ここ最近でボディ・コンフィデンス(自分の体に自信を持つこと)ムーブメントが急速に広まったおかげもあり、長い間タブー視されてきた産後の尿失禁や更年期のほてり、おなかの張りに関する話題を気兼ねなく話せるようになってきた。ぽっこりしたおなかを受け入れることは確かにポジティブ(誰もランチを食べた後までペタンコおなかをキープする必要なんかない)。でも一部の専門家は、前向きに受け入れ過ぎることが健康を危険にさらす可能性を懸念している。

SNS上でディナーを食べたあとのインフルエンサーたちのおなかのビフォーアフターを見ていれば、おなかが張って不快感を伴う腹部膨満感も心配いらないことのように思えるかもしれない。でも、状況によっては、問題が起きていることを知らせる体からの警告サインでもあるそう。

「SNS上でおなかの張りが常態化することは、多くの人が助けを求めず、適切な診断を受けられていないことを意味します」と話すのは、腸の専門家であり管理栄養士のマリリア・シャモン。「何年間もこの症状をただ受け入れ、仕方がないものだと思っていた、と話すクライアントがたくさんいるのです」

おなかの張りやむくみを悪者扱いしないのは正しいけれど、過度に受け入れてしまっていない? 「確かにおなかの張りは一般的かもしれませんが、それが正常であるとは限りませんし、不快な症状をずっと我慢している必要もありません」とシャモンは指摘する。その結果、本当は深刻な問題を抱えているのに、適切な治療を受けられないでいる人が増えるのではないかとシャモンは懸念している。

ここからは、正常なおなかの張りと、そうでないおなかの張りの見分け方についてイギリス版ウィメンズヘルスから学んでいこう。

おなかの張りを放置してはいけない理由

「腹部膨満感は、セリアック病、炎症性腸疾患、炎症性腸疾患、胃不全麻痺、大腸がんの兆候である可能性もあります」と警告するシャモン。また、腹部膨満感を一つの症状に持つ過敏性腸症候群(IBS)と誤診された場合にも、適切な治療を受けられないことがある。

実際に、この問題に関する研究は行われており、治療が可能な消化管疾患を患い治療を受けずにいる人が一定の割合で存在することを結論付けている。

つまり、IBSのような疾患だとシャモンは説明する。また、この腹部膨満感は、胆汁酸性下痢、乳糖不耐症、果糖吸収不良、膵外分泌不全、微小性大腸炎、小腸細菌過剰増殖などの極めて深刻な問題による症状のひとつとして起こっている可能性もあるという。

正常な「おなかの張り」の見分け方とは?

おなかが張ることは誰にでもあるもの。「多少の腹部膨満感は、消化の一部であると理解することが重要です」とシャモン。「つまり、腸内に棲む何兆もの細菌たちが、食物繊維を分解してくれているわけです。食物繊維が多い食事をした後や食べ過ぎた後でたまにおなかが張ることがあるなら、それは至って正常です。急いで食べたり、食べものをよく噛まずに食べたときにも、おなかが張りやすくなります」

でも、腹部膨満感がそれ以上に起こる場合は、シャロンいわく要注意。「食べるもの、食べ方に関係なくおなかの張りが慢性的で、生活に支障をきたす場合は、病院で詳しい検査を受ける必要があります」とシャロン。「腹痛だけでなく、便の頻度や見た目にも注意を払ってください。血便や原因不明の体重減少は危険信号です」

心配なときは、迷わず医師の診察を受けること。栄養士の指導を受けることも検討してみよう。体をありのままに受け入れて愛することと同じように、体を大切に管理する必要があることも忘れないで。
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: LAUREN CLARK Translation : Yukie Kawabata

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Lauren Clark

Lauren is a lifestyle journalist with digital and magazine experience. Find her covering all aspects of wellness - from fitness, nutrition and mental health, to beauty and travel. Morning HIIT, a lunchtime oat latte and evenings ensconced in a hyaluronic acid-infused sheet mask are her own personal feel-good pillars.

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。