.太ももに特化したエクササイズを取り入れる

マスニーいわく、スクワット、ランジ、デッドリフトといった脚全体に効果的なエクササイズは、太ももの内側にある小さな筋肉を鍛えてくれる。でも、太ももをもう一段階引き締めたいなら、アダクターやアブダクターのようなエクササイズを取り入れて。

ジムのマシンを使ってもいいけれど、クラムシェルやサイドレッグレイズでも同様の効果が得られる。


3.計画的に鍛える

気が向いたときにだけ脚を鍛えていてはダメ。太もものトレーニングは計画的に。

脚のワークアウトは週2回。複数の筋肉群を同時に使うコンパウンド・エクササイズ(スクワットやランジ)と、太ももに特化したエクササイズ(ヒップブリッジやハムストリングカール)を組み合わせ、最大負荷のウエイトで各エクササイズを8~12回×3~4セット。

カーテシーランジ、相撲スクワット、ゴブレットスクワットは太もも全体に効果的。ラテラルランジとレジスタンスバンドを使ったサイドレッグレイズは太ももの内側と外側を引き締める。ハムストリングスにはデッドリフト、リバースレッグカール、ブリッジ&ハムストリングスカールがオススメ。


4.重ためのウエイトも使う

部分痩せはできないので、太ももの脂肪を減らすためには全身のダイエットが必要になる。その結果、身体組成が一定のレべルに達すると、脚の筋肉が弱くなってしまうこともあるので、太ももを引き締めたいなら、太ももの筋肉を増やすことが大切。

マスニーのオススメは重ためのウエイトを使った筋力トレーニング。スクワットで使うダンベルを重くしたり、デッドリフトの重量を上げたりしてみて。「脚のトレーニングには、太ももの内側を狙うスクワットとデッドリフトが欠かせません」

5.塩分の摂りすぎに注意する

塩分を摂りすぎると体に余分な水がたまって、全身がむくんでしまう。「塩は水を引き寄せるので、塩分を摂れば摂るほど、腎臓でろ過されるはずの水分が体内にたまります」と説明するのは、栄養カウンセリングサービス『NY Nutrition Group』のCEOで公認管理栄養士のリサ・モスコヴィッツ。「塩分を控えれば、すぐに気分と服のフィット感が変わってきます」

米国心臓協会によると、塩分は1日1,500mg(最大2,300mg)で十分。ほとんどの人は摂りすぎなので、ナトリウム(塩分)が大量に含まれる加工食品、ソース、缶入りのスープなどは控えて。

6.電解質を摂取する

yogurt breakfast with banana and walnuts
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カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの電解質は、スポーツドリンクだけでなく、あなたが普段から食べているヘルシーな食材にも含まれる。

中でもカリウムは塩分の排出が特にうまい。「体内の電解質が多ければ多いほど、体が保持する塩分は少なくなります」とモスコヴィッツ。「その結果、体液バランスが安定し、体から余分な水分が排出されます」

濃い緑の葉物野菜、ヨーグルト、バナナは電解質の優秀な供給源。野菜とフルーツは1日9皿分=約630gの摂取を目指して(フルーツは1日約200gで、残りは野菜)。

7.糖質を控える

糖質は体内でグリコーゲンに変換されて、水と一緒に肝臓と筋肉に蓄えられる。つまり、糖質を摂れば摂るほど、体内にたまる水の量が増えるということ。「だからダイエットで糖質を控えると、体重がすぐに数キロ減るわけです」とモスコヴィッツ。「その数キロのほとんどは水分ですよ」

モスコヴィッツいわく、私たちの体には少なくとも1日75~100gの糖質が必要。でも、身長、体重、運動量によっては、もっと必要な人もいる。

全粒穀物は完全にカットしないで。全粒穀物には、心臓によく満腹感を与えてくれる食物繊維だけでなく、葉酸、鉄、マグネシウム、抗酸化物質、植物性栄養素もたっぷり。自分に必要な糖質量が知りたいときは、栄養士に相談を。

8.ウォーターボトルを持ち歩く

意外なことに、あなたが水を飲まずにいると、そのぶん体が水を手放さなくなってしまう。逆に、たっぷり飲めば余分な塩分と体液が排出されて、むくみが減るという仕組み。

喉の渇きは空腹と勘違いされやすいので、水をたっぷり飲んでいれば食欲も抑えられる。モスコヴィッツが言うように、1日2~3リットルの水を飲もう(運動する日や暑い日は特に多めに)。


