そのままでも、お菓子作りなどに使ってもおいしい、私たちにとって非常に親しみやすい存在であるバナナ。
とはいえ、買いどきを見分けるのに少々頭を悩ませてしまうこともあるかもしれない。そもそもどうやって熟したバナナを見分ければいいのかわからないという人もいれば、青いうちに買って家で熟成させたり、なるべく斑点が出ているものを探して買ったりなど、いろいろな人がいるだろう。
登録栄養士のレベッカ・ブーバ氏は、「すぐに食べたいのであれば、完全に黄色くなっているものを購入しましょう」とアドバイス。とはいえ、少し緑色や茶色になっているバナナを選んでもまったく問題はないと付け加える。
青いバナナには、でんぷんがより多く含まれている。ブーバ氏によると、青から茶色になるにつれ、このでんぷんが糖に変わるそう。つまり、茶色いバナナほど甘さが増すということになるが、どの状態のバナナを選んだとしても栄養価は高い。
カリウムや食物繊維が豊富に含まれていることはよく知られていることだが、その他にもバナナを食べることで得られるメリットはたくさんある。ここでは、バナナの驚くべき健康効果と、その背後にある研究結果などについて、登録栄養士に話を聞いた。
そもそも、バナナにはどんな栄養が含まれている?
中くらいのバナナ1本には、タンパク質や炭水化物などの栄養がたっぷり含まれている。米国農務省(USDA)が発表しているバナナの主な栄養は、以下のとおり。
- カロリー:105キロカロリー
- 脂肪:0.39グラム
- 飽和脂肪:0.04グラム
- 炭水化物:27グラム
- ナトリウム:1ミリグラム
- 糖質:14グラム
- 食物繊維:3グラム
- タンパク質:1グラム
バナナの健康効果は?
バナナなどの果物が、健康的な食生活に不可欠であることはご存じのとおり。しかし、バナナが他の果物より優れている理由をいくつか挙げることができる。
1. カリウムが脳卒中のリスクを下げる
栄養士のヴァレリー・アギーマン氏によると、多くの人が必要とする1日あたりのカリウムは、約4700ミリグラム。バナナ1本には、推奨摂取量の約10%にあたる約470ミリグラムが含まれているそう。
カリウムは多機能なミネラルで、なかでも特に優れているのは脳卒中のリスクを下げることだとアギーマン氏は話す。11年間にわたり9万人以上の女性のカリウム摂取量をモニターした調査(学術誌『Journal of Stroke』に掲載)によると、カリウムは血流を改善し、動脈を柔らかくする効果があるため、高血圧でない女性の脳卒中のリスクを最大20%減少させることが明らかになったそう。
2. カリウムには血圧を下げる作用がある
またブーバ氏は、バナナに含まれるカリウムには、血圧の数値を低く保つ作用があると語る。ハーバード・メディカル・スクールによると、カリウムは血管壁をリラックスさせ、血圧を下げる役割を担っているそう。
ちなみに血圧には2つの数値があるが、収縮期血圧(上の血圧)は心臓が鼓動しているときの動脈の圧力を測定したもので、拡張期血圧(下の血圧)は心臓が休んでいるときの動脈の圧力を測定したもの。
3. 食物繊維が下痢や便秘を改善する
バナナには、規則正しい生活を送るための作用がある。果物に含まれる食物繊維は、レジスタントスターチ(炭水化物の一種)と共に便を硬くし、腸に沿って移動させることで、便秘と下痢の両方を改善することで知られている。
4. 食物繊維が腸内環境を整える
お通じが正常な人にとっても、バナナに含まれる食物繊維は腸の健康を促進するとブーバ氏。
学術誌『Cell Host & Microbe』に掲載された研究レビューによると、食物繊維は、全身の健康を維持するために必要なすべての細菌を、腸内細菌叢(腸内フローラ)に補充することが明らかになっている。
5. バナナに含まれるプレバイオティクスには、腸内環境を整える効果もある
「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがある人は多いだろうが、「プレバイオティクス」も同じく重要。
アギーマン氏はプレバイオティクスについて、「プロバイオティクスの働きを助けるための餌のようなもの」と説明している。プロバイオティクスとは細菌の一種で、プレバイオティクスは消化器官内の細菌の餌となる。これらが合わさることで、腸内フローラを健康に保つことができるというわけ。
6. ビタミンCが、病気を予防し肌を美しく保つ作用がある
バナナを食べると、免疫力が上がるだけでなく、肌にもいいとアギーマン氏は言う。アメリカ国立衛生研究所によると、傷を治し、老化を防ぐコラーゲンを生成するためには、ビタミンCが必要だそう。また、ビタミンCは白血球の働きを強化するため、免疫システムにとって極めて重要な役割を果たすのだとか。
7. 抗酸化物質と植物性栄養素が、慢性疾患にかかるリスクを低減する
幸いにも、バナナには両方が含まれている。ブーバ氏は「健康を増進し、病気を予防し、心臓病、腎臓病、糖尿病などの慢性疾患のリスク低減にも役立ちます」とコメント。どちらも、体の調子を狂わせて病気を引き起こす細胞の損傷を防ぐのに役立つそう。
8. 炭水化物が含まれており、エネルギー源としても優秀
体を動かすためにはエネルギーが必要だが、そのエネルギーを得るためには炭水化物が必要。『Journal of Human Nutrition & Food Science』の研究では、炭水化物を多く含むバナナは、炒めた場合でも重要なエネルギー源になることがわかった。
アギーマン氏は、もし日中にだるさを感じたら、バナナ1本とナッツひとつまみを食べれば、充実したおやつになるとおすすめする。
9. ビタミンB6が、ストレスや不安感を和らげる効果がある
バナナに豊富に含まれるビタミンB6は、気分を整えたり高めたりする効果が。“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなど、「気分をよくするホルモンを増やすのに役立つ可能性があります」とアギーマン氏は言う。
ビタミンB6は、セロトニンやドーパミンなど、いくつかの神経伝達物質の生成に関与している。
10. ビタミンAが、皮膚の健康やその他の身体的なプロセスを促進する
バナナには、肌の健康を促進するビタミンAがふんだんに含まれている。ビタミンAはレチノールとも呼ばれ、スキンケア製品に配合されているため馴染みのある人も多いはず。
ビタミンAには、コラーゲンを破壊してしまう太陽光のダメージに対抗する効果がある。また、ロチェスター大学の調べによると、胃腸などの粘膜の形成にも関与している。
11. 貧血に効果的な鉄分が豊富
バナナには多くの鉄分が含まれていることが研究で明らかになっている。鉄分とは、体が適切に成長・発達し、全身に酸素を運ぶヘモグロビンを生成するために必要なミネラルで、特に貧血など、鉄分が不足している人にオススメ。
12. 運動後のおやつにも最適
バナナにはカリウムなどの電解質が豊富に含まれているため、運動後のおやつに最適だとアギーマン氏。「バナナを運動後のおやつに取り入れることで、体の筋グリコーゲンの貯蔵量が回復しやすくなります」「カリウムは、発汗によって失われたものを補充するのにも役立ちます」と彼女は説明する。
次にスーパーに行ったときは、カゴにバナナを入れない理由はまずないかも?
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Masayo Fukaya From Women's Health