食物アレルギーに悩む人はイギリスだけで約200万人(成人の1~2%)。これと混同されがちな食物不耐症は影響の範囲が消化器系にとどまるので、症状が(十分厄介とはいえ)比較的軽い。それに対して食物アレルギーは、皮膚のかゆみや胃のムカつきだけでなく、場合によっては命を脅かすような反応を引き起こすこともある。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

米シカゴ大学によると、腸を元気にすれば、一部の食物アレルギー(ピーナッツアレルギーなど)が防げるどころか治せる可能性もあるという。そのカギを握るのは腸内フローラの善玉菌。

同大学の研究チームいわく腸内細菌と食物アレルギーは密接に関連しており、腸内細菌のバランスが乱れて“ディスバイオシス”が生じると、特定の善玉菌の数が減るため、食物アレルギーの発症リスクが高くなる。この特定の善玉菌は、炎症性腸疾患にも有効とされるクロストリジウム。

研究チームによると、クロストリジウムは酪酸という代謝物を産生する。この代謝物は、善玉菌の成長を促進するだけでなく、腸の内壁を完全無欠の状態に保ち、食べ物が外に漏れてアレルギー反応を引き起こさないようにする上でも重要。

問題は、腸内のクロストリジウムの量をサプリメントで増やす方法が科学者たちにも分かっていないこと。そこでシカゴ大学の研究チームは、脳波に乗せて酪酸を腸に届けた。米国化学会で発表された資料によると、この方法でマウスの食物アレルギーは改善したそう。

でも、残念ながら酪酸はサプリメントに向いていない。「酪酸は犬のフンや腐ったバターみたいな臭いがします」と説明するのは、この研究論文の制作を率いたシジエ・ツァオ博士。「味も悪いので、人は飲み込みたがらないと思います」

いま現在、同研究チームは酪酸の風味を隠す方法を探っており、最終的には、消化器系の健康を促す他のサプリメントやプロバイオティクス飲料と同じように、水やジュースと飲むだけで、あらゆるタイプの食物アレルギーに効く酪酸ミックスを作りたいと考えている。

腸活は、食物アレルギーがない人にとっても極めて重要。腸をいたわれば、免疫系の状態や気分がよくなり、必須栄養素が体に吸収されやすくなる。プロバイオティクスに投資して、いつ何時も、カラフルでバランスのいい健康的な食生活を心掛けよう。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Lauren Clark Translation: Ai Igamoto