チョコレートよりステキな物を見つけるのは難しい。でも、チョコレートはバラエティが豊富な分、ややこしいのもまた事実。ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの違いは分かっても、カカオとココアの違いを聞かれると答えられない人は多い。

それもそのはず、カカオとココアは生まれが同じ“カカオの木”。米国地理学協会によると、主にアフリカ、南アメリカ、アジア、北アメリカの一部に生息するカカオの木は、実に5000万カ所以上の農園で育てられている。成熟したカカオの木は、ビーン/ポッド/ナッツと呼ばれる種子(カカオ豆)を作る。このカカオ豆を収穫し、異なる度合いで加工したものがココアとカカオ。

でも、この2つが似ているのはここまでで、それぞれの風味や製造方法は大きく違う。ここからは、カカオとココアの相違点および選び方をアメリカ版ウィメンズヘルスから具体的に見ていこう。

カカオとココアの違いは?

「カカオには最低限の加工しか加えられていないので、有効成分の大半が壊れずに残っています」と説明するのは、著書に『Healing Adaptogens』を持つホリスティック栄養士のダニエル・ライアン=ブリオダ。「それどころか正規のカカオは、植物化学的に地球上でもっとも複雑な食品とされており、脳、心臓、免疫系に有益な有効成分を1200種類も含んでいます」。カカオ豆を発酵させて、低温でローストしから小さな欠片に砕いたものはカカオニブ、挽いて粉にしたものはカカオパウダーと呼ばれる。

一方のココアは、カカオ豆を発酵させてから高温でローストして作られる。それを砕いたカカオニブをカカオリカーというシロップのようなペーストにして、そのペーストを粉状にしたものが広く知られるココアパウダー。

ライアン=ブリオダによると、カカオ豆からカカオバターを取り除き、そこにベーキングソーダを追加して出来上がった産物を粉砕し、ふるいにかけたものがスーパーで売られている“ココア”。「でも、この場合はカカオ豆が重度に加工されるだけでなく、高温にもさらされるため、有益な脂質(カカオバター)、主要なミネラル、抗酸化物質が取り除かれてしまいます」

カカオとココアは、どっちのほうがよりヘルシー?

カカオとココアはリンゴとオレンジほど違わない。でも、どちらかを選ぶときは、その違いに留意することが大切。

まず、両者は味が全然違う。「加工度が低い分、栄養価の高いカカオは苦味が強いです」とライアン=ブリオダ。「でも、苦味を感じるということは、体の中でカカオ豆の有効成分が使われているということ。肝臓で解毒プロセスが開始され、体内で多種多様の反応が起きていることを示すサインです」

一方のココアはチョコレートの前身。牛乳と砂糖はまだ入っていないため、チョコレートよりもマイルドで甘さ控えめ。でも、カカオとココアのどちらを選ぶかは、最終的に個人の好み。

栄養価ではカカオのほうが優れている。ライアン=ブリオダいわく脳、寿命、免疫系には、カカオのほうがはるかに有益。「その一例としてカカオには、何百もの身体機能に欠かせないマグネシウムというミネラルが含まれています。マグネシウムは、体の細胞をリラックスさせる弛緩剤だと思ってください」。この必須ミネラルを自然な形で補いたいなら、カカオがオススメ。

さらにカカオは、アダプトゲン(体の生理機能を正常化させ、ストレス耐性を高める無毒のハーブ)の一種として昔から使われてきた。だから「本当の意味で有益なのは ココアよりカカオです!」とライアン=ブリオダ。

ココアはカカオで代用できる?

栄養価で優れているのがカカオと分かれば、レシピにはココアと書かれていても、カカオを選びたくなるのが普通。そして、ほとんどの場合、ココアはカカオで代用できる。

「ココアの代わりに(できるだけオーガニックの)カカオを使ってもまったく問題ありません」とライアン=ブリオダ。でも、形状だけは変えないで。レシピにココアパウダーと書かれていたら、カカオニブではなくカカオパウダーを使うこと。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Gabby Shacknai Translation: Ai Igamoto