9.アルコールを控える

お酒を数杯飲むだけで、1日のカロリー摂取量は大幅にアップする。米国立医学図書館によると、ビールやカクテルのカロリーは、1杯で少なくとも100~110kcal。

アルコールの影響下では、ヘルシーな食べものも選べない。科学情報誌『Appertite』掲載の論文によると、節度ある飲み方をしていても、味の濃いもの(フライドポテトなど)を頼む確率が24%高くなる。そして、体重に影響するのは食べものの質だけじゃない。すきっ腹で飲み始めた場合は特に、食べる量も問題になってくる。

飲む量と頻度を減らして、目標体重に近づこう。

10.有酸素運動をする

woman running outdoors in the city
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モスコヴィッツの話では、有酸素運動も余分な塩分と体液を排出させる方法の1つ。心拍数を上げる運動は、カロリーを消費して体脂肪を減らす確実な手段でもある。カロリーの消費量が多ければ多いほど、カロリーが赤字になって体重と全身の体脂肪が減りやすくなる。

ただし、水分補給は忘れずに。ハードな運動1時間につき480~600mlの水を飲み、1時間以上の運動をするときは、食事から電解質を多めに摂って。

11.食事内容を記録する

食事内容を毎日記録しておけば、自分の行動に責任を持ち、ダイエットを続けるのが楽になる。最近ではメニューを選ぶだけでカロリーも算出してくれるアプリなどが多く出ているので、そういったアプリを活用するのも手。

食生活の管理には計画性が絶対不可欠。「忙しい毎日の中で、計画通りにダイエットを続けるのは大変です」とモスコヴィッツ。「食事内容を前もって決めておけば、間違いなく楽になりますよ」

12.食物繊維とタンパク質をもっと摂る

food with high content of healthy fats overhead view
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食事のたびに食物繊維とタンパク質を摂取して、ダイエットを加速させよう。どちらも低カロリーで、満腹感を与えてくれる主要栄養素。

特にタンパク質は、引き締まった体づくりに欠かせない。1日25~35gの食物繊維と75~100gのタンパク質を野菜、フルーツ、全粒穀物、低脂肪肉から摂取して。

13.ワークアウトの内容に変化を持たせる

筋トレで太ももを鍛えるのはいいけれど、毎日同じエクササイズをしていても仕方ない。

HIITスタジオ『Fhitting Room』のストレングス&コンディショニングコーチ兼トレーナー、ベン・ローダー=ダイクスいわく、何よりも大切なのはワークアウトの内容に変化を持たせること。「エクササイズの種類によって、使われる筋肉群が変わります」

フロントスクワットでは大腿四頭筋が使われる一方で、バックスクワットでは臀筋とハムストリングが使われる。片脚のエクササイズ(ランジやスプリットスクワット)では、太ももの内側と外側を含むスタビリティ・マッスル(関節を安定させる筋肉)が熱くなる。

14.HIITを忘れない

ローダー=ダイクスによると、時間対効果が一番高いのは筋トレとHIITの組み合わせ。他のエクササイズをしたときよりもカロリーが多く消費されるので、ダイエットに必要なカロリー赤字を作りやすい。

この組み合わせなら「安静時のカロリー消費量が増え、力もつくので、高い強度で長時間の運動ができるようになりますよ」とローダー=ダイクス。ワークアウトの時間を増やすことなく、カロリーの消費量が増やせるのは、うれしい話。


15.リラクゼーションとリカバリー

米糖尿病学会副会長とマサチューセッツ総合病院体重管理センター副所長を兼任し、ハーバードメディカルスクールで教鞭(きょうべん)をとるアンジェラ・フィッチ医学博士によれば、ストレスでコルチゾールが分泌されると、体に脂肪がつきやすくなる。ストレスをゼロにするのは難しいけれど、自分なりの方法でストレスを最小限に抑えることはできるはず。

まずは、仕事やスマホから離れる時間を確保して。散歩、瞑想、読書、マッサージ、友達とのおしゃべりは、どれも効果的なセルフケア。



16.睡眠を優先する

寝不足のときは不健康な食べものを選びがち。フィッチ医師は、1日に最低7.5時間の睡眠を勧めている。「睡眠不足は食欲の増進をもたらします。よく眠れなかった日の翌朝は、いつも以上に糖質や脂質が恋しくなります。体が疲れているときは、加工された炭水化物や砂糖がないと起きていられませんから」

睡眠サイクルが安定すると、カロリーも消費されやすくなる。「レム睡眠中はカロリーが大量に消費されます」とフィッチ医師。「睡眠の質が低いと、エネルギーが脂肪に変わりやすくなります。また、インスリン抵抗性が高くなり、脂肪の蓄積が加速します」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Colleen De Bellefonds, Korin Miller And Mallory Creveling Translation: Ai Igamoto